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みちのくグランド・ツーリング【Day4】 [drive/touring]

津軽半島・中泊町の朝は、風は治まってはいるものの、予報通りの雨。

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ご丁寧なことに、発達した温帯低気圧は青森県にやってくるらしく、今日これから向かう下北半島は強風や大雨に見舞われるとのことだ。
一部では避難指示が出ており、橋の損壊や土砂崩れによる通行止めも発生している模様。
そんなニュースを聴きながら朝飯をガッツリと平らげ、部屋でコーヒーを飲みながら今日の行程を思案する。
・・・ま、仕方ない、今日は移動日と割りきって、安全第一でまっすぐ目的地まで走ろう。
おかみさんに精算を頼むと、缶ビール込みで5,350円と超リーズナブルでビックリ仰天。
どうやらここ中泊町の宿泊キャンペーンが適用されたらしく、更に町内飲食店で使える1,000円分のクーポン券までもらえたのである。
たまたま激安で泊まれたとはいえ、通常料金であっても大いに満足できる、とても居心地の良い宿であった。

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降り続く雨の中、R339を離れ並行するK36を南下し、R101→R7バイパスと車列に埋もれてチンタラ走行。
R4と合流したところのエネオスでガソリンを入れ、そのままダラダラと野辺地方面へ向かう。
本当はK9で夏泊半島を一周したかったのだが、大雨強風の沿岸路を走っても仕方ないのだ。
睡眠は十分取っているはずなのに眠くなる雨中低速走行がつくづくイヤになったところで下北半島の付け根に達し、R279へとスイッチ。
何もない荒野の一本道を、ようやく自分のペースで走れるようになったものの、アスファルトの轍には雨水が大量に溜まっており、走行ラインに留意する必要が大いにある。
留意しない対向車からの跳ね上げで、視界が一瞬ゼロになるシーンも何度かあった。
ちなみに下北半島を走る際は、太平洋側のR394を選ぶのが自身の常である。
それはもう、走り放題に走りまくれるからに他ならないが、今日はその太平洋側に強い雨雲がかかり、強風が吹きつけているようなのだ。

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そんなワケでむつ湾沿いのR279をトコトコと北上し、少し早めの昼飯を喰うべく道の駅「よこはま」にピット・イン。
併設されたレストランで発注した帆立フライカレーは案の定、ルーは普通で帆立はとびきりの旨さであった。
強さを増す風雨の中を淡々と北上するボクスターは、むつ市へと向かう。
市内に入り、暴風雨が荒れ狂っているであろう大好きな尻屋崎を諦めた代わりに立ち寄ったのがファミリー・レストラン、恐らくは本州最北の「ガスト むつ中央店」。
俺のGTはこんなんでいいのか?と眉間に皺を寄せて自問しながら、プリンのパフェに舌鼓を打った(←打つなって)。

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店を出ると、雨は小降りになっている。
市街地を後にし、路面に気をつけながらK174で慎重に山の中へと入る。
枝葉の散乱や小規模な土砂流出はあるものの、ありがたいことに走行に問題は無さそうだ。
続くK4も似たようなコンディションではあったが、この道は大好きな林間のワインディング・ロード。
アクセラレーションはほどほどにしながらも、ギアを下げて本日唯一のドライビングを楽しんだ。
森を出ると視界が拓け、グレイの霧雨に煙る宇曽利山湖が目に飛び込んでくると同時に、エア・ベントから硫黄の匂いが漂ってくる。
立派な山門の前にボクスターを駐め、ラゲッジ・ルームからデイ・バッグを取り出す。
ここは死者の魂が集まるといわれる霊場、恐山菩提寺
本日のゴールであり、宿泊先なのだ。

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入山料500円を払って山門をくぐり、敷地内の宿坊「吉祥閣」へと向かう。
どんなもんかと思っていたが、堂々たる建屋にエントランスからして高級旅館じゃないのかレベルの豪華さで、通された部屋はトイレ&洗面付き15畳+4.5畳もの広さである。
とりあえず荷物を置き、雨の止んだ霊場を歩く。
至るところから硫化水素が噴出する荒涼とした風景はおどろおどろしさも感じられるが、ここは何度来ても厳かな気持ちにさせられる、とてもいいところだと思う。
しかも敷地内には小さな湯小屋があり、素晴らしい硫黄泉が掛け流されているのだ。
他の参拝者と静かに会話をしながら湯に浸かり、宿坊へと引き揚げた。

