北海道最後の朝。
5時に起きて身支度を整え、静かに部屋を出る。
ひと足先に出ていく広島のライダーさんは、スズキ・GSX1300R「隼」を駆ってパノラマラインを攻めに行くのだという。
私も昨日に続いてパノラマラインを走るうちに、アドレナリンですっかり目が覚めた。
このまま小樽まで行こうかとも思ったが引き返し、宿が主催する6時30分発のショート・ツーリングに参加する。
宿主さん、神奈川のお兄さんの2台のバイクに続いて走っていると、隼が対向車線をカッ飛んできてUターン&合流。
この日は残念ながら雲海を見ることはできなかったが、途中の展望所からは岩内の街や日本海を眺めることができた。
その展望所にいた3人組の元気な女の子は、大学1年生。
東京から飛行機に自転車を積んでやってきて、雨の日も風の日も北海道を周っているのだと言う。
宿主さん、隼のライダーさん、私の同世代3名は、「若いって素晴らしいねぇ」としみじみ呟くのであった(汗)。
ここで私はタイム・アップ。
D66を戻る3台のバイクに大きく手を降って、D58へと左折する。
3人とも明るく楽しく、実に気持ちのいい人たちであった。
山を下りると気温は上がり(それでも22℃前後だが)、見納めの後方羊蹄山が逆光気味にその巨大な姿を現した。
ここから小樽までは、R393/赤井川国道をトレースする。
山間の快走路はクルマも少なく、時折現れる前走車を安全にブッコ抜きながら、6速メインで気持ち良く走り続けた。
毛無山付近でひとやすみ。
涼しい風に吹かれながら眼下に拡がる小樽の街を眺めていると、北海道を離れる時が近づいていることを改めて実感する。
給油と買い出しを済ませ、小樽港から
新日本海フェリー「らいらっく」に乗船する。
定刻の10時30分に汽笛が鳴り響き、乗船客の与えるかっぱえびせんを狙うカモメが鋭い機動で飛び交う中、船は港を後にした。
さよなら、北海道。
いつかまた、必ず走りに来よう。
(了)