チェック・アウトを済ませ、提携のタワー・パーキングからボクスターを出庫。
高知市内、
R33を西に向かい、路面電車と並走しながら幌を下ろす。
空は問答無用のド快晴、しかもこれから数日間は晴天が続くというのだからたまらない。
いの町からは
R194で仁淀川に沿って走る。
良く整備された広い道で、クルマは多いものの流れは良く、ストレスなく流すことができた。
そのR194から離れる仁淀川を追って、
K16へと左折。
改良済の2車線とリアル1車線とが交互に現れる、四国でよく目にするフォーマットのローカル県道だ。
四国と言えば、沈下橋のある風景が印象的である。
仁淀川にもいくつか架かっており、そのうちのひとつである
片岡の沈下橋に立ち寄った。
地元の軽トラが渡る欄干の無い橋を眺めながら、いの町の
ファミリーマートで調達しておいたおにぎりを喰う。
少し肌寒いが実に気持ち良く、頬張るおにぎりも旨さ倍増だ。
R33に復帰、車列の1台となりしばらく走ってから
R439へと左折。
「与作」の愛称で知られ、ドイヒーな極悪山峡路のイメージも強い国道ではあるが、この区間は改良済の2車線路がメインである。
交通量は僅少、気持ちよく走っていると左手の駐車帯にトイレがあったのでありがたくお借りした。
と、その奥に神社があるようなので立ち寄ってみる。
小さな
三所神社に人の気配は無く、賽銭箱すら置かれていないものの、実に趣深い。
社殿に彫られた龍神像も風雪を感じさせるが、その眸力[めぢから]は未だ衰えていないようにも思える。
二礼二拍手一礼を以って、旅の無事を祈った。
2車線の快走路は、やがて
矢筈峠へと上る狭いワインディングとなる。
この道は
2年前にも走っているのだが、その時は前夜の食当たりのせいで体調が極めて悪く、山の中で吐いてしまったのだ(涙)。
今日はもちろん体調万全、ギア・スティックを2速に叩き込み、絶え間なく現れるタイト・コーナーをリベンジとばかりに次々とやっつけていく。
それにしても、クルマもバイクもまったく走っていない。
峠のトンネル手前でキーを抜くと辺りは静寂に包まれ、聴こえてくるのは鳥の囀りのみであった。
峠を降りると「与作」は再び明るい2車線の山間路となり、R197に突き当たる。
ここでいったん東へトラバースし、
K19で南下する四万十川のフォローを開始する。
交通量皆無、バイパスのようなトンネルから車幅ギリギリの未改良路まで、何でも揃う素晴らしい道だ。
途中、立ち寄ったトイレの近くに地元スーパーのような店がある。
レトロ風な手作り看板だらけの「
みどりや」は、何だかよくわからないけどとても楽しい感じの店。
店内もセンスあるPOPや看板でいっぱいだ。
接客してくれたおじさん曰く、これらはすべて息子さんが趣味で作ったものなのだそうだ。
ちょうど小腹も空いていたので、鶏天を買って外のベンチで喰う。
これがまた旨いんだ。
楽しかったK19を窪川で走り終え、ここからは
R381で引き続き四万十川を西へと追う。
春の日差しがたっぷりの土佐街道は緩いコーナーが連続する広い2車線路で、実に気持ちがいい。
交通量はゼロでは無いが、見通しも良いため極めて迅速かつ安全にブッコ抜かせていただくことができるのだ。
沿道の桜はまだ咲いてはいないものの、走り過ぎを諫めるべく脇道に寄れば、菜の花が眩しいほどに咲き狂っている。
いやもう、最高。
昼時となり、何か軽く喰おうと道の駅「
四万十とおわ」にピット・イン。
カフェや食堂、ジップライン乗り場などを併設した、とてもお洒落でキレイな建屋である。
名物的な感じのカリーパンを買い、テラスで四万十川を眺めながら喰った。
これもまた旨かった。
四万十川を河口までトレースすべく、R381と別れて
R441を南下。
以前と較べて改良区間は着実に増えてはいるものの、相変わらず広狭混在の見本のようなローカル国道で、とてもおもしろい。
狭隘区間で対向車に出くわし、互いに譲ったり譲られたりしてハンド・サインを交わすのもまたいいものだ。
たゆたう四万十川には沈下橋がいくつも架かっており、立ち寄るバイク集団の姿もちらほら見受けられるようになってきた。
山間へと向かうR441から引き続き四万十川沿いを走るべく
K340をチョイス、リアル1車線路を抜けて中村の町に出る。
堰堤上の
R321を河口近くまで走ったところで、130kmに及んだ四万十川フォローは終了。
心に残る、抜群のリバーサイド・ドライブであった。
R321を土佐清水まで下ったところでK347へと左折、
K27に入り時計回りで足摺岬へと向かう。
海沿いではあるが海はあまり見えず、変化に富んだワインディングを楽しむこととなる。
足摺岬の少し手前にある、新しく大きな
駐車場で休憩。
風は強くはなかったものの、碧く広い太平洋の沖には小さく白波が立っていた。
この先の足摺岬は予想通り混雑していたので、あっさりとスルー。
K27は森のトンネル状態、木漏れ日で見えにくい路面状況に注意しながら、宿への分岐を探した。
看板に従って狭い急坂を上り、丘の上に建つ「
民宿 青岬」に到着。
2階の広いシングル・ルームからは、太平洋が一望である。
ゆっくりと風呂に浸かってから、食堂で晩飯をいただいた。
カツオのタタキはもちろん、タイやマグロの刺身も抜群に旨い。
例によって一番安いプランなのだが、味も量も大いに満足できる夕餉であった。
今日は山から川、海へと走り続けた、素晴らしいドライブの一日だった。
部屋に戻って
ツーリングマップルを開き、明日の行程をざっくりと考えてから床に就いた。
本日の走行距離は、301km。
走行時間は6時間13分、平均速度は50km/h。
平均燃費は、11.4km/lであった。
つづく。