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ヘリコプター・チェイス [general info]

今年の5月、新潟方面へとツーリングに向かうべく、関越自動車道を独りで走っていたときのことです。

空は快晴、ボクスターはいつものようにルーフを開けたまま、気持ちよく走り続けています。
上信越自動車道を分ける藤岡JCTを過ぎると、交通量は一気に減少。
私は特に飛ばすわけでもなく3車線のうち中央をメインに走り、低速の前走車が現れると追越車線に出て安全にブッコ抜き、また中央車線に戻るという、ごく当たり前のハイウェイ・クルージングを続けていました。

と、高崎IC付近で8時方向の上空にヘリコプターが飛んでいるのを確認。
関越道と並行、つまりボクスターと併走する形で、雲一つない青空を驀進しています。
どこへ行くのか知らないけどヘリも気持ちよさそうだな、オープンカーじゃなかったら屋根に遮られて気がつかなかっただろうな・・・などと考えながらヘリに大きく手を振って、そのまま走り続けました。

ところが、前橋ICを過ぎてもヘリの相対位置はまったく変わっておらず、速度も進路もボクスターに合わせて飛び続けている模様。
おもしろいなぁと思いつつもう一度手を振ったのですが、これはひょっとして、ヘリの女性パイロットが私を見初めてランデブー飛行を続けているのではないだろうか、そうだ、そうに違いない、と言うことは、どこかのICで下りて広い場所で待っていればヘリコプターも降りてきて、ドアを開けヘッドセットとサングラスを外しながら出てきた峰不二子バリのすんごい美人の操縦士が「ヘリはコ-パイロットに任せるから貴方の助手席に乗せて下さらない?」と言いつつピッチピチなパイロット・スーツの胸元にきらめくチャックに手をかけて嗚呼ッ!(発射)

・・・いや、警察のヘリじゃねぇのか?(汗)

少し前、TVのニュース番組で、静岡県警察が新東名高速道路の上空にヘリを飛ばして違反車両を取り締まっている、との報道がありました。
いわゆる「あおり運転」を撲滅すべく、ヘリが違反を発見すると連絡を受けた地上のパトカーが急行してとっ捕まえるというもので、実際に何台かが検挙されている模様です。
そんなことを思い出し、まさかと思いつつ自身の走りを振り返ってみましたが、あおり運転を疑われるような疾しいことは一切しておりません。
いや、そもそも今日の関越道はガラガラで、意味もなく低速で追越車線を走り続ける車両通行帯違反のアホグルマさえいないのです。
なので、たとえ警察のヘリだとしても私がマークされる理由はありませんし、ましてや捕まる謂れ[いわれ]などまったく無いのですが、どうにもイヤな予感がしてならないんですねぇ。
そこで念のため、渋川伊香保ICの先で登坂車線に入り、前のクルマと同じ制限速度80km以下のスピードで緩い左コーナーを走りながらバック・ミラーをチェックしていると、

おっと、おいでなすった!(汗)

フロント・グリル内部に二つの小さな警光灯を明滅させながら、猛烈な勢いで白いトヨタ・クラウン・アスリートが登場。
走行車線、ボクスターの5時方向にピタリとつけてしばらく併走してから、反転警光灯を回しサイレンを鳴らしつつこちらの前に出て、後に続くようハンド・マイクで呼びかけてきました。
憐みと蔑みの眼差しで抜いてゆく他のクルマに軽く手を挙げながら覆面パトカーの指示通り走り続け、赤城PAに連れ込まれた52歳。
さてどうしてくれようか・・・と考えましたが、自分には検挙される理由がなく、かつ相手も今のところルールに則って正々堂々と(?)捕まえに来ているので、まずは「全面的に協力する」との方針で臨むこととしました。
覆面パトカーの助手席から出てきたのは、お笑い芸人のぐっさんこと山口智充をややスリムにしたような、爽やかな印象の警察官。
こちらもボクスターを降りて免許証を差し出し、互いに自己紹介を済ませます。
ドライバー役の警察官は腕を組んで少し離れたところに立っており、上空ではローター音を轟かせてヘリコプターがゆっくりと旋回していました。

ぐっさん「お忙しいところ恐れ入ります!なぜ停められたか、おわかりになりますか?」
wata「(ヘリを指さして)あれですよね?」
ぐっさん「(やや喰い気味に)そう!そうなんですよ!あれは警察のヘリでして、違反車両を見つけると地上のパトカーに連絡するようになってるんです」
wata「じゃ、私は何の違反で捕まったんですか?」
ぐっさん「(少々悔しそうに)いや、それは結論から言いまして、今回は現認することができなかったんです」
wata「あ、やっぱり(と言いつつヘリに手を振る)」
ぐっさん「ヘリからは『かなりのスピードで走っている』との連絡を受けました。このクルマは目立ちますからね。結論から言いまして今回は指導ということになりますが、くれぐれも速度を出しすぎないよう注意してくださいね」
wata「はい、わかりました」

