東名高速道路/沼津ICを出て幌を下ろすと、湿気ムンムンの空気で掌中のステアリングがじっとり湿って感じられるようになります。
いつものように伊豆中央道/長岡ICからK130で沼津湾に出、セブン-イレブンで買ったホット・コーヒーと持参したシフォン・ケーキとで、海を眺めながらの朝飯としました。
空を覆う雲は山の上にまでかかっていたため、まずは沿岸のワインディング・ランを開始します。
先行車の絶えたK17は、絶好のドライビング・ステージ。
スポーツ・モードとハード・シャシーを択び、ゲトラーグを2速に突っ込んだまま、ペダル&ステアリング・ワークで荒れた路面の屈曲路を走り続けました。
モデル・ラインナップで最も出力が低い「素の」ボクスターではありますが、そのおかげで、このような低速路でもエンジンを高回転域まで使うことができます。
MA122型2.7Lフラット・シックスは回すほどに素晴らしいポリフォニーを奏[かな]で、そのボリュームは排気音を上回ってドライバーの耳と心にダイレクトに響いてきます。
思えば前車の
BMW ALPINA B3も、それ以前の
BMW M3B/
M3Cや
メルセデス・ベンツ190E2.3-16も、そのエンジン・サウンドが実に魅力的なクルマだったことを覚えています。
どれもイイ音させてたよな・・・などと往時を思い出しながらタイト・コーナーを抜け、短いストレートで必要以上にアクセルを踏んづけるのでした。
戸田[へだ]での小休止を経て尚もK17を南下していくと、ところどころで崩落の痕に出くわします。
このエリアでも夏の豪雨で崖崩れなどが発生したのでしょう、対向車の存在に一層注意を払いながら、ボクスターを走らせていきました。
しかしながら南へと走るにつれて空は暗くなり、右手を見ると低く真っ黒な雲が海に覆い被さろうとしています。
やがて晴れマークの予報も虚しく、屋根を閉めざるを得ないレベルの雨が降り始めました。
ってことは、逆に稜線[うえ]は晴れてるんじゃねぇか?
・・・と考えて土肥[とい]からR136で船原峠に上がり、K411/西天城高原線を走ります。
確かに雨は止んでいますが、すんごい濃霧でダメだこりゃ(涙)。
仁科峠を越え、宇久須へと下る前に駐車場へピット・イン。
フロント・トランク・ルームからエア・コンプレッサーを取り出し、TPMS(タイヤ空気圧モニタリング・システム)を確認しながら、4本のタイヤに順次空気を入れていきます。
この日、K17を走らせている最中にポロロン♪と警告音が鳴り、TPMSが左前タイヤの空気圧低下を報せてきました。
パンクか?と思って停車し、目視確認してみたのですが、そのような兆候はありません。
しかもTPMSは、左前だけでなく4輪すべてが0.3バール足りないと言うのです。
TPMSはタイヤ空気圧の絶対値だけでなく、適正値との差分を表示してくれます。
空気圧は外気温や内部温度、気圧などで変化しますし、適正値も同様だと思われますが、このところのアホ猛暑と比べてこの日は10℃近くも低かったので、もともと少な目にしていた空気圧の変動が基準値のそれを上回った、ということなのでしょう。
いずれにせよ空気が抜けているワケではないと判断することができたため、ウォーニングを無視して屈曲路を走らせ続け、雨の止んだ西天城高原で、適正値まで充填した次第です。
4輪ともに0.3バールを足されたボクスターの乗り味は、さすがに鈍感な私でもわかるほどに変わっており、明らかに軽くなったステアリングをスイスイと繰りながら、K410のコーク・スクリューを駆け下っていきました。
個人的には、適正値よりもちょい低めの接地感が好きなのですが、これからは気温も下がっていくでしょうから、空気圧はこのままにしておくこととしています。
薄曇りのR136をチンタラと走っているうちに乾いた幌を下ろすことができたものの、気温は30℃のレベルにまで上昇し、蒸し暑いったらありゃしません。
滲み出る汗を流すべく温泉行きを決定、松崎からK15で伊豆半島を横断し、熱川の共同浴場「
高磯の湯」に向かいます。
初の入湯となりましたが、適温の露天風呂からは伊豆七島の浮かぶ太平洋を眺めることができ、大いに寛ぐことができました。
Q:温泉の次は?⇒A:昼飯!(正解)
高磯の湯から10kmほど北、R135沿いに佇む「たなか食堂」は、周囲の観光施設とは異なり、地元のお客さんたちに愛される旧き佳きニッポンの定食屋といった風情です。
干物定食はアジの開きが2枚、どうせなら2種類にしてくれると嬉しいのですが、味は文句なしでした。
混雑がキライなので普段は近寄らない東伊豆エリアは、やっぱりこの日も混雑していました(涙)。
従って昼飯を喰ったら早々に撤収することとし、天城高原ICから伊豆スカイラインに乗って箱根方面へとボクスターを走らせます。
熱海峠までの全線を走るのは久しぶりで、途中で霧が出たりしたものの、亀石峠辺りまではクルマも少なく、ほぼクリア・ラップを取ることができました。
しかしK20を経て入った箱根エリアは予想以上に交通量が多く、下山ルートの中で最もマイナーだと思われるK732/箱根旧街道を択んだのに、それでもチンタラ走行を余儀なくされる始末。
これはアカン、と仕方なく小田原厚木道路でペースを上げて走り、東名・大和トンネル付近をアホの大渋滞が発生する直前になんとかクリアして、胸を撫で下ろしつつ自宅に帰りました。
天気はイマイチでしたが、今回も楽しく走ることができました!
本日の走行距離は、471km。
走行時間は8時間07分、平均速度は60km/h。
平均燃費は、10.8km/lでした。