これから紀伊半島へとツーリングに出る。
深夜出発→早朝着でも良かったのだが、今夜のうちに現地入りすることにし、ビジネス・ホテルを予約してから出発した。
しかし首都高は、中央環状線が大橋JCT手前で大渋滞。
その先、東名も横浜青葉ICから事故渋滞、R246へと迂回したがそれでも大幅に時間を食ってしまう。
カーナビの示す到着予想時刻は午前1時半、それを少しでも縮めようとボクスターのアクセルを踏み続けた。
新東名の下り線、
長泉沼津IC手前に加えて
藤枝PAの直前にもオービスが新設されていることに現場で初めて気がつき焦ったものの、それ以外は概ね順調。
伊勢湾岸道から東名阪道 まではトラックやトレーラーがたくさん走っていたが、伊勢自動車道に入るとクルマはほとんどいなくなる。
リミッター・レベルでブッ飛ばすトヨタ・プリウスをペース・カーとして走り続け、
伊勢西ICでアウト。
渋滞のせいでETCゲートを出たのが午前0時を回っており、図らずも深夜割引の恩恵に与ったのはラッキーだったと言えよう(笑)。
ホテル・キャッスルイン伊勢に到着、風呂にも入らずベッドに潜り込んだ。
---
土曜日。
朝6時半にアラームで目が覚める。
夕べはなぜか眠りが浅く、ともすれば再び寝落ちしそうになりながら風呂へと向かった。
このホテルはビジネス・クラスながら屋上に露天風呂を設えており、大いに結構である。
昨晩コンビニで仕入れておいたパンをかじって朝飯とし、チェック・アウト。
ホテルを出てすぐにボクスターのトップを下ろし、紀伊半島ツーリングをスタートさせた。
せっかくなので久しぶりに伊勢神宮へでも詣でるかと寄ってみたのだが、まだ8時前だというのに周辺は交通規制が始まっており、大勢の人たちが参拝に向かっている。
その様子を見た瞬間に伊勢参りを断念、そのまま
伊勢志摩スカイラインへと突入した。
この有料道路を走るのは、数年前のクルマ仲間との
ツーリング以来。
他にクルマは1台も見当たらず、走り放題となった。
空は濁っていたものの、伊勢湾へと飛び込むダウンヒルは爽快の極みと言っていい。
続く
パールロードもマイペース。
いつの間にか空はすっかり晴れ渡り、冷たい風を切ってオープン・トップのボクスターは走り続けた。
ひとしきり走ったところでルートを離れ、
安乗崎に立ち寄りひとやすみ。
波と風の音以外は何も聴こえず、冬の太陽に照らされた熊野灘が輝いていた。
R260は、変化に富んだシーサイド・ルート。
前回走ったときよりも改良区間が増えたものの、1.5車線区間も多く残っており、ドライバーを飽きさせない。
紀伊長島からは幹線道路のR42に合流、チンタラ走行を強いられるため、真新しい
紀勢自動車道の無料区間へとエスケイプする。
一気に尾鷲までワープし、ちょうど腹も減っていたので「地魚料理」の看板を掲げた店に入った。
が、昨日からロクに飯を喰っていないオッサンは土壇場で方針を変更し、鶏唐マヨ+豚肉しょうが焼き丼をオーダー。
分別を知らない若者のような勢いで、ガッツリと貪り喰うのであった。
尾鷲の街を出たところでR42を棄てて
R311へと左折し、スポーツ・モード、スイッチ・オン。
美しい海に沿ったワインディング・ランを存分に楽しめるこの道は本当に大好きで、リアル1車線区間も含めてドライビングの楽しさを存分に体験することができる。
皆さんにも是非一度走ってもらいたい道のひとつである。
それにしても、こういう道を走らせるとボクスターは本当に楽しい。
積算走行距離が前日に1万kmを越え、ヘッポコ・ドライバーの私もようやくボクスターに馴れてきたように感じるのだ。
青く美しい熊野灘を左手に眺めつつ、青いロードスターはコーナーを次々とクリアしていった。
再びR42に合流、ここでドライブを海から山へとスイッチ。
R309を経てR169に入るとクルマは一気にいなくなり、深山に穿たれたアスファルトを独りトレースしていくこととなる。
途中、以前に乗っていた
BMW ALPINA B3でも訪れている
吊り橋に寄る。
この橋は車両の通行も認められているのだが、前回はバックでほんの少し進入しただけで、あまりの恐ろしさに撤退している。
が、今回は思いきってボクスターで向こう岸まで渡ってみたのだ。
全幅も重量もギリギリな感じで、吊り橋は上下だけでなく左右にも揺れ続けている。
