早朝から降っていた雨は、中央自動車道を走るうちに止んでくれました。
既に梅雨入りしている関東甲信地方ですが、今日は「長野県:晴れ」の予報を信じてビーナスラインを走ることとし、家を出ました。
長野自動車道/松本ICでアウト、松本の市街地を抜け、エネオス松本深志ケ丘SSでハイオクを満タンにし、ローソン浅間温泉店で朝飯用のおにぎりを仕入れます。
そう、クルマやバイクの多い南側からのアプローチを避け、北側、それも上田側からではなく、松本から美ヶ原林道を駆け上がってビーナスラインへと攻め入る魂胆なのです。
幌を下ろし、1.5車線レベルの舗装林道に突入するボクスター。
ウェット・コンディションな急坂の羊腸路では、パワーをかけるとリア・タイヤがグリップを喪いそうになるものの、PSM[ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム]のフォローが瞬時に入ってトラクションを回復してくれます。
美鈴湖付近では細かい雨が降り始めますが、走ってりゃ濡れないレベルなので、むしろ速度を上げて通行止め告知看板の脇を通り過
・・・え?
引き返して看板を見てみると、K62は武石峠から先が土砂崩れのため、4月下旬から通行止めになっているとの由。
現場は美ヶ原林道の先で迂回路もないため、ビーナスラインへ行くことはできなくなってしまいました。
敢えて回避したメインの南麓ルートはもちろん、上田市側からもアクセスはできるのに、唯一通れないルートをわざわざ選んでやってきたんですね(涙)。
しかし、美ヶ原林道やビーナスラインが通行可能であることは確認していながら、その間が通行不能だったとは・・・。
不覚にも、程があります(倒)。
失意のうちに山を下り、R254との交点で独り作戦会議。
ビーナスラインはすっぱりと諦め、ここから楽しそうな道を選んで北上してみることにしました。
R143は途中からまったくクルマがいなくなり、会田川に沿うクルージング・ロードとなります。
路肩の広い駐車帯でローソンのおにぎりをおいしくいただき、その先の未改良区間に入りました。
アップダウンは少ないものの、深い森の中のワインディングはなかなかにタフ。
2速ホールドのタイトなコーナーが続きますが、荒れた路面への接地力を最優先に考え、PASM[ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム]はソフト・プロファイルのままで走りました。
初走行ですがとても面白いR143、独断により「いい道」に認定です(笑)。
連なるヘアピンを駆け上がり、すんごい名前の修那羅峠[しゅならとうげ]を越え、長野道/麻績[おみ]IC付近から再び山の中に入りました。
広狭混在する尾根伝いの道で、ボクスターのハンドリングを大いに楽しみながら走ります。
左手には、高瀬川を挟んだ向こうに北アルプスの山々が聳えているはずなのですが、今日は雲に隠れてチラリチラリとしか見ることができません。
それでもそこに圧倒的な山塊が在ることを肌で感じつつ、爽やかな風を受けながらボクスターを走らせ続けました。
これまた誰もいない明るいワインディングで、小さな峠を越えた先のダウンヒルは、タイヤが啼き出すんじゃないかぐらいの楽しさでした。
道の駅「おがわ」で一休みしてからK31を東へ走り、K452でまたもや山の中に入っていきます。
山腹をトレースするK401はセンターラインもロクにありませんが、小さな山村を結ぶ雰囲気のいい道でした。
右手に開けた景色を眺めつつのんびりと走り、のほほんとした気分のままでK86へとスイッチしたものの、これが想定以上にドイヒーな道。
人跡未踏感炸裂、落ちたてホヤホヤと思われる落石や落木が路上に散乱しており、その都度ボクスターを停めての撤去作業を強いられます。
スリル満点、ガードレールが贅沢品に思えるほどのアドベンチャー・ドライブが楽しめますので、皆さんも是非一度走ってみてくださいね!(←薦めるなっつーの)
路面に注意しながらK86を走り切り、無事にR406まで出ました。
左折して鬼無里[きなさ]から白馬方面へ行こうかとも思ったのですが、たくさんのバイクやクルマがチンタラ走行に興じているのを目の当たりにし、全力で右折。
裾花川[すそばながわ]に沿ってマイペース走行を堪能し、長野の市街地に入ります。
空はいつの間にか快晴、気温は25度近くまで上がっており、信号待ちで長袖を脱ぎ捨てTシャツ1枚となりました。
「太田屋助右衛門」は、街中にありながら駐車場を併設している手打ちの蕎麦屋。
サクッと揚げたての天ぷらと、シャキッと冷たい二八の蕎麦で、午後のドライブに向けたリセット&チャージは完了です!
