6時前に朝風呂へ入り、スイッチ・オン。
昨日は2時半起きで700km近く走り22時には爆睡、今朝の寝起きは呆人状態全開ではあったが、熱めの湯に浸かっているうちにすっかり目が覚めた。
着替えを済ませ本館「川湯みどりや」へと歩き、例によって朝食バイキングを鱈腹喰う。
荷物をまとめてチェック・アウト、ボクスターの屋根を開け放って2日目がスタートした。
気温は5度と少々肌寒く、グローブを嵌めてステアリングを握っていたが、広く緩やかなカーブが続くR311のドライブは実に爽快である。
中辺路[なかへち]からはK198で北上、タイトなコーナーにP Zeroを食らいつかせて、梅の咲く峠のトンネルを越えていった。
曇り空の下、龍神の集落を過ぎると沿道から人家はなくなり、徐々に高度が上がり始める。
このツーリングの目的路のひとつである高野龍神スカイラインを走るのは実に6年ぶりのことであり、ボクスターでは初ドライブだ。
2速メインでパワー・バンドをキープしながら、山腹に貼りついた急勾配のワインディングをぐんぐんと駆け上っていく。
現時点のスカイラインは「昼間チェーン携行、夜間通行止め」 とアナウンスされてはいるが、路肩に雪の固まりが散見されるものの路面は完全なドライ、かつトラフィックはほぼ皆無。
ヒルクライムを存分に楽しんで、標高1300mに届く護摩壇山[ごまさん]のパーキングに到着した。
空は雲に覆われてはいたが風は無く、冷たく澄みきった山の空気が実に気持ちがいい。
ここから先は、1000mクラスの尾根上を北に走る。
木々の間から下界を眺めつつのドライビングは実に爽快で、改めてこの道は素晴らしいと感じ入る。
やがて道はタイト・コーナーの連続するダウンヒルとなり、一部に荒れた舗装やゼブラ・ペイントが現出するのだが、ボクスターはそんなもんをモノともせずに危なげなく下っていく。
終着の高野山まで、最高の山岳ドライブを堪能することができた。
シーズンの狭間でもあるためか、金剛峯寺には思ったほど人はおらず、実に静かで厳かな雰囲気である。
信心深くも無いくせに、寺社仏閣に足を止めて立ち寄るようになったのは、何年ぐらい前からのことだろう。
やはり歳を取ったからなのかな・・・と思いつつ、石段に腰掛けて境内をボーッと眺めていると、存外に若い人の姿が目につく。
そうか、寺や神社に来るのはオッサンばかりじゃないんだ!と立ち上がりかけたものの、自身がオッサンである事実に変わりは無いことにハタと気がつき、再び腰を下ろすのであった(涙)。
いつの間にか晴れてくれた空の下、R480で下山すると外気温は一気に20度まで跳ねあがり、信号待ちでパーカーを脱いで長袖シャツ1枚になる。
紀ノ川を渡って続くR480はかつての「酷道」から一転、長大なトンネルで和歌山/大阪の府県境を越える完全なメイン・ルートとなっていた。
しかし私はバイパスを離れ、まだ生きていた旧道をぐいぐいと上り、7年前と同様、静かな鍋谷峠を抜けて森の中の狭い屈曲路を下っていく。
風情があって気持ちの良いこの峠道を、是非とも残しておいてほしいと本気で思った。
ローソンの駐車場でアイス・コーヒーをすすりつつツーリングマップルを開き、今日はここから日本海を見に行くことに決め、「じゃらんnet」で宿を検索&予約。
ガソリンを満タンにしてから岸和田和泉ICへとアクセス、市街地をパスすべくカーナビの指示に従って、ややこしい大阪の高速道路網を走り続けた。
100km程先、京都縦貫自動車道/八木東ICでアウト。
ここから初めて走ったR477がまた狭く暗い山道で、いかにも「京都の裏」といった感じでいっぺんで好きになった。
およそドライブ・ルートとして択ばれるとは思えないタフな国道ではあるが、機会があればもう一度走ってみたいと思わせてくれる道であった。
京北からは、R162一本で日本海を目指す。
しかしながら時刻は14時を過ぎ、朝飯にガッツリ喰ったバイキングもすっかり消化してお腹がグー。
ということで、スーパーの軒先で営業していた軽トラでたこ焼きを買い、アツアツをハフハフ言いながら頬張った。
R162は、バイクでごった返す道の駅「美山ふれあい広場」を過ぎると交通量がグッと減る。
杉木立の中を走り抜け、京都/福井の府県境にあるトンネルを抜ければ、その先にダイナミックなロング・ダウンヒルが待っているのだ。
下りきってからもしばらくは田園風景の中をハイペースで走り続け、小浜の街に出る。
内外海半島に立ち寄り、静かな日本海の景色を楽しんでから、R27で宿に向かった。
二食つきで予約したのは、若狭高浜の「城山荘」。
元は国民宿舎であったのだろう、建屋は旧いが私にとっては十分で、若狭富士を眺めながら入れる風呂は最高である。
夕食に出された地元魚介類のソテーは、バルサミコ酢とオリーブ・オイルの香りが素晴らしく、二食つき8,000円の宿で出されるレベルの料理を遥かに超える旨さであった。
再び風呂に浸かりながら、明日のルートを思案する。
天気予報はどこもかしこも雨とのことで、逃げ道が見当たらないのだ。
さて、どうしよう。
つづく。