「現認」という言葉は一般大衆に通じないんだよなーとか、目立たないクルマだったら捕まえなかったのかなーなどと訝りつつも、想定通り検挙はされなかったのでまずは一安心。
しかしこんな機会は滅多にありませんし、特に先を急ぐ必要もなかったので、ぐっさんにいろいろと訊いてみました。
「結論から言いまして」を3回ほど交えながらぐっさんが説明してくれた話の要旨は、以下の通りです。


■昨年6月の東名高速道路での悪質なあおり事件を機に、群馬県でもヘリによるパトロールを始めた。
■ヘリからの連絡を待つパトカーは、関越道下り線の駒寄PA(注:前橋ICと渋川伊香保ICの間)で待機している。
■あおり運転(注:車間距離保持義務違反や急ブレーキ禁止違反、安全運転義務違反などと思われる)や車両通行帯違反は、ヘリによる目視とビデオ撮影でその行為を現認できるため、パトカーで直ちに検挙する。
■速度違反についてはヘリが速度を測ることはできず、検挙にはパトカーでの追尾・速度測定による現認が必要となる。

ふむふむ、なるほど・・・。
ヘリコプターからの現認や撮影したビデオに証拠能力があるのかどうかは大いに疑問ですが、ぐっさんの説明が本当であれば、もしも私があおり運転をしたり、追越車線をチンタラ走り続けていたら、ヘリの指示で駒寄PAからパトカーが全開でカッ飛んできて、問答無用で検挙されていたってことなんですね。
ひょっとすると、青いボクスターがあおり運転をするだろうと思ってヘリで追跡したのに、その期待に反しておとなしく運転し続けていたため、仕方なく「速度違反容疑」に切り替えて覆面パトを差し向けたのかもしれません。
いくらなんでも、見込み違いで20km以上もヘリコプターを飛ばした挙句、手ぶらで帰るワケにはいかないでしょうからねぇ(笑)。

ということで、今回はとても貴重な経験をさせていただきました。
正直、半年も前の本件を記事にしようかどうか迷ったのですが、僭越ながらほんの少しでも皆さんの安全運転に資することができればと考え、今更ながら恥を忍んで開陳させていただいた次第です。
ぐっさん、いろいろとお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。
私も今一度、セイフティ・ドライブを心がけていきたいと思

ぐっさん「このスポイラー、何km/hぐらいで出てくるんですか?」
wata「えーと、確かひゃく・・・あ、いやいやいや、スイッチで出し入れできるんですよ」

・・・うひぃ、くわばらくわばら(汗)。

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ていしあ

こんばんは。貴重な情報をありがとうございます。

地元ながら、そのようなヘリを見たことがありません(気が付かないだけか)でした。
最後の罠は恐ろしいですね。固定スポイラーでよかったと思いました。
by ていしあ (2018-11-01 20:44) 

つくばの松

え~と、前橋と伊香保の間ですね・・(^_^;)

やはりボクスターは目立つ車なんですよ・・たとえ悪いことをしてなくても悪いことしているように見られて損ですね(笑)。

目立たない4DRセダンで良かったと思えた記事でした・・・伏



by つくばの松 (2018-11-01 21:16) 

ryus

wataさんこんばんは
最後のスポイラー爆笑。以前乗ってた964も手動で出ました。
ひょっとすると、ヘリの自身の速度と映像から対象のおおまかな速度を出せるかもしれません。
ヘリの燃料はばかにならないでしょうから、もとを捕ろうとしたのでしょうね。ざまあ、、、、いえ、なんでもありません。
とにかく、貴重な情報、感謝です。

by ryus (2018-11-01 21:28) 

忠

こんにちは。

僕も関越はよく使いますから注意しなければなりません。

確かカレラは120km/hでスポイラーが出るんでしたよね。覆面パトカーはそれを見て追いかけるそうです。ボクスターは分かりませんが。

僕は毎日片道60km、往復120kmを高速で移動しているとよく覆面パトカーに捕まっている車を見かけます・・・・可哀そうに・・・・とついつい思ってしまいます。僕の代わりに捕まってくれて有難うございます、と心の中で手を合わせます!
白いクラウンで後ろのガラスがスモークになっていて、運転席に青い色が見えたら危険です!笑)
by 忠 (2018-11-02 10:07) 

