ゴールデン・ウィークまっただ中ですが、R339に先行車の姿は殆どありません。
丘陵地帯を抜けると眼前に輝く日本海が現れ、トップレスの空からは眩しい5月の陽光が中速域のエンジン・サウンドと共にキャビンへと降り注いできます。
龍泊ラインは津軽半島の先端へと一気に高度を上げるため、緩やかなシーサイド・ラインから豪快なヘアピン・コーナーの連続するワインディング・ロードとなります。
セカンド・ギアまで落としたボクスターでレフト・ベンドをクリア、回転計の針がレッド・ゾーンへと突き刺さる手前で3速へとシフト・アップ。
迫りくる次のコーナーにブレーキング&ブリッピングをかましてギア・スティックをゲートの左下へと再び叩き込み、ステアリングをゆっくりと右に切りながらパーシャル・スロットルで耐え忍び、出口が見えてきたところでもう我慢できずにアクセル全開で嗚呼ッ!(発射)
年甲斐もなく興奮したオッサンは、クール・ダウンのために立ち寄った眺瞰台展望所で素晴らしい景色に出会いました。
晴天ながら眼下・津軽海峡の海はその一面が低い雲に覆われており、その向こうに北海道/松前半島最高峰の大千軒岳が白く浮かんでいるのです。
海の上の雲海を生まれて初めて見る私、大変チープな表現で情けないのですが、もう「絶景」という言葉しか思いつきませんでした。
ちなみにこの雲海は海沿いを走って来る間はまったく認知することができず、眺瞰台から見る日本海側は引き続きキラキラと陽射しに輝いています。
つまり、津軽半島の先端を境に東側だけで発生しているようで、この後に向かった竜飛崎は濃霧の中で何も見ることができませんでした。
遠くクルマを走らせるその先には、時としてこのような光景が待っているんですね。
ここまで走ってきて良かったと、心の底から思いました。
海岸線のR339は狭くかつ暗い霧に覆われていたため、並行して山腹を走るK281/あじさいロードにエスケイプ。
予想通り視程は一気に回復し、誰もいない2車線路を東へと快調に走ります。
三厩[みんまや]で海沿いに復帰、R280でぐるっと走るうちに海霧ゾーンを脱出したようで、穏やかな海には光と青空が戻っていました。
大好きな平館の海に立ち寄って、対岸に霞む下北半島を眺めながら小休止。
2013年と
2014年にも訪れていますが、ここは本当にいいところなんですよねぇ。
気温は22℃、海峡を渡る風は実に涼やかで、つい時間を忘れてしまいそうになりました。
青森市からみちのく有料道路を経て、下北半島に入ります。
無料供用中の下北半島縦貫道路を遠慮なくカッ飛ばし、R279/横浜町へ。
折りしも菜の花が満開となっており、鮮やかな黄色のカーペットに目を奪われながらボクスターをのんびりと走らせました。
その先は、交通量の多い陸奥湾沿いのR279を避けてK7で太平洋側のR338に出ます。
続くK248→K172と無人の2車線路を突っ走り、K6で尻屋崎に到着しました。
ここまで来ると空気も風も一気に冷たくなり、もう着ないだろうと思っていたダウン・ジャケットを引っ張り出して羽織ります。
清々しいこの岬もまた、何度来てもいいところだと思っています。
今夜はむつ市内のビジネス・ホテルに泊まるため、どこかでひとっ風呂浴びていきたいところです。
ということで、K4のワインディングを走って霊場・恐山に向かいました。
ここに来ると、いつも何となく厳かな気持ちにさせられるんですよね。
魚の気配が感じられない宇曽利湖の畔では、誰が供えたか小さな風車が風にカラカラと回っています。
湯小屋には先客が数名おり、私も静かに白濁の熱い湯に浸からせていただきました。
このお湯は本当に気持ち良くて、個人的に好きな温泉の上位に数えています。
これで露天風呂があれば言うことは無いのですが、さすがにそんなワケにはいきませんね(笑)。
汗が引いてからボクスターに乗り込み、むつ市内の「
ホテル ユニサイトむつ」にチェック・イン。
久しぶりに訪れた居酒屋「
下北物語」で、ほろ苦いイカゴロの陶板焼きや、ホッケと見まごうばかりの大きなアジの開きなどをガツガツといただきました。
しかし調子に乗って中ジョッキを3杯も空けてしまい、かなりの酩酊状態に陥ります。
普段はビール1本で十分酔っ払うんですから、そりゃもうヘロヘロです。
フラフラ歩きながらホテルに戻り、シャワーを浴びて一気にバタンキューと相成るのでした(汗)。