結局、雨に降られたのは温帯低気圧がやってきた日の午後だけであり、それ以外の日はすべて晴天下のツーリングとなったわけだ。
実に素晴らしいことである。
朝風呂で歯を磨き髭を剃り、朝飯をタップリと喰ったら出発だ。
今日はフェリー出航1時間前の16時までに小樽港に着けば良く、さてどこを走ろうかと「
ツーリングマップル」と相談する。
R453で洞爺湖に出、D132で反時計回りに湖畔を快走。
洞爺村のホクレンでハイオクを満タンにしてから湖を離れ、D230に入ったところでパリッと乾いた幌屋根を開けた。
青空に聳える後方羊蹄山を眺めながら丘陵地帯を快走し、D97で真狩村に入る。
無論、細川たかし像へと参詣したのは言うまでもない(←言うまでもないのか?)。
ここからはD66をトレース。
ニセコエリアに入ったボクスターはギアを一段下げ、アクセルを開けて大きなワインディングを駆け上がっていく。
土曜日ながら交通量は僅少、前車に追い付いても広い道幅が追い越しをより安全なものにしてくれる。
道は下りに転じ、短いストレートを挟んでコーナーが次々と眼前に現れては後方に消えて行く。
嗚呼、本当に楽しい。
岩内の街からは、R229で積丹半島周遊だ。
左手に見える日本海は、雲が増えてきた空の色を正直に映しており、実に穏やかだ。
神恵内で海を離れD998に入り、半島中央部の山を上っていく。
一度走ってみたいと思っていたこのトーマル峠越えの道は、単なる山坂道では無かった。
コーナーの殆どがスノー・シェッドに覆われており、非常に緊張を強いられる。
加えて、路面に刻まれたサイプがサイレンのような唸りを上げ、ドライバーに強くプレッシャーをかけてくるのだ。
峠を越え山を下ったところでUターンを切り、再び巨大な龍の如くのたうつ覆道群に挑むが、往路と同様、ヘトヘトになった。
いやはや、こんなワインディングは他に見たことがない。
トーマル峠恐るべし、である。
神恵内に戻り、R229で平和な海沿いのドライブを再開する。
この先は2,000m級のトンネルが連続するが、その間から見える日本海は空が晴れてきたこともあり、実に美しく輝いている。
海岸線をそのままをぐるっと走り続け、半島入り口の余市に到達した。
今日も予想以上のハイペースで、時刻はまだ正午にも満たない。
そこで余市の街にあったコイン洗車場に立ち寄り、汚れ放題のボクスターを洗うことにする。
が、作業配分を誤り、ボクスターが洗剤まみれの状態で400円の洗車時間が終了・・・。
肚が立ったので追加の400円を投じ、真っ黒だったホイールや幌までも洗ってピカピカにしてやったわ(涙)。
今回のGTで初めて見るクルマの大群と共にR5を走り、小樽に到着。
乗艦時刻まではまだ間があるので、昼飯でも喰おうとボクスターを市内のパーキングに放り込み、観光客で大賑わいの小樽運河方面へと歩いた。
「
小樽ジンギスカン倶楽部 北とうがらし」に入り、北海道の味・生ラムジンギスカンを焼く。
これが予想以上に旨くて、思わずもう一皿追加してしまったほどだ。
値段は観光地価格ではあったが、味も観光地の低レベルだと思ったら大間違いである。
大満足&大満腹で店を出たものの、これでフェリーが往路のように揺れたらシャレになんないな・・・と考えて、すかさずトラベルミンを服んだ(汗)。
港湾エリアのエネオスでガソリンを満タンにし、新日本海フェリーの客船ターミナルに向かう。
駐車場には溢れんばかりのクルマやバイクがいて驚いたが、ヘトヘトになっている誘導員のオジサンに労いの言葉を掛けつつ訊いてみると、苫小牧発新潟経由の敦賀行き便が機関の不具合で欠航となり、その振り替えで満船状態なのだそうだ。
16時過ぎに乗艦、往路と同様の個室に荷物を置いてリア・デッキに出る。
17時05分、カモメたちに追われつつ、定刻より5分遅れて「あざれあ」は小樽港を離れる。
陽はほどなく山の端に沈み、ボクスターを思うさま走らせた北の大地は、残照と共にゆっくりと彼方へ消えていった。
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■あとがき
復路のフェリーは一度も揺れることなく滑るように航行し、定刻の9時15分に新潟港へ接岸。
北陸道から関越道へと渋滞も無く都心方面に走り続け、午後の早い時間に自宅へ到着しました。
しかしながら気温は30℃もあり、あまりの暑さと湿気でブッ倒れそうになりました。
嗚呼、北海道へ帰りたい・・・(←違う、違うぞ)。
2年ぶりの北海道グランド・ツーリングは、フェリーによる航送区間を除き、10日間で3,800kmを走りました。
走行時間は57時間30分、平均速度は68km/h、平均燃費は13.0km/lでした。
秋の全国交通安全運動期間中ということで、いつも以上に「危険予知運転」を徹底し、事故らず/壊さず/捕まらず、おかげさまで無事に帰ってくることができました。
いや~、今回もおもしろかった!
一日を除き毎日が晴天に恵まれ、気温20℃レベルの爽やかな風を切ってボクスターを走らせまくりました。
本州や四国、九州にも楽しい道はたくさんありますが、北海道だけは明らかに違うんですよね。
広大な景色と冷涼な気候の下、交通量僅少の道を毎日マイペースで数十kmも走り続けることができるのは、やはり北海道ならではだなぁとつくづく思いました。
最低でも300km、日によっては500km以上も下道だけで走ることができ、その平均速度や燃費も、内地の一般道走行ではあり得ないデータを叩き出しているんです(汗)。
北海道は9月後半になると旅人がグッと減るとのことで、宿も空いておりのんびりできました。
それでも旅人宿やゲストハウス系に多く泊まったこともあり、今回も同宿の方々と楽しくお話しをさせてもらっています。
このような宿が多いのも北海道の特徴であり、また魅力でもあると思います。
独りきりでストイックに旅を続けるのもいいのですが、やはり、人恋しくなるんでしょうかねぇ(笑)。
道内では必ずしも路面の良くない一般道をハイ・アベレージで走ることも多いため、タイヤやサスペンションなどの足回り性能が如実に試されることになります。
しかしながらボクスターは、履いたばかりのファルケン・アゼニスFK510との組み合わせでも、申し分のないパフォーマンスを発揮してくれました。
ハイ・スピード&ロング・ラン、中高速ワインディングから、バンプ&アンジュレーション路面、ヘヴィ・ウェットなどのタフなコンディションに至るまで、まったく問題なく、気持ち良く楽しく走ることができています。
なお、北海道には無かった2速固定で走るような屈曲路については、別途改めてチャレンジさせていただく所存です(笑)。
このGTの途中で、ボクスターは累計走行距離が140,000kmを超えました。
相変わらず、最高の旅グルマだと思います。
また私も、術後はじめての長旅も山歩きのマネごともまったく問題なく、復調に自信がつきました。
これからも遠慮なく、ボクスターで旅に出ようと思っています。
引き続き、よろしくお願いします!