明けゆく空は、雲ひとつない晴天。
いの町のサークルKでカフェラテとチョコレート・パンを買い込み、仁淀川に沿ってR194を走る。
と、四万十川の専売特許だと思っていた沈下橋があった。
通勤と思しきクルマやトラックなどと一緒に走っていた国道を離れると、実に静かである。
霧の立つ川と欄干の無い橋を眺めながら、少し温くなったカフェオレを飲み、甘いパンを喰った。
何とも贅沢な朝食だ 。
北上するR194は川を離れ、完全2車線を保ったまま豪快な山間路となる。
先行車両を安全かつ迅速にブッコ抜きつつ、冷たい風を浴びながらマイペースで走り続けた。
そんな快走ドライブを寒風山トンネルの前で捨て、つづら折りの1車線路をライト・オンでぐんぐんと上っていく。
反比例して気温はどんどん下がるが、深い山々の稜線をようやく越えた太陽が照らしてくれるので暖かい。
先行車も見当たらず、対向車にも出会わずに上り続け、小さなトンネルをいくつか抜けると、眼前に遥か彼方へと続く尾根筋が拡がった。
町道瓶ヶ森線。
大好きなアドベンチャー系道路のひとつで、何度となく訪れているが、今日はまた最高の天気に恵まれた。
気温は3℃まで下がっており、すぐ先の山頂は雪か霧氷にうっすらと白く覆われていたが、風もなく実に気持ちがいい。
大きなカメラで写真を撮っている山口県から来たお兄さんによれば、ほんの1時間前まで視界ゼロ・レベルの霧に覆われていたとのことだから、ラッキー感も倍増である。
連なる険しい山々の素晴らしい眺めを楽しみながら、ボクスターをのんびりと走らせた。
町道の終点からは、K12/石鎚スカイライン。
スカイラインと言っても尾根を走らない登山道路だが、このダウンヒルがまた痛快極まりない。
ボクスターをスポーツプラス・モードにセットして、オート・ブリッピングの助けを借りながら2速⇔3速のワインディングを駆け下った。
いやもう、最高!
クール・ダウンを兼ねて立ち寄った面河渓の紅葉は未だ色づいてはいなかったが、あと1週間もすれば見頃となるのであろう。
R494→K212と快走を続け、R33からR440で四国カルストを目指す。
地芳トンネルの手前で旧道へと右折し、路面の良い1.5車線の山道を上ってK383に出た。
瓶ヶ森線と双璧を成す四国天空の路は、その一方と異なり、なだらかなカルストの山頂をトレースするスカイライン。
爽やかな風に吹かれ、抜けるような青空のすぐ下を同じ色のボクスターが走る。
嗚呼、何て気持ちがいいんだろう。
非日常の世界を存分に堪能し、東津野城川林道で下山する。
この付近の狭い国道や荒れた県道よりも道は良く、完全2車線の大規模林道をノン・ストップで走り抜けた。
R197とR440との交点、檮原の「
めん処 かざぐるま」で昼飯にする。
冷やしおろしぶっかけ蕎麦はコシのある田舎蕎麦が旨いのだが、椎茸が入っているのが珠に瑕であった(涙)。
食後はすぐ近くにあるJAのガソリン・スタンドで給油しつつ、道路状況を訊く。
ここから四万十川を目指すのだが、何度か走っているR197の快走ルートではなく、今日はR439「与作酷道」を行くのだ。
1.5車線レベルの誰もいないK26を南下していると、時間帯通行止めの看板。
四国の山道では珍しいことではなく、現場のおにいちゃんと話をしながら30分ほど待ってドライブを再開する。
続くR439は、やはり国道とは思えないほどの酷道だった。
四国の山中を東西に延びるR439は、改良済の2車線区間も多いが、「与作」の神髄はやはり未改良の狭い山峡路にある。
落石に注意を払いながら、人の気配が感じられない森の中のタフな道をひたすら走り続けた。
2車線のR381をかっ飛ばし、広狭混在のR441で四万十川沿いを南下する。
大好きな岩間の沈下橋は工事中の国道の迂回路となっているらしく、クルマが多くて落ち着くことができなかった。
山の端から射す西日を浴びながら走り続け、高瀬の沈下橋を渡り、予約していた民宿「四万十inリバーサイド」にチェック・イン。
裏庭にある屋根付き露天にポリ浴槽というなかなかシュールな風呂で手/足/袋を伸ばしまくったら、お待ちかねの夕食だ。
鮎や川海老、鰻、アオサ海苔など、四万十の幸が満載である。
冷たいビールと共に、おいしくいただくことができた。
寝る前にチェックした明日の天気予報は、引き続き晴れ。
よし、明日もまた、心に残る素晴らしいドライブをしよう。