アラームより30分前に目覚めたのだが、しかし何故かどうにも体調が思わしくない。
いつものように風呂へ入り、朝飯をいただくのだが食欲がなく、大変申し訳ないことにかなり残してしまった。
風邪かもしれないと思い、フロントで借りた体温計で図ってみると、平熱だ。
何だかよくわからないが、いずれにせよ運転に差し障りがあるようなレベルではないので、走っていれば復調してくるだろう。
荷物を積み、びしょ濡れの幌を掛けたまま、ボクスターをスタートさせた。
R395を東に走り、R340へと右折する。
今日はこのR340を軸に、岩手県をひたすら南下していくこととしているのだ。
交通量は極めて少なく、快調に走っているうちに幌もすっかり乾いたため、ルーフ・オープン、スイッチ・オン!
輝く秋の太陽と、凄まじく爽やかな摂氏20度の風を浴びて走っているうちに、だんだん気分が良くなってきた。
やはり、「ドライブは百薬の長」なのだ。
大いなるカントリー・ロードは魅力的な名前の国境峠前後で軽いワインディングとなり、ボクスターのコーナリング性能を堪能してからR455との併用区間に入る。
多少は増えたクルマもR340が再び単独になると姿を消し、道はやがて1.5車線となった。
数年前に廃線となったJRの橋梁と絡みながら、ボクスターは山奥へと分け入ってゆく。
R340と一度別れ、渓流沿いのK171を西に走る。
ツーリングマップルに「散歩道のような心地よさ」とコメントされている、静かで気持ちの良い1.5車線路だ。
と、無人だった沿道にたくさんの人の姿が現れた。
山あいの学校で、秋祭りが行われているのだ。
私も休憩がてら会場を歩かせてもらい、中学生たちが打つ勇壮な太鼓を聴き、おばあちゃんが焼くおから餅を喰う。
秋空の下に老若男女が集まり、皆、とてもいい笑顔であった。
その先を左折すると、八戸川内大規模林道。
いわゆる「大規模にも程がある大規模林道」の一部で、この付近は南北100kmに及ぶ総延長の最終区間である。
川沿いのワインディングを駆け上がり、峠を越えると大きなコーナーで構成された開放的なダウンヒルが待っている。
ボクスターを楽しく走らせながら、相変わらず大規模だな、とつくづく思った。
終着から国道に出、道の駅「
やまびこ館」で小休止。
ちょうど昼時、スカッと晴れた秋空の下で喰う黒豆ソフトクリームが望外に旨い。
R106との併用区間を経て、R340のトレースを再開する。
遠野までのこの区間には、1.5車線レベルの荒れたワインディングで立丸峠を越えて行く楽しいイベントがある。
しかし、その峠の下を貫くトンネル工事がかなり進んでいるようで、遠からぬ先の供用開始後は、この山坂道も閉鎖されて走れなくなるのだろう。
このパターンで消えてゆく旧道を、全国でいくつも目にしている。
大変残念ではあるが、地元の方々の利便性や安全性を考えると、私ごときが文句など言ってはいられない。
やはり、各地の「走りたい道」がなくなってしまう前に走りに行かなければならないな、と今回も強く思った。
金色に輝く稲作地帯を走り、遠野の市街地を抜け、住田町で長らく走ったR340と別れる。
続くR397もまた素晴らしい快走路で、道の駅「
種山ヶ原ぽらん」のある峠まで一気に駆け上がった。
復調に伴って腹も減ってきたため、300円を払って出店ですいとんを買って喰う。
鶏のダシが効いていて、とても旨かった。
道の駅を出てスノー・シェッドに覆われた道を駆け下るが、その先に連なるファミリー・カー群の後塵を良しとせず、R397を棄ててK8へと脱出。
目論見通り交通量は皆無となり、ボクスターはマイペースで走り続けた。
北上川を渡り、金ヶ崎の町を後にしてK122で山の中へと向かう。
2車線が1.5車線となり、断崖の屈曲路を走りきった終点に、みちのくGT最後の宿泊地である夏油[げとう]温泉が現れた。
「
夏油温泉観光ホテル」の湯治プランは、湯治客用の6畳間に弁当2食がついて、三連休なのに6,000円。
別料金で借りた浴衣に着替え、風そよぐ露天風呂と風情のある大きな内湯にゆっくりと浸かったが、さすがは天下の名湯、素晴らしい温泉である。
部屋に運ばれてきた夕食は、エビフライやハンバーグなどが盛り込まれたごく普通の弁当だ。
しかしながらご飯もおかずも作り立てらしく温かで、十分おいしくいただくことができた。
が、量的に若干不足していたため、何かもう少し喰うものは無いかと思いを巡らせる。
結果、田子町で買った土産物につい手を出してしまい、若干の後ろめたさを覚えながら、「東北限定 亀田の柿の種 田子にんにく味」をパリポリと齧るのであった(汗)。
本日の走行距離は、317km。
走行時間は5時間28分、平均速度は60km/h。
平均燃費は、12.4km/lだった。