通勤車や大型トラックが爆走するR4で青森市内を抜け、まっすぐなR280バイパスで快適に北上を開始。
しかし単調でつまらないので海沿いの旧道へ下り、雲ひとつない青空の下でルーフを開けました。
キャビン内に朝の光が充満、風はまだ冷たいのですが、暖房とフィールド・ジャケットでOKです。
途中、平舘の海に出て、缶コーヒーでひとやすみ。
抜けるような青い空、海峡の向こうには下北半島、風も鎮まり非常にいい気持ちです。
昨年初めて訪れたこのロケーションは大好きで、ボクスターでも必ず立ち寄ろうと思っていました。
念願叶って、大満足です(笑)。
R280/松前街道は、ボクスターの独走状態。
右手に青い海を眺めながら、気分良く走り続けました
三厩からは狭くなる国道を離れ、高所を並行するK281/あじさいロードへとエスケイプ。
この道は信号も民家も交差する道路もなく、安全にマイペースで走ることができる2車線の超快走ルートです。
ここで初めて、慣らしの終わったボクスターの「SPORT PLUS」スイッチをオン。
その名の通りスポーツ・モードよりも更に「走り」に振った車輌セッティングへと変わり、オート・ブリッピング機能が起動します。
シフト・ダウンした瞬間に、エンジンが「ガオン!」と自動的に回転数を合わせてくるのです。
スポーツ・プラス・モードで走らせるボクスターは、加減速旋回のいずれもが素晴らしくシャープ&ダイレクトとなり、津軽のタイトなワインディングを軽々とクリアしていきました。
が、正直、現時点ではドライバーがクルマにまったくついていけません。
自身の限界がボクスターのそれよりも遥か下にあるということを、つくづく思い知らされたのでした(涙)。
そんなわけで、あっという間に北の外れ、竜飛崎に到着。
しかし昨年も来ているのと風が強いのとで、すぐさま撤収です(笑)。
竜飛崎よりも楽しみにしていたのは、R339/龍泊ライン。
私だけでなく、クルマ仲間のM郎さんやShimaさんもここを走って昇天したという、絶景&極上のワインディング・ロードです。
スポーツ・モードにセットされたボクスターは、風を切り、文字通り龍の如くうねる断崖上の連続ヘアピン・コーナーを一気に駆け下っていきます。
いやー、本当に気持ちいい!
昨年はALPINA B3で反対側から上って来たのですが、これまた全然印象が違うんですねぇ。
どちらも素晴らしく、甲乙つけ難いと思われたため、途中でUターンして往復しちゃいました(笑)。
海岸線まで下ったら、その先は緩やかなコーナーが続く快走路。
十三湖の手前で国道を離れ、屏風山広域農道で荒涼たる大地を貫くストレートを突っ走りました。
なお、R101との交点を右折したそのすぐ先左側の空き地に、青い服の男2名を乗せ対向車線を向いて駐まっている白黒ツートーンのクルマを発見。
奴らは向かってくる善良な市民のクルマに向けて屋根の装置から怪電波を発射していたため、パッシングとハンド・アクションで注意を喚起しながら走りました。
まったく、警察に通報してやろうかと思いましたよ(怒)。
昼時を迎え、おにぎりだけの朝飯ではさすがに腹が減ってきています。
そこでツーリングマップルのリコメンドに従い、「海の駅わんど」の売店でここ鰺ヶ沢名物のイカ焼きを買いました。
目の前の漁港へ移動し、漁船と海と空を見ながらイカをつまみます。
味はリコメンドの通りとても旨く、結構な量がありましたが全部喰ってしまいました(笑)。
腹も膨れたのでこれを以て昼飯とし、売店まで戻っておばちゃんにごちそうさまを言ってリスタート。
陽射しが実に気持ちよく、ジャケットを脱ぎ暖房を切って、海沿いのR101を走りました。
途中、K280を左折して白神山地の十二湖に向かいます。
良くわかりませんが、小さな池がたくさんある有名な紅葉スポットらしく、平日にも関わらずなかなかの人出で週末は激混みと思われます。
残念ながらここの紅葉も終盤に差し掛かっていたものの、清々しくてとてもいいところでした。
トイレから出てくると、ボクスターを見ているおじさんがいます。
「これ排気量は?2700?そんなにあんのかい。速ぇんだろうねぇ。150なんてあっという間でしょ。捕まんねぇようにしねぇとな」
・・・はい、気をつけます(笑)。
引き続きR101で日本海沿いを南下。
長大な水平線を右手に眺めながらのクルージングが続きます。
東北の秋は午後になると何となくもう夕方っぽく、今日はどこまで走ってどこに泊まろうか・・・などと思案しながら能代の市街地をパスするK63を走りました。
その勢いで能代東ICから秋田自動車道に乗り、無料区間が終わる八竜ICでアウト。
そろそろ本日のゴールを定めるべく、コンビニのパーキングでツーリングマップルを開きます。
このまま秋田市内まで走り、ビジネス・ホテルにでも泊まって明日は男鹿半島でも走ろうかとも思ったのですが、どうにもピンと来ないんですよねぇ。
考えあぐねて仰ぎ見た空は、文字通り雲ひとつありません。
雲ひとつ無いということは、超久しぶりに海に落ちる夕陽が見られるかもしれません!