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部屋にはTVは無いものの、極めて静かで広く快適であり、敷かれている布団も軽くてフッカフカである。
しかしながらやはり宿坊は宿坊であり、守るべきルールがいくつか存在する。
夕食後まで浴衣を着用してはならない、というのもそのひとつであり、脱ぎ掛けたパンツを慌てて履きなおした(汗)。
食事はお坊さんが「五観の偈[ごかんのげ]」を唱えてから、宿泊者全員で黙食。
高野山の宿坊とは異なり、酒を呑むことはできない。
いわゆる精進料理は味付けも良く、ご飯が進むのだが、8人の宿泊者が誰も一切言葉を発しないのは少々キツかった。
全員が食べ終わるのを見計らって再びお坊さんが登場、五観を唱えてごちそうさま。
ようやく浴衣に着替えて宿坊内の風呂に向かったが、板張りの高い天井の浴室には推定13m×5mの巨大な湯舟が設えてあり、白濁の湯がなみなみと満たされ、溢れている。
正直、ここまで立派な温泉を私は他に知らない。

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内湯から上がり、そのまま閉門後の敷地に出る。
誰もいない湯小屋で再び、最高の温泉を存分に堪能した。
ちなみに夕刻時点での外気温は、16度。
わずか3日前の山形県における日中よりも20度は低く、熱めの湯が実に気持ちいい。
雨の中、はるばるやってきた甲斐があった・・・と、しみじみ思った。


本日の走行距離は、177km。
走行時間は4時間05分、平均速度は44km/h。
平均燃費は、13.0km/hであった。
いずれもGTらしからぬデータで、かつボクスターの屋根を閉じたままの一日であったが、ま、こういう日もあるさ(笑)。

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junki

wataさんこんばんは。
いい言葉を見つけました。
「移動日と割り切る」。
私はせいぜい3泊で、大体は1泊ですので天気悪そうだと出掛ける事自体中止にするのですが、多少の雨天の時間帯でも割り切って温泉やスイーツで切り替えもありとの事ですね。
今度から自分のドライブで雨天になったらお言葉を必ず思い出して楽しいものにしたいと思います。

この日はチョットどころではなかった様ですが。。
by junki (2021-08-25 22:05) 

wata

junkiさん、こんにちは。

走ることそのものを主目的とする旅路において「移動日と割り切る」のは、苦渋の選択に他なりません。
ただこの日は台風レベルの悪天候だったので、どうしようもなかったんです(涙)。
その代わりと言っては何ですが、「恐山に泊まる」というワクワクするイベントを大いに楽しんでまいりました。
仰る通り、切り替えることが大事ですね(笑)。

by wata (2021-08-26 19:55) 

Dion

今宵の宿は宿坊だったのですね。
霊峰恐山、子供の頃のテレビ番組で怖いところと
刷り込まれていますが、厳かなところですね。
今や職場でも黙食ですが、ここでの黙食はちょっと緊張しそうです。
気温も下がり、3日前のことが遠い日のように感られたのではありませんか?
食事の際のお酒はNGでもお酒を持ち込むことはOKなのでしょうか?
激しい雨にあいましたが、ご無事で何よりですね。
by Dion (2021-08-29 17:59) 

wata

Dionさん、こんにちは。

最初に恐山を訪れたのは12年前のGTでしたが、実際に行ってみて、「怖いところ」というイメージはなくなりました。
一夜を明かすのは初めてでしたけど、何事もなくぐっすり眠れましたよ(笑)。
黙食は独りならともかく、仲間と一緒だったら苦行にも等しいだろうなぁと思いました。
飲酒については「夕食、朝食時の飲酒は禁止します」とあるので、部屋で飲むことは禁じられていないのかもしれません。
とは言え拡大解釈をしてバチが当たるわけにもいきませんから、予約時に宿坊へご確認ください(汗)。

by wata (2021-08-30 19:06) 

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