北陸自動車道で小矢部ICから立山ICまで走り、観光車両の列に紛れ込んでK6を南下していきます。
そのすべてのクルマが立山方面へと直進する芳見橋交差点をただ1台だけ右折したボクスターは、山腹を上って小さな料金所に到着。
係員のおじさんに1,900円を支払い、道路状況に問題のないことを確認してから、ギアを1速に繋ぎました。
有峰林道は、富山県最南部のどえらい山奥に造られたダム湖の周辺に展開する有料道路群。
この道を走るのは
9年ぶり3回目ですが、支線のひとつである小見線は大規模な改良が行われたようで、トンネルと橋とで難所をクリアした山岳ドライビング・ウェイへとリニューアルされていました。
どこまでも見渡す限りの山の中、センター・ラインの引かれたアスファルトを蹴って、ボクスターは走り続けます。
標高1,000mを突破、麓では朝っぱらから30℃を超えていた外気温は徐々に下がり、晴天の空から降り注ぐ陽光にも暑さを感じなくなりました。
有峰湖に到着、ダムの上を通って湖周線に入ると道は一転、リザーバー特有の複雑な湖岸に沿ったワインディングとなります。
勁[つよ]い陽射しと原生の林とが作り出す木漏れ日のコントラストを縫って、2速固定のまま、アクセル&ステアリング・ワークを大いに楽しみました。
東谷線で湖岸を離れ、急坂路をどんどん上っていくと、料金所が見えてきます。
いずれまた走りに来ることを決定しつつ、有峰林道を後にしました。
標高1,400m超の飛越トンネルを抜ければ、そこは岐阜県。
ここからは楽しそうな道を択びつつ、ひたすら南へと走っていきます。
無人かつ快適な2車線ワインディングの高山大山林道は、有峰林道にも劣らぬ楽しいドライビング・ロード。
圧倒的なダウンヒルで、R471へ出るまでに外気温がぐんぐん上がっていくのを文字通り体感できました(汗)。
下界はやはりものすごい暑さで、脳天パーになりそうなギラギラの太陽に仕方なくキャップをかぶります。
K76でまたひとつ山を越え、飛騨古川の旧市街を横目にK90でまたまた山を上り、都道府県道最長・4,475mのの猪臥山[いぶしやま]トンネルを経てR158へ。
K73、通称「せせらぎ街道」は明るく気持ちの良い川沿いの道ですが、休日昼間の観光道路にマイペース走行を期待するほうが間違っていますし、おまけに腹も減ってきました。
というわけで、沿道の「
そば処 清見庵」で昼飯をチャージ。
腹も膨れ、元気が出たところでリスタートです。
大量のクルマやバイクと離れ、R257へとエスケイプ。
更にK431へと別れれば、トラフィックはほぼ皆無となります。
熱風を浴びながら馬瀬川を眼下に走り続けたボクスターは、東仙峡金山湖にかかる馬瀬大橋でひとやすみ。
この先が通行止めとなっていることから誰も来ない橋の上には、ほんの僅かではあるものの、涼やかな風がそよいでいました。
ペットボトルに残っていたぬるい水を飲み干してから、K86で南下を続けます。
一瞬のR41から逃げ出したK58→K64は、いずれも気持ちよく走れるカントリー&ワインディング・ロード。
道の駅「
ロック・ガーデン ひちそう」で本日最後のピット・インを済ませ、以降はR41→K64→R21とおとなしく走って、宿へと向かいました。
岐阜県瑞浪市の外れに湧く鬼岩温泉、「
鬼岩湯元館」にチェック・イン。
最上階にある温泉は、内湯の洗い場が畳敷き、外に設えられているのは露天風呂というより温泉ジャグジーです。
正直、風情はありませんけど(笑)、適温の湯がかけ流しで注がれており、広い空を仰ぎ見ながら大いにリラックスすることができました。
晩飯は軽めのライトミール・プランとしましたが、釜炊きのご飯に十分な量のおかずが供されており、冷たい生ビールを別注すれば他には何も要りません。
ちなみにこの日の宿泊客は私独りだけだったようで、従業員の方以外には誰とも会うことはありませんでした。
ビールの酔いを残したまま、星を眺めながら浸かる温泉ジャグジーはとても気持ちよく、気がつけば小一時間ほど居眠りをこいてしまった次第です(汗)。
つづく。