翌朝。
長野県白馬村の空は、ド快晴!
放射冷却のためかグッと冷え込んでおり、ボクスターにはうっすらと夜露が下りていました。
パンケーキ+トーストの朝飯をたんまり喰ってチェック・アウト、濡れた幌をウェスで拭いたら出発です。
紅葉も始まった秋晴れの日曜日、しかも全国旅行支援の開始直後ですから、首都圏へ向かう高速道路は午後から阿鼻叫喚の大渋滞となるのは火を見るより明らかです。
それを回避するには、どこへも寄らずにダッシュで帰るか、逆に渋滞が終わるまで走りまくるか。
・・・うーん、このベスト・オープン・コンディションを捨ててまっすぐ帰るのは、やはりもったいないですよねぇ(笑)。
屋根を開け、姫川を渡り、林道レベルの一本道で山を上って青鬼[あおに]の集落に到着。
景色が良いというので初めてやってきたのですが、静かな村の入口に観光客用の駐車場があるということは、訪れる人は少なくないのでしょう。
ボクスターを駐めて料金箱に協力金を投じ、誰もいない村の奥へと歩いてみます。
動物避けのゲートを開くとその先には石垣に支えられた棚田が拡がっているものの、稲はすっかり刈り取られた後・・・。
棚田の画としては最悪のタイミングでしたけど(笑)、振り返るとその先には北アルプスの素晴らしい風景が展開していました。
田植え後や稲刈り前であれば更なる絶景だったと思われますが、その一方で混雑もするでしょう。
この時期にこの眺めを独り占めできただけで、私は大いに満足なのです。
集落から下界に戻り、すぐ国道には出ずに白馬村内をのんびりと走ってみます。
もちろん観光道路でもなんでもありませんが、至るところから北アルプスの3,000m級の峰々を望むことができるのです。
その都度ボクスターを停めて見入ってしまうため、ちっとも前に進みません(笑)。
白馬三山を正面に見る田園のストレートを、シルバーの986型ポルシェ・ボクスターが快音と共に駆け抜けていきます。
手を振り、手を振り返してもらいながら、カッコいいなぁと心から思いました。
白馬村を後にし、R406を東に向かいます。
森の中のワインディングはとても気持ちよく、先行車両に道を譲っていただきながら峠へと上っていきました。
ピークの白沢洞門前には3-4台程度の小さな駐車スペースがあり、振り返ればもう一度、北アルプスの山々を眺めることができます。
しばらくするとバイクやクルマ、チャリンコが次々とやってきたので撤収しましたが、ここはそれだけ有名なビュー・ポイントなんですよね。
トンネルを抜けると風景は一変し、断崖に沿って下るテクニカルなコーナーが続きます。
2速メインで曲がりまくり、ボクスターの足捌きを大いに楽しみました。
鬼無里[きなさ]からは国道を離れ、K36を南に走ります。
グニグニの急坂を上り切り、その先を再び下っていくのですが、これがアルプスの山並みを遠望できる気持ちのいい道なんです。
いやほんと、こんなに走っていいのかっつーぐらいの走りっぷりです。
下り切ったところで幹線路のK31に出、クルマやバイクで賑わう道の駅「おがわ」でのショート・ブレイクを経て、誰もいないK36の続きを走りました。
その先、R19からすぐにK70へと脱し、昼飯処を探しに篠ノ井の市街地へ入っていきます。
が、街中は混雑しているばかりで、飯を喰う気も失せました(涙)。
ということで再び山奥へと逃げ込むべく、松代からK35をセレクトします。
これまた初めて走る道で、昼飯は峠を越えた先の上田市に入ってから探せばいいや・・・と思っていたら、畑の中に立つうどん屋の看板を発見!