尋常ではない恐怖感に袋が縮み上がったが、アイドリング・スピードで何とか渡りきることができた。
いや、参った(汗)。
前回、
R169は途中で崩落し通行止めとなっており、ガタガタの舗装林道で十津川方面への迂回を余儀なくされている。
しかし今はキレイに修復されており、未だ改良工事があちこちで行われているものの、ダイナミックなドライブを十二分に堪能することができた。
R168で宿へと向かうが、その前に
熊野本宮大斎原に立ち寄った。
日本一高いという鳥居はなるほど見上げるほどの巨大さで、較べてみるとボクスターはミニカーのようである。
旅の無事を祈念し、R168へと戻った。
本日の宿は、
熊野湯ノ峰温泉の「
あづまや荘」。
旧い鄙びた温泉民宿だが、飯も風呂も素晴らしい。
系列の旅館「あづま屋」の露天風呂にも入ることができ、大満足である。
6畳間で今日までのツーリング記をしたためつつ、宿もルートもまったく決まっていない明日のことを考えようかと思ったが、それは明日考えればいいだろということで、就寝。
---
日曜日。
朝6時に起き、いつものように朝風呂にゆっくりと浸かって目を覚ます。
湯の花が舞う硫黄泉は本当に気持ちよく、ついつい長風呂をしてしまい、部屋に戻ると汗だくになっていた(汗)。
温泉粥に始まる旨い朝飯を喰ってから、朝の温泉街を歩く。
気温は氷点下まで下がっているようでとても寒いのだが、そのおかげかあちこちから立ち昇る湯煙が長く漂っているようであった。
周囲のクルマが真っ白に凍っている一方、なぜかガレージに駐めさせてもらっていたボクスターは霜の被害ゼロ。
おかげですぐに幌を下ろして、ドライブをスタートさせることができた。
本日はノー・プラン。
ルートも考えていないし、家に帰るかもう一泊するかも決めていない。
とりあえず、
R311を昨日と反対方向に西へと走り始めた。
冷たい風を切って気持ちよくクルージングしながら気づいたのが、地元の車両が実にいいペースで走っていること。
私よりも明らかに速いペースで追い上げてきたホンダ・フィットは、道を譲るとあっという間にコーナーの先へと消えていった。
いや~、素晴らしい。
K198を経由して
R424に入るとクルマはほとんどいなくなり、熊野の山々と雄大な川とを眺めながら、実に爽快なオープン・エア・ドライビングがいつまでも続く。
毎度のことながら、「こんなに走っていいのだろうか」と少々不安になるほどである。
有田川町まで下ってから、
R480で再び山の中へと向かう。
初めて走るこの道もまた案の定、4速メインでひたすら走り放題である。
K115→R370→R480と走り続けて幹線道路のR24に出たのだが、宿からここまでの間、ほぼ100%マイペースを維持できている。
紀伊半島の道は本当に素晴らしいということを、改めて実感するのであった。
相変わらずこの先は何も決まっておらず、とりあえず無料の高規格道路である
京名和自動車道で東へと向かう。
青空はいつの間にか曇天に変わっており、五條ICで一般道に下りると冷たい風に乗って雨粒も落ちてきた。
屋根を閉め、他のクルマと共に吉野川に沿ってダラダラと走るものの、我慢できなくなって
K28へとエスケイプ。
マイペースを取り戻して続くR370を北上し、道の駅「
宇陀路大宇陀」で足湯に浸かりながら、名物の柿の葉寿司を昼飯に喰った。
うむ、満足。
雨は止み、再びボクスターのトップを下ろして走り出す。
大宇陀の魅力的な旧い街並みを抜け、R166→K218と結んで
R369を走る。
足湯でツーリングマップルとにらめっこしながら決めたルートなのだが、峠のトンネル前後には路上に雪が残っている箇所もあり、ペース・ダウンを余儀なくされた。
K81へと左折、曇天と晴天との境を越え、更に奈良と三重との県境を越えると、初めて走る香落渓。
新緑や紅葉の週末は混雑するのだろう、しかし三連休とは言え真冬のためか観光客らしき人影は見当たらない。
おかげで断崖下の広狭混在ワインディングを、気持ちよく走ることができた。
時刻は15時、そろそろ今日の身の振り方を考えねばならない。
もう十分走ったのでこのまま帰ろうかとも思ったが、
名張市内の空き地にボクスターを止めてツーリングマップルを眺めているうちに、やっぱりもうちょっと走って温泉に泊まりたくなった(笑)。