と言うことで、どうせなら西の端、男鹿半島の先端で落日を見ようと思い立ちました。
「じゃらんnet」で空いている宿をサーチすると、男鹿温泉郷にお誂え向きの宿があります。
予約してから今日の日没時刻を調べると16時39分・・・って、もう1時間を切っているじゃありませんか!(汗)
荒れた路面のR101をカッ飛ばす、スポーツ・モードのボクスター。
カーナビの到着予想時刻は16時45分、もちろんそれより早く着くとは思いますが、その確証はありません。
回転計の針が遠慮なく右半分に飛び込むのを周辺視野で捉えるたび、慣らしが終わっていて本当に良かったと思いました。
幸いなことにクルマは殆ど走っていないのですが、沈みゆく太陽がボクスターを真正面から直射し、ドライバーを幻惑します。
サングラスもまったく役に立たず、潮風に汚れたフロント・スクリーンが乱反射を誘発し、視界ゼロで徐行レベルまでの減速を余儀なくされることもしばしばでした。
どうも日没を見られないように、太陽が邪魔をしているとしか思えないんですよねぇ・・・。
4年前、同じように落日のシーンを賭けて石川県/千里浜海岸まで太陽と競った結果、引き分けに終わったことを思い出してしまう48歳。
同じ轍は踏むまいとアクセル・オン、K55→K59と先行車を安全にブッコ抜きながら内陸部を走り続け、K121で森を抜けると、広大な日本海が目に飛び込んできました。
間に合った・・・。
燃える夕陽がすべてを紅に染めて、雲ひとつ無い水平線に落ちてゆく。
その下端が溶けて海面と接し、完全に海中へ没するまで、わずか3分間ほどのドラマでした。
同じように夕陽を見に来たと思われるクルマは県道沿いに点在していましたが、私の周りには誰もおらず、風の音も波の音も殆ど聞こえてきません。
見上げる空にはいつの間にか上弦一歩手前の月がかかり、飛行機雲は水平線の向こうから照らされて茜色に輝いています。
なんて素晴らしい景色なんだろう・・・。
いい歳こいて、オッサンは感動しました。
ここまで走ってきて本当に良かったと、心から思いました。
これだから、グランド・ツーリングはやめられないんですよねぇ(笑)。
さて、そろそろ宿へと向かいましょう。
残照を映すボクスターを再起動、コーナーの暗闇をダイナミック・コーナリング・ライトで切り裂きながら、男鹿温泉郷へと走りました。
今日の宿は、「男鹿萬盛閣」。
部屋は広く温泉も良く晩飯も旨く、これで「大一枚」とはありがたい限りです。
20時過ぎ、フロントで案内されたナマハゲ太鼓を観るために、近くの劇場へと歩きます。
予備知識もなく、いわゆる伝統芸かと思いきや、実際は和太鼓団体「恩荷[おんが]」によるド迫力の太鼓パフォーマンスだったのでした。
腹の底に響く和太鼓の音圧に圧倒され、全力で叩き続ける若者の姿に胸を打たれます。
温泉街の余興レベルと思ったら大間違い、裸足の浴衣姿で寒さに震えていたオッサンは、汗をかくほどヒート・アップする始末。
宿へ戻って再び温泉に入り、ようやく落ち着きを取り戻したのでした。
いやぁ、思いがけず素晴らしいステージを見せてもらいました!
本日の走行距離は、379km。
走行時間は6時間56分、平均速度は56km/h。
平均燃費は10.6km/lでした。