市街地を抜け、K51で熊本港に着く頃には夜が明けてきました。
フェリー・ターミナルで乗船手続きを行い、7時30分発の島原行き熊本フェリー「オーシャンアロー」に乗艦します。
この鑑は高速型とのことで、外観は大型クルーザーのようでとてもカッコいい!
出港するなり一気に加速して、前を行く貨物船をたちまちブッちぎり、穏やかな朝の有明海をフェリーとは思えないスピードで突っ走るのです。
ちなみに同じ航路を運行する九商フェリーの在来鑑だと1時間かかるところを、この高速艦はわずか30分で運航しているとのこと。
その分、料金は高いのですが、このスピードにはテンションが上がります(笑)。
後部デッキのチェアに陣取り、家族連れが投げる菓子を狙って群がるカモメの姿を眺めながら、六甲山でMinaさんにいただいた焼き菓子とセブン-イレブンで仕入れたコーヒーとで朝飯です。
いやもう、最高!
曇り空の島原に上陸、長崎県の旅が始まりました。
内陸部や雲仙周辺、および西海岸は景色も走りも楽しめる道が多いのですが、山にはどんよりと黒い雲がかかっていたので、そのまま沿岸部を進むことにします。
が、初めて走った東〜北部沿岸のR251は単なる生活道路で交通量も多く、面白くもなんともありませんでした(涙)。
R57で混雑する諫早の街を抜け、大村湾沿いのR207に出ます。
10kmほど走ると前走車両のほとんどがK33へと流れ、道はようやく走れる状態になりました。
バイパス化されていない、岬や入江の線形に従ったワインディングを快走し、みかん畑の際で小休止。
空は春のように柔らかく晴れ渡り、暖かで実にイイ感じです。
混雑する時津の市街地から、R206で脱出。
K115から別れた西彼杵[にしそのぎ]半島大規模林道はよく整備されており、かつ誰もおらず、3速⇔4速でボクスターを存分に走らせることができました。
広域農道と同様、大規模林道も裏切らないですね。
K67から半島西岸のR202に出、海の風景を眺めつつのシーサイド・ランを経て、昼飯処を探します。
西海市大瀬戸町の国道裏に佇む、「いそべ食堂」。
営業中の看板は出ているものの、扉を開け声をかけて奥からおばちゃんが出てくるまでは、やってないんじゃないか的な雰囲気が炸裂です(笑)。
そんなブイシーな食堂で喰ったのは、野菜の旨味がスープに溶け出したあっさり味のちゃんぽんです。
これが500円でいただけるのですから、ありがたいですよね。
ごちそうさまでした!
これがまた走り放題で、遠慮なくマイペースで突っ走らせていただきました。
K43でR202に出たのですが、佐世保方面への道はいつも混んでいる印象があるため、高規格の有料バイパスである西海パールラインへと逃げることにします。
ここに限らず、海と島/半島とで複雑に構成される長崎県は、地理的にトラフィックのボトルネックとなる箇所がいくつもあるんですよね。
青い海を渡り、西九州自動車道を佐世保三川内ICまで走って一般道に復帰、佐世保圏を大きく迂回する山間ルートで西へと向かうことにしました。
K53は狙い通り交通量僅少、ヘアピンを重ねて標高を稼ぎ、山の上に出ます。
その先のK54も同様の山間ワインディング・ロードで、午後のオープンエア・ドライビングを大いに楽しみました。
小さな世知原の町の先を起点とする広域農道/北松やまびこロードがまた、笑えるほどのド快走路。
沿道にも路上にも誰もおらず、何の遠慮も無く走ってるんですけど、大丈夫なんでしょうか(汗)。
K144→K61と結び、大きなイチョウの木の下で小休止してから、広域農道の続きを田平まで走り切りました。
いやマジで、これは平戸までのベスト・ルートなんじゃないかと思います。
平戸大橋を渡り、川内峠へと上がります。
峠と言ってもゴリゴリに走る山道ではなく、景観第一の丘陵路なのですが、短いながらとてもいいんですよね。
ススキが広がる草原を気持ちよく流し、パーキングから海を眺めました。
K19を更に西へ走ると、やがて水色の巨大な橋が姿を現します。
