ビッシリと湯花の浮いた超絶濃厚温泉に浸かり、夜露に濡れていたボクスターを拭き上げ、合宿のような雰囲気で朝食を喰ってチェック・アウト。
2食付きで8,980円と、今回のGTで最も高い宿となったが、その宿泊代は食事やホスピタリティなどではなく、すんごい泉質の温泉そのものの対価なのだなと思った。
気温は既に14度と暖かく、乾いた幌を下ろしてR5まで戻り、D9を経て黒松内から
D523で海を目指す。
この道は初めてなのだが、無人の明るい原野の中を走る爽快な道道で、峠を覆うスノー・シェッドの脇からは穏やかな日本海を望むことができた。
下りきったところで右折、R229で海沿いを走る。
これから向かう積丹半島を望む
弁慶岬には、その名の通り武蔵坊弁慶の像が青空に仁王立ちを構えていた。
輝く太陽の下、素晴らしい海と半島の景色を眺めながら、引き続き雷電国道/追分ソーランラインを北上。
前走車はゼロではないが、無理して抜くほどでもないペースで走ってくれているのがありがたい。
で、連続する長いトンネルを出て岩内の街を通過、
泊村のあたりで対向車線に注意を払っていると・・・あ、いた!
マグネティック・ブルーの「プジョー・308GTi 270 by プジョースポール」で現れたのは、クルマ仲間のKさんである。
彼は今朝のフェリーで小樽に上陸し、ちょうど私と入れ違いで、これから北海道を爆走するのだそうだ。
例によって待ち合わせの場所や時間などは定めず、互いにGPSロケーション情報をシェアしながらのランデブー。
既に
D998/トーマル峠を攻めてきたとのことで、他に例を見ないスノー・シェッドに覆われたハードなワインディングと、納車間もない308GTiのめちゃくちゃな速さとを堪能し、大いにご満悦の様子であった(笑)。
「腹減った。ウニが喰いたい。この日のためにウニを喰わずにいた」というKさんに従い、店を探しながらR229を走る。
で、神威岬の付け根にある「
食堂うしお」に入り、一緒に飯を喰った。
彼は浜中産の生バフンウニやイクラなどが載った3,200円の丼に舌鼓をうち、ウニもイクラも喰えない私は700円の玉子とじ丼で十分満足である(笑)。
店を出て眺める海は、素晴らしくキレイな積丹ブルー。
308GTiのマグネティック・ブルーとボクスターのサファイア・ブルー、それぞれと同じ色を、その水面に見つけることができた。
食後は
神威岬を歩こうと思っていたが、駐車場に溢れるクルマやバイクを見た瞬間に、その企画を中止。
国道まで戻ったところで、Kさんとはお別れだ。
旅の無事を祈って互いにクラクションを交わし、ニセコ方面へと向かう308GTiのテールを見送った。
青い空と碧い海を左手に、素晴らしいクルージングが続くR229。
しかしながら走るにつれて交通量はどんどん増加、余市から先の
R5では渋滞に近いレベルにまでペースが落ちてしまう。
仕方がないので、道東の原野を爆走していた数日前のボクスターを思い浮かべながら、その場をしのいでいた。
早めに小樽に着いて街を散策し、旨いラーメンでも喰おうと思っていたのだが、どうやらそこまでの余裕は無さそうである。
で、小樽運河近くのファミリーマートでドリップ・バッグ・コーヒーや食料品などを買い込み、客船ターミナルへと向かった。
16時過ぎにボクスターをフェリーへと乗り入れ、第5甲板の部屋に入る。
往路と異なり、復路はツインのシングル・ユースだ。
小樽発新潟行の新日本海フェリー「あざれあ」は、定刻の17時ちょうどに港を離れた。
デッキに出て風に吹かれながら、夕刻の小樽港が遠くなるのを眺める。
振り返ってみれば、あっという間のグランド・ツーリングであった。
さよなら、北海道。
いずれまた、ボクスターを走らせにやって来よう。
本日の走行距離は、227km。
走行時間は4時間17分、燃費は13.2km/lであった。