旅支度を済ませ、仮眠ぐらいはしておこうと21時過ぎに床へ入るが、目はギンギンに冴えている。
寝るのを諦め、ボクスターに荷物を放り込み、日付が変わった熱帯夜の街を出た。
遅れてやってきた強烈な睡魔の波をPAで躱しつつ、関越自動車道をひた走る。
早朝の新潟市内、24時間営業のガソリン・スタンドと吉野家とでボクスターとドライバーの腹を満たし、港へと向かった。
定刻の午前6時、佐渡汽船のカーフェリー「おけさ丸」は曇り空の新潟港を出発。
キャンペーン料金で4割引、往復37,000円を20,000円強で乗船できたことに気を良くし、1,000円の追加料金を奮発して確保した1等リクライニング・シートで、暫しの惰眠を貪った。
フェリーは8時半に両津港へ接岸。
轟音と共にゲートが開き、私はボクスターの幌を下ろして、初めての地である佐渡島に降り立った。
これまでトキや金山のイメージしかなかったこの島を、どれだけ楽しく走ることができるだろう。
蒸し暑い曇り空の下で、サマー・ツーリングが始まった。
まずはK45、その名も「佐渡一周線」を時計回りに走ることにする。
左ハンドル車の特権で、左手に海を眺めながらひたすら快走・・・と思いきや、いきなりの通行止め表示に出鼻を挫かれる。
が、迂回路のK319は誰もいない深い山の中を行く1.5車線路で、緑の匂いに包まれながら気持ちよく走ることができた。
海岸線のK45に復帰、赤玉という地区の農協で佐渡牛乳を買い求め、防波堤に腰かけつつ家から持ってきたパンを齧る。
実に結構だ。
日本海に沿って走るボクスターは、完全なるマイペース。
空の雲は消え始め、梅雨明けの陽射しがジリジリと肌を焼き、湿気をタップリと孕んだ海からの風が身体に纏わりつく。
が、幌を上げる気は更々無く、他にクルマが走っていない日本一長い県道で、独りロードスターのアクセルを開け続けた。
小木の町を抜け、矢島・経島へ立ち寄ってひとやすみ。
散策路を少し歩き、500円を支払ってたらい舟に乗せて貰った。
おばちゃんのスムーズな漕ぎ技で、たらいはスイスイと湾内を進んで行く。
もしも私が漕いだとしたら、ちっとも進まずに同じ場所でクルクルと回り続けた挙げ句、転覆・沈没となるのが目に見えている。
おばちゃんは凄い、と心から思った。
K45は島の南端で終了、その先はまたもや通行止めだったため、K543などで迂回。
佐渡島は稲田が多く、それも海に向かってせり出しているため、グリーンとブルーが織り成す真夏のコントラストがあちこちに展開している。
またひとつ、クルマを降りて眺める価値のある素晴らしい風景を見つけることができた。
これだから、ツーリングはやめられないんだ。
島内唯一の国道・R350を走っているうちに昼時となり、何を喰おうかと思案する。
で、ツーリングマップルに記載のあった河原田本町の「とんかつ中堀」でカツ丼を喰った。
いわゆるタレカツ丼だが、ボリューム満点でとても旨い。
大通りと並行する静かな商店街にあって、店内は地元の方で賑わっていたのも納得である。
汗を拭きながら完食し、720円を支払って大満足の内に店を出た。
引き続きK45をトレースし、相川の町からK463/大佐渡スカイラインに入る。
その入口には佐渡鉱山の北沢地区施設群が廃墟となって残り、朽ちてなお巨大なその姿を誇っていた。
道は急勾配かつ急曲率のヒルクライムとなり、ボクスターはインリフト気味にかけ上がっていくものの、稜線に出ると完全に雲の中で視界はゼロ。
終着のレストハウス「交流センター白雲台」でご主人に訊けば、スカイラインの天気は下界のそれとはまったくリンクしないのだそうだ。
四方を海に囲まれている上に標高が1,000mもあるのだから、山頂に雲がかかるのも無理はない。
濃霧の中を引き返すのもしんどいので、スカイラインの先に繋がる防衛省管轄道路でR350へと下る。
滑り止めが施されたコンクリート・ブロック舗装のためカタガタとうるさいが、無事に麓へ到着。
まだ15時過ぎだが、今日はもう十二分に走ったので、宿へと向かうことにした。
