P Zeroは、とてもいいタイヤだと思います。
そもそもポルシェ社に限らず、BMWやメルセデス・ベンツ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンなどが承認しOE採用しているタイヤなのですから、私ごときがどうこう言うのは僭越にも程があるんです(汗)。
とは言っても最終的に評価を下し、次にまた同じタイヤを買うかどうかを判断するのは、身銭を切って自分のクルマに履かせているオーナーの仕事。
合計26本のP Zeroをボクスターに履かせ12万kmほど走らせてきた私も、ここらでちょいと振り返ってみることにします。
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まず、P Zeroにグリップ不足を感じたことは一度もありません。
コーナリングはもちろん、アクセル/ブレーキ時のグリップも万全で、特にドライ路面であれば、体感的なグリップ・ロスはゼロに等しいのではないかと思います。
今思い返してみても、ドライブ中にPSM[ポルシェ・スタビリティ・マネージメント]の作動灯が光ったことはほとんどありません。
また、ウェット・コンディションであっても、ウェットなりのペースで走らせていれば、グリップに不安を覚えることも無いのです。
どんだけ盤石なタイヤやねん、と改めて思います。
ステアリング・レスポンスは、とても気持ちよく仕上げられていると思います。
コーナーではステアリングの切り始めから切っただけ、微舵角であっても、タイムラグ無しにボクスターはスッと曲がってくれます。
しかしながら神経質なところはなく、高速道路で直進を保つためにハンドルを握りしめている必要もありません。
シャープ過ぎずダル過ぎず、いいところを突いたセッティングだと思います。
このようにスポーツ性能は言うこと無しなのですが、その皺寄せを食らっているはずのライド・コンフォートについても、それほど悪くはありません。
ロード・ノイズは小さくはなく、コーッという音が常に聞こえてきますが、まぁ許容範囲でしょう。
一方で、ハーシュネスに眉を顰[ひそ]めるようなことはあまりなく、それに伴う振動も少ないので、長距離を走らせてもタイヤに起因する疲れはあまり感じられないと思われます。
トレッドウェア(耐摩耗性能)については、もう少し頑張ってくれるとありがたいんですけどね。
ポルシェがボクスター用として承認した19インチのP Zeroは、
UTQG-TREADWEAR値が前後とも同じ220となっています。
が、私のボクスターの場合、これまでの平均交換サイクルはフロント20,679km(
バースト時を除く)・リア14,936km。
前後重量配分が46:54のミドシップ・レイアウト故か、摩耗速度が前後で異なるので交換タイミングもズレており、これまでの12回のタイヤ交換作業のうち、4本をいっぺんに換えたことは2回しかありません。
ま、2本だけの交換は分割払いみたいな感じでサイフには優しいものの、その代わり交換作業の回数は増えちゃうんですよねぇ・・・。
平均すると5ヶ月に1回のペースでタイヤ交換に赴いていることになるため、我ながら「オイル交換じゃないんだから」とツッコんでしまいました(汗)。
ただP Zeroは、摩耗によるパフォーマンスの低下があまり感じられず、最後まで使い切れるのもいいところ。
なので私の場合、タイヤ交換のタイミングは「スリップ・サインが出たら」ではなく、「スリップ・サインが消えたら」としています(←いいのか?)。
最後に、コスト。
これまでに履いたP Zero26本の総費用(購入+交換)は763,802円、1本あたり29,377円です。
値段は上昇傾向にあり、正直言ってキツいのですが、タイヤはWebマーケットで調達しているので、これでもかなり安く上がっている方だと思います。
ディーラー・サービスと比べれば、半額以下なのではないでしょうか。
ちなみにP Zeroは、ポルシェ社が承認している同サイズのイーグルF1やヨコハマ・アドバンスポーツV105と較べれば、多少は安価です。
・・・でも、やっぱり高いんですよね(涙)。
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以上申し述べた通り、ピレリ・P Zeroは素晴らしいタイヤです。
N0もN1も履きましたし、Nマークのつかないサイズ違い(フロント225、同245、リア275)を装着したこともありましたが、いずれも体感的に大きな違いはなく、非の打ちどころがありません。
P Zeroの限界は私のドライビングの遥か上にあって、その性能を使い切ることはできないだろうと思っています。
値段も高いですし、なんだか私にゃもったいないような気もしています(汗)。
しかし、そもそもタイヤはクルマの一部です。
我々が体験しているのはタイヤ単体の性能ではなく、そのタイヤを履かせたクルマのパフォーマンスなのです。
以前に乗っていた
ALPINA B3は、メーカーがミシュラン・パイロットスポーツを履かせるよう指定していました。
私はB3購入後5万km&17本でその掟[おきて]を破り(笑)、以降の15万kmは、
ミシュラン1本の値段で4本買えるタイヤなど7銘柄60本を履きました。
どのタイヤも特に破綻や不満はなく、性格の違いやトレッドウェアの差こそあれ、大いに楽しむことができています。
それはB3のシャシーがとても良くできているため、タイヤに頼らなくても高いパフォーマンスを発揮できたからなのだ、と思っています。
低重心の水平対向エンジンをミドシップに低くマウントし、アルミなどの多用で軽量構造を採っているボクスターは、ハンドリングやトラクションが極めて優れているクルマだと思います。
もちろんP Zeroはとても良いタイヤなのですが、上述したような走りの素晴らしさは、タイヤ性能よりもボクスターの高いシャシー性能に負うところが大きいと思っています。
従って、私にはP Zeroレベルの高級タイヤは必要ないのではないか、と考えるようになりました。
でも、ボクスターのへんてこなサイズが前後揃う19インチのタイヤって、Nタイヤやミシュランの高いヤツしか無
・・・あった。いや~、楽しみです(笑)。