波久礼[はぐれ]のT字路、信号待ちの間にマフラーを巻きグローブを嵌め、青信号とともにボクスターのルーフを開けつつ国道と並行するK82へと橋を渡りました。
外気温計は氷点下1℃、濡れている路面に注意しながら皆野の街まで走り、誰もいないK37から小鹿野でR299にスイッチ。
いつの間にか空はすっかり晴れ渡ったものの、上武国境を目指して走り続けていくうちに案の定、融け残った雪の塊が路肩に現れ始めました。
大丈夫か、おい(汗)。
志賀坂峠へと上るワインディング・セクションに入ると気温は上がり始め、路面はほぼドライ・コンディションとなります。
南斜面、且つ森の中で放射冷却を免れるためか、暖かいんですよね。
2速メイン、スポーツ・モードとハーダー・サスペンションのセッティングで屈曲路を駆け上がっていくうちに、リズムを掴んでペースも上がってきました。
眺望の効く短いストレートでエンジンを切ると、無人の峠道は全き静寂に包まれ、人の音も鳥の囀りも風の声さえも聴こえません。
暖かく眩しい朝の太陽に目を細めながら清冽な山の空気を思い切り吸い込めば、ウィーク・デイに溜め込んだ汚れが一気に浄化されて冬の青空へと消えていきます。
よーし、この勢いで群馬県側へ突入して全力でダウンヒ
「ひぃ」
ブラインド・コーナーの先は、凍結路。
同じ峠道でも県境の向こう側はまったく異なる様相を呈しており、アクセルを開けることのできる状況ではありません。
とは言え路面は走れないほどではなく、交通量ゼロで下りだったことも幸いして、ボクスターはゆっくりとではあるもののコントロールを喪うこともなく、無事に下山することができました。
清流・神流川[かんながわ]に沿う快走路となったR299を西へ文字通り快走していきますが、最西部の上野村に入ったあたりから路面には雪の名残りの轍が現れ始めます。
注意を怠らずに走り続け、「上野村ふれあい館」で小休止。
まだ開館前だったので自販機でホット・コーヒーを買い求め、陽が当たり始めたテーブルで持参したマーブル・ケーキを喰いました。
うーん、贅沢。
K45の旧道沿いにある大好きな「峠のうどん屋 藤屋」は、開店時刻までまだ2時間以上もあるので閉まっていて当然ですが、入口に年末のご挨拶的な紙が貼ったままになっているのが気がかりです(汗)。
引き返してK124から奥地へと上ってみたものの、途中からリアル凍結路となってきたため、スタックorスピンする前にUターンを切りました。
途中、路肩の軽トラから飛び出してきた猟師さんが素早く猟銃を構え、おいおいマジかよと思う間もなく対岸の斜面に向かって膝撃ちでバーンと一発!
あまりの銃声のデカさにビックリ仰天、驚かせてごめんねと言う猟師さんに訊いてみたところ、今は鹿を追って山の中を移動しているのだそうです。
山を下り、浜平温泉「しおじの湯」に立ち寄ってみると、今度は「リニューアルのため2月末まで休業」の貼り紙が・・・。
うーん、残念ではありますが、暖かくなったら再びやってくることと致しましょう。
ドライブは続きます。
R299→R462と東に戻り、K71を右折して本日2発目の峠越えを敢行。
大好きな土坂峠はやはりベスト・コンディションとは言えず、群馬県側は例によって滑り止めの砂で滑るというアイロニーが炸裂します(笑)。
県境の隧道を越えた埼玉県側に砂は撒かれていないものの、ハーフ・ウェットな感じの区間が少なくありません。
それでもボクスターのハンドリングを楽しめないワケではなく、右へ左へステアリングを繰りながら、対向車も前走車もいない峠道を気持ち良く下っていきました。
K37でR299を越えてR140まで出、一般の方々の車列に混じって秩父の市街地に入ります。
さすがに待ってまで喰うつもりもないので国道へ戻ろうとしたものの、既に後続車が2台ほど入ってきているためバックをすることもできず、流されるままにボクスターを駐めてウェイティング・リストの2ページ目中段に「1名」と書きました(涙)。
しばらく経ってから数えてみてもまだ15組も待っているため、やっぱり撤収しようとリモコン・キーでロックを解除すると、「あのー、このボクスターの方ですか?」
訊けば、40代前半と思しきその男性も987型ポルシェ・ボクスターを所有しているとの由。
今日は他のクルマで来たとのことですが、ここ秩父の豚みそ丼屋の店先で、思いがけずボクスター談義が始まることとなったのです(笑)。
オープン・トップの開放感やパフォーマンス、サウンド、ユーティリティなど、ことごとくポジティブな見解の一致を見ながら話をしているうちに、時間はあっという間に経過。
店のおねいちゃんに名前を呼ばれて席待ちであることを思い出し、男性にお礼を申し述べて店に入りました。
豚みそ丼の大盛りは、豚肉が丼からハミ出る勢いで盛りつけられており、炭火で香ばしく焼かれた味噌漬けのロース肉とバラ肉は、なるほど文句なしの旨さです。
結局、到着から着丼まで1時間近くかかりましたが、その待ち時間の大半を、見知らぬボクスターのオーナーさんに救っていただくこととなったのでした。
どうもありがとうございました!
太陽は高く、気温は14℃まで上がっており、重い上着を脱ぎ捨ててダンガリー・シャツ+シート・ヒーターでリスタート。
3発目の峠道はテクニカルなタイト・コーナーが続くK11で、定峰峠を目指します。
たまにバイクが下ってくるので路面に雪は無いのでしょう、引き続き対向車に十分な注意を払いつつ、雪融け水を蹴散らしながら、峠を越えてボクスターを走らせました。
それにしてもこのクルマ、本当に良く曲がる。
私ごときのペースでは破綻する気配すら感じさせることはなく、不意のコンビネーション・コーナーでも追加のステアリング操作を無条件に受け入れて、そのままコーナリング・パワーへと昇華してくれるのです。
いやほんと、運転が上手くなったと錯覚しないよう、常に自身を戒める必要があるほどです(汗)。
ここまででもう十分走りましたが、帰る前にあとちょっとだけ走ろうと思い、K361へと左折。
シャシーが捩れるような急カーブ&急坂路をアクセル開けて上りきり、「秩父高原牧場」に出ました。
オフシーズンの牧場に立ち寄る酔狂なオッサンはどうやら私だけのようで(笑)、春のような陽射しに霞む秩父の山々が居並ぶ景色を、文字通り独り占めです。
早起きして凍結路にビビりながらも、ここまで走ってきた甲斐が本当にあったよな・・・。
そんな想いを胸にボクスターを再起動、帰宅の途に就くべく下界へと駆け下っていきました。
本日の走行距離は、375km。
走行時間は6時間51分、平均速度は56km/h。
平均燃費は、10.9km/lでした。
---
冬の秩父-奥多野ドライブ。
一部の道は凍ってたりしていたものの、出発前の予想よりも遥かに走ることができました。
今回走ったエリアはそもそも雪が多く降る地域ではないので、強い低気圧に見舞われたりしなければ、春を待たずとも再び走ることができるでしょう。
また、久しぶりの山間ドライブは、久しぶりのソロ・ドライブでもありました。
仲間と走る楽しさは格別ですが、単独行であれば前走車に引き離されることも後続車に詰められることもなく、マイペースで走ることができるのが大きな魅力なんです(笑)。