でんきやさん

いつも拝見しています。貴重な?体験報告ありがとうございます。
たしかに、スポーツカーは、ターゲットにされやすいですよね。
それだけ性能が良いということです。。。
私も法定速度プラスα?までは、フル加速。その後巡航状態です。
加速時間には規制はありませんからね!走行中は、デジタルの速度計とにらめっこしてます。あと、ルームミラーのセダンには、意識しています。ストレス溜まりますが、日本の公道でポルシェ、他に乗る性です。62歳のじいさん。
by でんきやさん (2018-11-02 20:58) 

yone0531

wataさん こんばんは。
そうですねぇ。自分の住む 北陸でもヘリコプターの追跡をすると
新聞に出てました。あおり運転はしませんが、速度超過は・・・。
まぁ、ヘリコプターで速度超過まで計測できないのならば良いです。
最近は、圧倒的にミニバンなどが多くなり、高速でのセダン比率が
低いので、クラウンに限らず、セダンを見かけたら注意しています。
ちなみに、石川ではドクターヘリもはじまりました。どうせなら
そちらだけにして欲しかったです。(涙)
by yone0531 (2018-11-03 00:43) 

なべ

とんでもない行為ですね。
こういう悪質な取り締まり行為に対抗する手段てないんですかね。
思い込みと決めつけで犯罪者にされたらと思うとゾッとします。
某ミニバンの方が思い込むのに相応しい方々がのっておられるとおもうのですが。
職質を受けて失った時間は戻ってこないですね。
by なべ (2018-11-03 18:06) 

wata

ていしあさん、こんにちは。

はい、私もまさか自分がヘリに追われる身になろうとは想像すらしていませんでした(汗)。
ヘリは斜め後方の上空に位置していましたから、屋根のあるクルマでは恐らく視認することはできず、窓を閉めていれば音も聴こえないでしょうから、気づくのはまず不可能だと思われます。
いや、オープンで本当に良かったと思ってます。
リトラクタブル・リア・スポイラーの一件は、正直に答えてもそれで捕まることは無いと思いましたが、念のため記事のように答えておきました(笑)。

by wata (2018-11-05 19:50) 

wata

つくばの松さん、こんにちは。

今回、ヘリからの指示を受けた覆面パトカーは駒寄PAから出撃したとのことですが、対象車輌であるボクスターの追尾測定を実施したのは、渋川伊香保ICを過ぎてからです。
ここからは推測ですが、何故かと言えば、渋川伊香保ICを境に制限速度が100km/hから80km/hに落ちるから、でしょう。
ヘリが対象車輌を見張ってくれているので、100km/h区間では気づかれないように距離を取ることができます。
で、80km/h区間になったら一気に猛追して捕まえれば、20km/h分のボーナス・ポイントが加算され、より高得点をゲットできるというスキームなのですね。
なるほど、良く考えられているとは思いますが、私は目立つクルマで目立たぬように走っているので、大丈夫です(笑)。

by wata (2018-11-05 19:50) 

wata

ryusさん、こんにちは。

ぐっさんは、一通りの話が終わった後で「このクルマはポルシェですか!カッコいいですねぇ!」みたいな流れからスポイラーのことをサラッと訊いてくるもんですから、危うく引っかかるところでしたよ(汗)。
確かに、ヘリコプターによるこのようなオペレーションは莫大な費用がかかるようですから、反則金や罰金で元が取れるはずもありません。
静岡県警を始め、各県警とも目的は注意喚起だと言っていますので、やはりデモンストレーションの意味合いが強いのでしょう。
そう考えると、私の記事も超微力ながら上記の目的に適っているのではないでしょうか。
表彰とか、されちゃうかも(←されねぇって)。

by wata (2018-11-05 19:51) 

wata

忠さん、こんにちは。

オーナーズ・マニュアルによれば、ボクスターのリア・スポイラーは120km/h前後で自動的に展開し、約80km/hで格納されるようです。
車室内のスイッチで操作することもできますが、使うのは洗車のときぐらいですかね(笑)。
違反抑止効果抜群の白黒パトカーとは根本的に異なり、違反をさせておいて捕まえることだけを目的とする覆面パトカーは、何とも陰湿でいやらしい存在だと思います。
が、ここで文句を言っても仕方ありませんので、今一度、教習所で習った「かもしれない運転」を心がけましょう。
『あのクラウン、覆面パトカーかもしれない!』

by wata (2018-11-05 19:51) 

