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みちのくグランド・ツーリング:3 [drive/touring]

岩手-秋田県境、栗駒峠の朝。

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5時半に起き出し、寝ぼけ眼で内湯へと向かい、ピリッと熱い強酸性の湯で目を覚ます。
大露天風呂から眺める空には白黒の雲が流れ、いきなり雨が降り、パッと止んだと思ったら青空が拡がって太陽が輝く。
激しい空模様ではあるが、風が涼しくて実に気持ちがいい。
バイキングの朝飯をたんまり喰ってチェックアウト。
この宿は温泉に胡座をかかず、従業員の皆さんの応対がとても素晴らしいと思った。

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早朝に雨は降ったものの、駐車場のボクスターは幌まで乾いている。
気象情報によれば周辺一帯は雨のはずなのだが、見晴るかす景色は雲の下にあり、ここは雲上だから晴れているのだと知った。
スタートと同時に屋根を開け、秋田県側に戻りR342を北上。
2車線のルーズなワインディングには誰もおらず、各部やタイヤを温めながら、風を切ってダウンヒルを楽しんだ。
が、標高を下げるに連れて周囲は雲に覆われ始め、すぐに雨が降り出す。
わずか十数分のオープン・ドライブ、終了である(涙)。

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成瀬でR397へと右折、強まる雨の中を再び山登り。
幾多のコーナーをクリアして県境の大森山トンネルを抜け、改めて岩手県に入った。
沿道には民家や商店はおろかマトモなパーキングなどもなく、深い森の中を無数のコーナーが東に伸びている。
久々に走るこの道は実にストイックで大好きなのだが、雨は強くなる一方だ。
いずれまた改めて、晴れた日に走りに来よう。

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奥州湖を過ぎ、下界に出た辺りで雷が鳴り始め、滝のような雨となる。
屋根付きの資材置き場のようなところをお借りして、しばし雨宿りをしながら以降のルートを練る。
本日のゴールは岩手県宮古市、ここからは北東方向にあり、当初はこのままR397で東に向かうつもりであった。
が、雨雲レーダーによれば、この雷雲は東へと流れている。
なので、ここから北上を開始し、雨をやり過ごしてから東進することに決めて、普通の降り方となった雨の中を再び走り出した。

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K37は大好きなロング・カントリー・ロードで、これまでに何度走ったかわからない。
牧場や畑が広がる丘陵地帯を、クローズドのボクスターが雨を蹴散らして走り続ける。
道はヘヴィ・ウェットではあるが、アホみたいにすっ飛ばさなければまったく問題ない。
やがて目論見通り雨は上がり、雲間から青空さえ覗くようになった。
秋田自動車道を越えたあたりで雨雲の状況をチェック、当分は雨に降られないだろうと判断し、R107で東へと転針。
北上市街のエネオスで給油を済ませ、山間部へ入ったところで乾いた幌を下ろした。

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釜石方面へと向かうR107は交通量が多いのだが、それでもこの道を択んだ私には勝算があった。
その先で並行する釜石自動車道が、無料で供用されているのだ。
果たして、前にいたクルマは交差する江刺田瀬ICですべて、1台残らず、釜石道へと向かったのである。
走り放題にも程があるR107。
誰もいない完璧な2車線路で、ボクスターを思うさまドライブする。
走り過ぎを懸念して路肩で小休止をしてみても、1台のクルマもバイクも通らないのだ。
最高である。

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そのままR283へと繋ぎ、濁った猿ヶ石川を右手に見ながら走り続けて遠野の街に入る。
腹が減ったので昼飯処を物色、遠野名物となっているジンギスカンでも喰おうかと思ったが、入店待ちで並んでいるのを見て即座にUターン。
地元の皆さんで満席状態の「ごはん屋 花りん」で、看板メニューの唐揚げ定食を喰った。
モモとムネがセットになった唐揚げは、ジューシーというよりクリスピー。
味もボリュームも言うことなしで、腹いっぱいになった。