西の果て、生月島までやってきたのです。
道の駅「生月大橋」に立ち寄り、改めてその生月大橋を下から眺めました。
強風が吹いているものの午後の陽射しはとても強く、気温は20度以上もあり暑いくらいです。
ここからGTの目的路のひとつである農免農道、生月サンセットウェイを走ります。
断崖と海の風景は相変わらず素晴らしく、何度来てもまた来たくなる道のひとつなんですよね。
東京から直線距離でも1,000km近く離れた最西端の絶景路で、「やってきた感」に満たされながらボクスターを走らせました。
終点からK42を北に向かい、行き止まりの駐車場から大バエ灯台へと歩きます。
凄まじい風に飛ばされそうですが、やはりここに立つことが必要なのです。
復路もまた、サンセットウェイを南下。
往路で見かけたカッ飛びバイクも既に撤収したようで、独りのんびりとマイペースで走り続けました。
さて、今日は生月島南部に宿を取っているのですが、その場所がよくわかりません。
カーナビに任せて小さな町並みに入ったものの、軽自動車でもギリギリな感じの迷宮路を案内されて一旦停止。
うちのカーナビ、郊外の快走ルートは得意なのに市街地で迷ってしまうあたり、オーナー・ドライバーの性癖をよく学習しているようです(汗)。
Googleマップのルート案内も同じなので途方に暮れていると、どこへ行くんだ、と通りかかったおじさんから声をかけられました。
で、説明するとおじさんは近くを歩いていたおにいさんを呼び止めて更に説明、するとそのおにいさんが自分のクルマで宿まで先導してくれると言うのです!
おじさんに礼を申し述べ、おにいさんの軽バンの後について走ります。
ぐるっと大回りし、こんなん絶対にわからんやろレベルの狭い道や急な坂を経由して、宿の手前に到着することができたのです。
Uターンして戻るおにいさんに心からお礼を言って、宿のおばちゃんに聞いた駐車場にボクスターを駐めました。
しかし帰り道がわからんな・・・と思いつつトランクから荷物を出していると、そんなオッサンの困り顔を見かねたのか、近所のおねいさんが声をかけてくれ、大通りに出るルートを教えてくれたのです。
いやもう、みんなどうしてそんなに優しいの(涙)。
親切な皆さんの善意があって、ここまで来ることができたのです。
この感謝を忘れずにいようと思います。
「民宿しゅん」は、典型的な昔ながらの漁師民宿。
宿のおばちゃんはとても明るく元気で、何かと声をかけ話をしてくれました。
通された2階角部屋の6畳間は、寝ながら引っ張れるように蛍光灯のヒモが延長されている時点でもう合格です(笑)。
小さな風呂で旅の汗を流し、部屋でゴロゴロしているうちに階下から「ご飯できたよ~」の声。
仏壇の前の大広間に胡坐をかき、京都と熊本から来たというおばちゃん二人と宿のおじちゃん&おばちゃん、私の5人で一緒にいただきました。
おじちゃんの解説によれば、皿に盛られた刺身はヒラマサ、ウルメイワシ、アジ、マダコ、そして高級魚と言われるスマガツオ。
刺身だけで明らかに2人前以上はあるのですが、その脇を固めるヒラメのあら煮、アジフライ、ヒラマサの一夜干し、生月製のかまぼこ、漬物、酢の物、酢豚に煮玉子にカニ汁と、とにかくすんごい量なのです。
魚はすべて生月の海でおじちゃんが獲ってきたり仕入れたりして、自分で調理しているとのこと。
炊き立てツヤツヤのごはんも自家製で、都度精米しているというのですから恐れ入ります。
で、初めて喰ったスマガツオを筆頭に、どれもこれもめちゃくちゃ旨い!
さすがに喰いきれず残してしまいましたが、楽しく話をしながら囲む食卓は最高でした。
本日の走行距離は、297km。
走行時間は6時間32分、平均速度は47km/h。
平均燃費は、10.9km/lでした。
旅も終盤、明日の夜はGT最後の宿に泊まることとなります。
願わくばあと1週間ぐらいは走っていたいのですが、そういうワケにも行かないので(←当たり前だ)、悔いなく楽しく走りましょう!