木漏れ日の中を軽快に走っていくと、松川渓谷温泉「滝の湯」の駐車場がありました。
ここは2011年の秋に泊まらせてもらったことのある、イイ感じの温泉宿。
せっかくなのでひとっ風呂浴びていくこととし、渓谷の遊歩道を下っていきました。
500円を支払って浸かる大きな露天風呂は、10年前の記憶にある通りの素晴らしいロケーション。
湯の華が躍る源泉掛け流しの湯は絶妙な適温で、渓流の風に吹かれながら、30分以上も寛いでしまいました。
浴後は冷たいお茶を飲みつつ、涼しげなテラスでひとやすみ。
いやはや、実にいい気分です。
しかもこの後には「風呂上りのオープンカー」が待っているのですから、もはや言うことはありません(笑)。
K66は松川渓谷を離れ、本格的な上りワインディングとなります。
コーナーをひとつクリアするたびに、空気が少しずつ冷えてくるのが肌でわかります。
笠岳山麓の峠を越え、生い茂る緑の中を下り、R292に出ました。
ここから更なる北上か・・・と逡巡もしましたが、思いとどまってステアリングを右に。
誰でも走れるメジャーな山岳観光ルートである志賀草津道路は予想外に空いており、下界より10℃ほども低い冷涼な空気を切ってボクスターは走ります。
群馬県境を越え2,172mの国道最高地点を通過、前走車を安全にパスしつつ、草津白根山の噴気地帯を抜けて絶景のアスファルトを駆け下っていきました。
草津エリアに溜まっていたクルマも、K59に入るとキレイさっぱりいなくなります。
その先を右に曲がれば、広域農道/つまごいパノラマライン・ノルトシュライフェ(北コース)。
晴天、誰もいない2車線のルーズな快走路を3速⇔4速でアクセルを開け、「いや~、最高だなこりゃ」とか呟きながら、ボクスターを思うさま走らせました。
R144を渡って南コースに入っても走り放題の状況は続き、そのままの勢いで北軽井沢からK54で二度上峠へ。
静かな森の中の屈曲路を2速ホールドで駆け下るのですが、私ごときが精一杯走らせても、ボクスターは破綻する気配すら見せません。
K33/地蔵峠越えのワインディングでもまったく同様で、ボクスターのシャシー性能の素晴らしさに改めて感じ入ってしまいました。
松井田に出たところで、妙義山へ・・・とも考えましたが、今日はもう十分でしょう。
クーリングを兼ねて田園風景の中をのんびりと流し、エネオス富岡SSでガソリンを補充してから、上信越自動車道/富岡ICへと向かいました。
本日の走行距離は、691km。
走行時間は11時間37分、平均速度は61km/h。
平均燃費は9.4km/lで、今回もまた10km/lに届きませんでした(涙)。
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梅雨の晴れ間の、ソロ・ドライブ。
当初の予定とはまったく異なるルーティングとなりましたが、そのおかげで初走行も含め、たくさんの楽しい道に出会うことができました。
7年目/17万km超のボクスターも、今日のように走らせるとその輝きが一層増すように思えます。
オープン・エアの爽快さとミドシップ・スポーツの俊敏さを存分に楽しんだ、素晴らしい1日となりました。
・・・そのおかげで、首がちょっと筋肉痛なんですけどね(涙)。