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来た道を少し戻ったところから、本日のメインイベントである川井住田大規模林道のフォローを開始する。
まずはR396との交点から北へと向かう、峠越えの10kmだ。
国道を離れ、濡れ落ち葉や小枝が散乱する山坂道へ入った途端に交通量はゼロとなる。
グリップに気をつけながら、ヒルクライム&ダウンヒルを大いに楽しんだ。
K160を挟み、大規模林道は荒川高原へと駆け上がっていく。
無人のワインディングを2速で駆け上がり、いくらなんでも走り過ぎだと焦ったところで高原地帯に飛び出した。
ペースを緩めると、一匹の痩せたキツネがこちらに近づいてくる。
エサを与えている輩がいるのであろうか、そんなアホな行為はどうかやめてもらいたいものだ。

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ギアを上げ、誰もいない緑の牧場をのんびりと流す。
各地でお世話になっている大規模林道は基本的に山の中ばかりを行くため、このような景観はあまり見られないのだ。
荒川高原を過ぎると道は下り坂となり、霧の立ち込む深い森の中へと続いていく。
路面はドライからウェットに戻り、ボクスターを停めてイグニッションを切れば、少し前まで降っていただろう雨の雫が、天蓋の樹々から静かに落ちてくる。
素晴らしい孤独感だ。

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薬師川沿いのK25まで下りきったところで、川井住田大規模林道は次のステージに入る。
更に北上を続けるこの区間は、ここまでの行程と異なり初走行だ。
タイトなコーナーの続く坂道をガンガン上り、トンネルを抜けたらダウンヒル。
これまた心躍るコーナーの連続で、言うまでもなく交通量はゼロの状態が続き、楽しいったらありゃしない。
概ねドライ・コンディションながら路上には大量の枝葉や泥が流出している箇所もあるが、いやもうとにかくめちゃくちゃ面白かった。
広域農道と同じく、やはり大規模林道は裏切らないのだ。

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R106に出て盛岡方面に走り、道の駅「やまびこ館」へ立ち寄る。
その目的は、黒豆ソフトクリームだ。
蒸し暑い曇り空の下でその旨さを久しぶりに堪能していると、雷鳴と共に強い雨が降り始める。
北上市からここまでオープンで走れたことに感謝しつつ幌を閉じ、R106を戻って宿のある宮古方面へと向かった。
この道もまた、宮古盛岡横断道路という名の自動車専用道が並行して作られている。
例によってすべてのクルマがその単調なトンネルへと吸い込まれていくのを横目に、泥色に荒れる閉伊川に従った線形の2車線路を、独りマイペースで走り続けた。

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宮古の市街地を抜け、名勝・浄土ヶ浜に向かう。
初めてやってきたのだが、ビジターセンターから傘も持たずに遊歩道を歩いているうちに雨が強くなってきたため、浄土ヶ浜を見ることもなく撤収となった(涙)。
駐車場を出ると、TPMS[タイヤ空気圧モニタリング・システム]が右後輪の空気圧低下を報せてくる。
0.3barの不足ということだが、走っていてもそれ以上は下がらないため、明日確認することにしてそのまま数km先の「ホテルルートイン宮古」へ向かった。
大浴場で汗を流し、レストランで晩飯を喰う。
バイキング形式ではあるが、徒歩圏に店はなく、しかも外は大雨警報下の土砂降りなので、晩飯をつけて大正解であった。
予報によれば、東北の長雨は明日以降も続き、更には静岡県に上陸した台風が太平洋上を北上してくるのだという。
やれやれ、どうなることやら。


本日の走行距離は、302km。
走行時間は5時間48分、平均速度は54km/h。
平均燃費は、11.0km/lであった。

つづく。

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なま(ちゃん)

wataさん、こんばんは。
みちのくグランドツーリング、いつも楽しみに拝見しております。

R107の高速並行区間、とても楽しそうですね!
今月後半に大規模林道〜遠野〜北上というルートでツーリングを計画していました。高速に入らずR107をトレースしてみたいと思います。
by なま(ちゃん) (2022-09-06 21:30) 

wata

なまさん(で、いいですか?)、こんにちは。

毎度おつきあいいただき、どうもありがとうございます!
「無料高速の旧道」は、「幹線国道の対岸」や「県境付近」と同じように走るべき道が多いと思っています。
R107も予想以上のドライビング・ロードと化しており、正直、トンネルだらけ&片側1車線の無料高速で車列に従うよりも、目的地に早く着けるんじゃないかと思われました(注:あくまで推測です)。
ひとつ北側のR106も同じようなことになっていますので、チェックしてみてくださいね。
秋の東北ツーリング、存分に楽しんでいただければと思います!

by wata (2022-09-06 22:38) 

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