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金曜日。
まだ朝の3時過ぎだというのに、自宅のある埼玉県はめちゃくちゃ蒸し暑い。
ボクスターの外気温計は29℃を指しており、エアコンを入れたまま幌を下げて首都高を走ると、エア・ベントはたちまち結露した。
高速道路料金の深夜割引が切れる4時前に、ガラガラの中央道に入る。
山間部が近づくに連れて気温はぐんぐん下がり、結露を乾かすためエアコンを切って送風状態にしたまま気分よく走った。
持参した胡椒餅とビスケットを八ヶ岳PAで喰い、更に走って伊那ICでアウト。
まずは、木曽路を走る。
R361の長大な権兵衛トンネルを抜けてR19を南下、木曽福島の先からK20に入る。
更なる涼を求め、標高2,200mオーバーの御嶽山登山口までのヒルクライムを目論み御岳湖の湖岸道路を走るが、頭上は一面の雲。
登頂を断念して戻り、再びK20で北上しているうちに夏の陽が射してきた。
どうやら、山の反対側は晴れているようだ。
御岳ロープウェイ乗り場まで上ろうと、スポーツプラス・モードでアクセルON!
回転計の針を12時以降に留めておくため、時には1速までのギア・ダウンをかませながら、素晴らしいサウンドと共にタイトなワインディングを駆け上がる。
残念ながら終着からも山頂は見えなかったが、高所の涼しい風がボクスターとオッサン・ドライバーを徐々に冷やしてくれた。
夏空の下、K20からR361へと開田高原を走る。
交通量も僅少、この付近を走らせるのは実に爽快である。
沿道にはトウモロコシ畑が多く見られ、直売所でもたくさん売っているのだが、生なのでその場では喰えないのが玉に瑕。
と思っていたら、給油に立ち寄ったガソリン・スタンドのおばあちゃんが、茹でたトウモロコシをくれたのだ。
不肖・俺50歳、まだまだ捨てたもんじゃないな・・・と勘違いのほくそ笑みを抑えきれぬまま、開田エリアを後にした。
R361をひた走る、サファイア・ブルーのボクスター。
何度か走っているが、この道は本当に気持ちがいい。
低めのギア・セレクトで長峰峠を越え、長野県から岐阜県に突入する。
広狭混在で変化に富み、クルマもバイクも殆ど走っておらず、完全なるノンストップ&マイペース・ドライビングがどこまでも続いた。
山を降りると気温はジリジリと30℃近くまで上がるが、湿気はなく風は爽やかだ。
とは言え、直上から照りつける陽射しは強烈で、しばらく走ってから路傍のパーキング・スペースで小休止。
おばあちゃんからもらったトウモロコシは実に瑞々しく、一緒に喰ったビスケットよりも甘かった。
観光都市・高山をかすめてR158を西へ。
昼時となり、何を喰おうかとスマートフォンで付近をサーチした結果、「
欧風カレー工房 チロル」を訪れる。
飛騨高山でカレー?とも思ったのだが、そもそも真夏に喰うカレーは格別ではないか。
地元の家族連れで賑わう店内で喰うコッテリとした欧風カレーは、とても旨かった。
西へと向かうR158は、これまた走り放題の快走路。
A級レベルの広い2車線国道なのに、クルマの多くが並行する無料のバイパスへと流れていくため、交通量がとても少ないのだ。
クルージング・レベルよりも敢えて1段低いギアを選び、風を切ってハイ・アベレージのドライビングを堪能する。
いや~、本当に気持ちがいい。
走りに走って、道の駅「
桜の郷 荘川」で小休止。
9年前、12台のALPINA車がここに集まったんだよな・・・などと思い出に耽るものの、とにかくめちゃくちゃ暑い!
そこで併設された温泉施設「
桜香の湯」で、文字通り汗を流すことにした。
露天風呂で湯に袋を任せているうちに、今朝2時半起きが祟ったのか急激に睡魔が到来。
風呂から上がって30分ほど横になっているうちに復活し、リスタートと相成った。
R156、御母衣湖沿いを北上。
ところどころ工事中で交互通行待ちを余儀なくされるものの、連続するスノー・シェッドをクリアしつつ快速ドライブが続く。
観光客で賑わう世界遺産・白川郷は「白川郷的な画」を見ただけで即撤収、走りたかったR360で東に向かう。
天生峠越えは素晴らしいワインディング・ロードなのだが、雪や災害で1年のうち半分以上は通行止めとなる。
しかし今日はまったく問題なく、山の中のタフな屈曲路を存分に走ることができた。
途中をK478へと右折、誰もいない人造湖の岸を走り続ける。
この道は初めて走ったのだが実に楽しい、お勧めのルートとしてカウントすることにする。
再びR158に入ったら、いきなり雨が降ってきた。
雷鳴轟く夕立の中、幌を上げて土砂降りに耐えながら走る。
R156/ひるがの高原まで来ると雨はピタリと止んだが、びしょ濡れのトップはすぐに下ろすことはできない。
夕刻も迫っていたのでそのまま走り続け、国道沿いの「
Okuminoen」にチェック・インした。
例によっていちばん安い宿泊プラン故か、部屋はリアル六畳一間で寝るだけといった感じだが、晩飯は質量ともに文句なし。
生ビールと共に残さず平らげ、膨らんだ腹をさすりながら部屋に戻る。
今日はよく走った。
Bluetoothキーボードをスマートフォンに繋ぎ、OneNoteに記事を書いているうちに猛烈に眠くなってきたので、寝る。
(つづく)