シャコタン車NGクラスのガタガタ道の先に、極めてブイシーな感じの「麺味座[めんみくら]」がありました。
昼飯時をだいぶ過ぎてはいましたが、それでも店内は地元の方々と思われるお客さんで賑わっています。
発注したざるうどんはツルツルッと滑るような喉越しで、松代揚げと呼ばれるかき揚げには山芋がゴロゴロと入っており、味も食感も抜群です。
蕎麦が名産である信州で、思いがけず旨いうどんを喰うことができました。
山の中に入ったK35は一気に勾配がキツくなり、2車線を保ったままでハードな屈曲ステージとなります。
幾多のショート・コーナーを曲がり切り、2速から3速、4速へとシフト・アップして、ストレートの新地蔵峠を越えて走りました。
気温はグッと上がって25℃、真田町のセブン-イレブンでアイス・コーヒーを飲み干してから、R144でまたもや山の中へと向かい、群馬県入りを目指します。
が、思ったよりクルマやバイクが多くペースが上がらないため、空いているR406で菅平方面へ向かってからK182で再び群馬県方面へ。
国道と並行するこの県道は誰もいない林間のワインディングで、ひたすらコーナリングに勤しむことができるのです。
R144に復帰、鳥居峠で県境を越えて群馬県に入りました。
この先は慣れ親しんだ快走路を結んで走り続け、渋滞が解消した頃に関越自動車道へ乗って帰ろうとの魂胆です。
まずは、広域農道/つまごいパノラマライン・南コース。
快晴の続いた長野県から一転、空は一面の雲に覆われて風も冷たく感じられますが、雨の気配はないのでまったく問題ありません。
広大なキャベツ畑の丘陵を走り続け、K235で北軽井沢の別荘地帯を抜けました。
その先はK54で、二度上峠越えのワインディングにアタック。
雄大な浅間山の景色が望めるはずの峠は霧に覆われていたため、そのままノンストップで走り続けます。
時刻は16時、R406沿いの道の駅「くらぶち小栗の里」で独り作戦会議。
関越道は絶賛大渋滞中のようですから、まだまだタップリと走り続けることができそうです(笑)。
ということで、これまた大好きなK33で地蔵峠を越えていきます。
昼なお暗い峠道は誰一人走っておらず、小休止した峠の先は完全なる静寂に支配されていました。
リスタートして走り続けるボクスターはJR信越本線/松井田の駅を越え、K51を南下。
妙義の巨大な岩山を意識させられながら、R254との交点に達します。
最寄りの下仁田ICから上信越自動車道に乗ったとしても、その先の関越道の渋滞はまったく減っていないため、国道を捨ててK45へと右折。
急速に暗くなる山間の県道をひた走り、長大な湯の沢トンネルを抜けて、上野村に入りました。
以前は良く来ていたのですが、営業時間の変更や、近隣の「峠のうどん屋 藤屋」の閉店などが重なって足が遠のいていたため、今回は実に7年ぶりの入湯となりました。
浴場にも食堂にも近隣の方々と思われるお客さんが入っており、地元住民の憩いの場として引き続き営業しているようです。
露天と内湯とにのんびりと浸かり、しばらく休憩所でダラけてから再びボクスターに乗り込みました。
真っ暗な山の中、R299からR462を東へと走り、夜の土坂峠越えを楽しもうとK71を右折した途端、暗闇に浮かぶ「全面通行止」の電光掲示板。
どうやら峠から先の埼玉県側で法面が崩落したらしく、今年の8月から通行止めが続いているのだそうです。
そりゃないぜ・・・(涙)。
気を取り直して、R462をそのまま走り続けます。
神流湖沿いのワインディングは人家も街灯も少なく真っ暗けなのですが、PDLS[ポルシェ・ダイナミック・ライトシステム]がコーナーの内側を的確に照らしてくれるため、マイペースを保って楽しく走ることができました。
埼玉県に入ったところで空腹を満たすべくラーメン屋をサーチし、「極濃湯麺シントミ 本庄インター店」にピット・イン。
時刻は20時を過ぎていましたが店内は満員、数名の待ちを経てからカウンターに着座して、看板メニューの濃厚タンメンをいただきました。
いやもう、これがめちゃくちゃ旨くてビックリ仰天!
土坂峠を越えて花園ICに出ていたらこの店の存在にすら気づかなかったはずなので、正に「災い転じて福と成す」ですね(笑)。
大満足で店を出ると関越道の渋滞も解消していたので、本庄早稲田のエネオスで最後の給油を済ませ、寄居スマートICから帰宅の途に就きました。
2日間の走行距離は、912km。
走行時間は18時間32分、平均速度は51km/h。
平均燃費は、10.4km/lでした。
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紅葉の始まった晴天の信州は、素晴らしい景色と最高のドライビングを楽しませてくれました。
今回は初めての道も何本か走りましたが、どれもこれもハズレなしで、信州の懐深さに改めて感じ入った次第です。
また信州だけでなく、2日目の後半から夜は群馬県内の楽しいワインディングを150kmほど走らせて、渋滞を回避することができています。
信州と上州、このタッグは最強レベルにおもしろい!
いつかまたルートを組んで、走りに行こうと思います。