スマートフォンでいつものように「
じゃらんnet」へアクセスすると、お誂え向きの二食つき温泉旅館がヒット。
直ちに予約を入れ、ボクスターをリスタートさせた。
よしよし。
名張市街を出たR165は、山の中へと向かう快走路となる。
峠の手前で右に入る道は、青山高原へと続く
K512だ。
数年前にクルマ仲間たちと走った同じ道を、スポーツ・モードのボクスターがぐんぐん上っていく。
尾根筋はところどころ凍結しており、雪混じりの強風が吹き荒れている。
その風に向かっていくつもの巨大な風力発電機が聳え立ち、それぞれが唸りを上げて3枚の羽根を回し続けていた。
凍えるような寒さではあったが、ここはとてもいいところだと思う。
いずれまた、季節の良いときにゆっくり来ようと思いつつ、Uターンを切って国道へと駆け下りていった。
猪の倉温泉「
ふよう荘」にチェック・イン。
日帰り温泉施設を併設する、大きくてキレイな旅館である。
浴衣に着替えてまずはひとっ風呂、ここの温泉はアルカリ性のヌルヌルした浴感が素晴らしい。
丁寧に造られた懐石風の晩飯を腹一杯喰い、再び風呂に浸かってからBlogの記事を書き上げ、布団に入った。
明日は帰るのか・・・。
帰りたくねぇなぁ・・・。
---
月曜日。
朝6時に起きて風呂へ入り、着替えてから夜明け前の散歩に出る。
ちょうど日の出を拝むことができたものの、強風に雪が舞ってめちゃくちゃ寒い。
パーキングのボクスターは積もった雪がガッチガチに凍っており、早いところ太陽が当たってほしいと切実に思った。
部屋に戻り、かじかんだ手を洗面所の湯で解凍してから、朝飯を喰ってチェック・アウト。
まだ融けずにボクスターに残っている雪をホースの水で無理矢理洗い流してから、宿を後にした。
今日は帰らなければならない。
が、まっすぐ帰るのはつまらない。
と言うことで選んだ北上する
K28は、適度に曲がったカントリー・ロード。
まったく乾く気配のないボクスターの幌を下ろすことはまだできないが、それでも晴れた空の下を交通量ゼロで気分良く走った。
しかしながらそのまま下道を楽しく走っていると、行く手の空がどんどん暗くなってくるではないか。
おいおい、大丈夫か?
と思っていたら、
関町の辺りで急に雪が降り始めた。
その勢いは視界不良となるほど激しく、慌てて近くの道の駅「
関宿」に退避。
降りしきる雪をしばらく呆然と眺めていたが、正月に大雪で通行止めが頻発したとのニュースを思い出し、早々にこのエリアから脱出&撤収することに決めた。
好き好んで雪国を走っているワケでもないのに、ボクスターでのドライブやツーリングがよく雪に見舞われるのはなぜだろう・・・。
そんなことを考えつつ亀山ICまでノロノロと走り、路面状況に注意しながら東名阪自動車道を左側車線で北上した。
鈴鹿ICを過ぎる頃から雪は止み始め、伊勢湾岸自動車道の上空はウソのように晴れ渡っている。
東名高速道路に入り、
新城PAにピット・イン。
朝から閉じたままだったコンバーチブル・トップを下ろし、新東名よりも楽しい東名を選んで走った。
眩しいほどの陽光と風速45mレベルの暴風とを浴びながらひたすら走っていると、何だかわからないが妙にテンションが高まってくる。
髪をメチャクチャにされながらも一向に構わず、楽しかった旅のシーンを思い出しながら、オッサンはボクスターのスロットルを開け続けるのであった。
冬の紀伊半島ツーリング、走行距離は1,572km。
走行時間は23.4時間、平均速度は67.3km/h。
平均燃費は11.0km/lだった。
---------
いやー、本当にいいクルマ旅となりました!
冬のドライブ/ツーリングと言えば、伊豆半島、房総半島、そして紀伊半島(←そうか?)。
1月の三連休をその前夜からフルに使った大好きな紀伊半島のツーリングは、毎度のことながら道も景色も最高、更に今回はその素晴らしさを倍増させてくれるオープン・エア・ドライビング。
天気にも概ね恵まれて、ボクスターでの独り旅を存分に堪能することができました。
クルマ好きの皆さん、機会があれば・・・いや、機会を作ってでも、是非一度紀伊半島を走ってみて下さい。
心に残る素晴らしい旅になると思いますよ、きっと(笑)。