wata

でんきやさん、こんにちは。

コメントをいただき、どうもありがとうございます。
ヘリコプター上空から眺めてみれば、白/黒/灰色のミニバンやSUV、セダンが大多数を占める路上で、青いオープンカーはやはり目につきますよね。
しかし彼らにとって誤算だったのは、その青いオープンカーが屋根を開けて走っていたため、ドライバーにヘリの存在を気づかれてしまったということでしょう(笑)。
ちなみに私はあまり飛ばさないので、どこにいるかわからない覆面パトカーにストレスを感じるようなことはありません。
それよりも、渋滞や進路妨害低速車両のほうがよっぽど肚立ちますよ(笑)。

by wata (2018-11-05 19:52) 

wata

yone0531さん、こんにちは。

ヘリコプターから直接速度を測定することはできない、と言うのは、今回お話を伺ったぐっさんによる説明です。
まぁ技術的には何でもできるのでしょうが、運用面や費用面などで、実オペレーションにまで落とし込めていないということなのでしょう。
日本が舞台となった映画「007は二度死ぬ」では、ジェイムズ・ボンドを追いかける殺し屋が乗った黒塗りのセダンが、巨大な磁石でヘリコプターに吊り上げられ、そのまま東京湾に棄てられるシーンがありました。
そんな方法で検挙されないように祈るばかりですが(←されないって)、映画で追いかけられていたのがトヨタ・2000GTのオープンカー、追いかけていたのがトヨタ・クラウンだったということは、オープンのボクスターを追いかける覆面のクラウンをヘリが磁石で吊り上げて榛名湖にポイッと(以下略)

by wata (2018-11-05 19:52) 

wata

なべさん、こんにちは。

正直かなりビックリしましたけど、おかげさまで記事の通り何事も無く、いろいろな話を聞くこともできました。
もちろん捕まって良かったとは思いませんが(汗)、とても貴重な体験をすることができたと考えていますし、その体験をBlogに記したことで、私のようにとっ捕まる人が減ってくれれば本望です。
ま、ぐっさん達も私も、今回はキップを切ることはできないとわかっていましたから、私は大いに楽しませてもらいましたよ。
もしも速度違反で検挙されていたら、さすがに笑ってばかりもいられないと思いますけどね(笑)。

by wata (2018-11-05 19:52) 

ラビー

普通にドライブを楽しんでいる側としては、
迷惑車を検挙してくれるのはありがたいですけど、
巻き込まれるのは、困ります、はい。

びっくりで、貴重な体験でしたね~お疲れさまでした。
(美女~なんて、手を振ってて目を付けら・・違
うちは大多数派で、のんびりドライブですから、
大丈夫だと思われますが(前橋~伊香保、メモメモ・・・ぷぷぷ

8時の方向上空は、私の担当になりました。
責任重大です~(笑

by ラビー (2018-11-05 20:54) 

wata

ラビーさん、こんにちは。

ヘリコプターの動員については知ってはいましたが、まさか自分がターゲットになるなんて、夢にも思っていませんでしたよ・・・。
30年/50万km超のドライブ人生における、極めてエポック・メイキングな出来事となりました(笑)。
しかし文中に記したとおり、今回はオープンで走っていたからこそヘリコプターに気がついたんです。
屋根つきの右ハンドル車だったら、運転席からの目視は絶対に不可能ですから、ラビーさんの役割は超重要ですよ。
「発見⇒回避」のレポート、お待ちしています(笑)。

by wata (2018-11-05 23:25) 

katsupon

オープンじゃないと、ヘリは気がつきそうにないですね。
空まで気を使いながら運転しないといけない時代って、返って危険なような感じがします。
by katsupon (2018-11-06 00:26) 

wata

katsuponさん、こんにちは。

オープンカーのオーナーでも、「高速道路は風の巻き込みが強いので、好天でも屋根を閉めて走る」という方は少なくないと思います。
しかし屋根を閉めていると、ヘリコプターの存在を察知することはできないんですねぇ(汗)。
屋根を開けたオープンカー以外のクルマでは、窓から顔を出して後方上空を目視しない限り、どうやってもヘリを見ることはできません。
なので、ボンネットの先端に設置する「スカイミラー」とか、屋根の上に装着する「スカイカメラ」を開発して販売すれば、大儲けですよ(嘘)。

by wata (2018-11-06 18:52) 

nago

いつも読ませていただいています。貴重な体験でしたね。
私も981サファイアブルーボクスターなので気をつけます!
by nago (2018-11-09 23:51) 

wata

nagoさん、はじめまして。

コメントいただき、どうもありがとうございます。
同じサファイア・ブルーのボクスターにお乗りなんですね!
「目立つ」と言う理由だけで警察のヘリコプターにマークされるのは極めて心外ですが(汗)、お互い気をつけて楽しく走って行きましょう。
いつか関越道を一緒に走って、追っ手の目をくらますのも楽しいかもしれませんね(笑)。

by wata (2018-11-11 19:37) 

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