両津の外れ、加茂湖に面した高台に建つ椎崎温泉「ホテル・ニュー桂」にチェック・イン。
汗まみれの身体をゴシゴシ洗って温泉に浸かると、いつの間にか日焼けしていた首や腕がビリビリと痛い。
この日の佐渡島の最高気温は、28℃だったとのこと。
湿度が高かったせいかもっと暑く感じたものの、東京は34℃まで上がったというから、相対的にはやはり涼しい島であると言えるだろう。
例によって最も安い宿泊プランなのに、晩飯にカニが丸一匹出てきたのは嬉しい誤算。
刺身やイカゴロ焼きなども望外に旨く、ジョッキ片手に出された料理をすべて残さず平らげた。
同じ大広間のステージでは団体さん向けに佐渡おけさが披露されており、独り静かに飯を喰う、といった感じではまったく無い。
ま、タダで佐渡おけさショウを見ることができたのだから、考えようによっては大いにラッキーである。
食後に外へ出ると、残照&涼風でたいへん気持ちがいい。
明日も晴れてくれることを祈りつつ、下駄を鳴らして部屋まで戻った。
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てな感じで、連休を利用して夏のツーリングに行ってきました。
御用とお急ぎでない方は、引き続きおつき合いいただけると幸いです。
よろしくお願いします!
遅れてやってきた強烈な睡魔の波をPAで躱しつつ、関越自動車道をひた走る。
早朝の新潟市内、24時間営業のガソリン・スタンドと吉野家とでボクスターとドライバーの腹を満たし、港へと向かった。
定刻の午前6時、佐渡汽船のカーフェリー「おけさ丸」は曇り空の新潟港を出発。
キャンペーン料金で4割引、往復37,000円を20,000円強で乗船できたことに気を良くし、1,000円の追加料金を奮発して確保した1等リクライニング・シートで、暫しの惰眠を貪った。
フェリーは8時半に両津港へ接岸。
轟音と共にゲートが開き、私はボクスターの幌を下ろして、初めての地である佐渡島に降り立った。
これまでトキや金山のイメージしかなかったこの島を、どれだけ楽しく走ることができるだろう。
蒸し暑い曇り空の下で、サマー・ツーリングが始まった。
まずはK45、その名も「佐渡一周線」を時計回りに走ることにする。
左ハンドル車の特権で、左手に海を眺めながらひたすら快走・・・と思いきや、いきなりの通行止め表示に出鼻を挫かれる。
が、迂回路のK319は誰もいない深い山の中を行く1.5車線路で、緑の匂いに包まれながら気持ちよく走ることができた。
海岸線のK45に復帰、赤玉という地区の農協で佐渡牛乳を買い求め、防波堤に腰かけつつ家から持ってきたパンを齧る。
実に結構だ。
日本海に沿って走るボクスターは、完全なるマイペース。
空の雲は消え始め、梅雨明けの陽射しがジリジリと肌を焼き、湿気をタップリと孕んだ海からの風が身体に纏わりつく。
が、幌を上げる気は更々無く、他にクルマが走っていない日本一長い県道で、独りロードスターのアクセルを開け続けた。
小木の町を抜け、矢島・経島へ立ち寄ってひとやすみ。
散策路を少し歩き、500円を支払ってたらい舟に乗せて貰った。
おばちゃんのスムーズな漕ぎ技で、たらいはスイスイと湾内を進んで行く。
もしも私が漕いだとしたら、ちっとも進まずに同じ場所でクルクルと回り続けた挙げ句、転覆・沈没となるのが目に見えている。
おばちゃんは凄い、と心から思った。
K45は島の南端で終了、その先はまたもや通行止めだったため、K543などで迂回。
佐渡島は稲田が多く、それも海に向かってせり出しているため、グリーンとブルーが織り成す真夏のコントラストがあちこちに展開している。
またひとつ、クルマを降りて眺める価値のある素晴らしい風景を見つけることができた。
これだから、ツーリングはやめられないんだ。
島内唯一の国道・R350を走っているうちに昼時となり、何を喰おうかと思案する。
で、ツーリングマップルに記載のあった河原田本町の「とんかつ中堀」でカツ丼を喰った。
いわゆるタレカツ丼だが、ボリューム満点でとても旨い。
大通りと並行する静かな商店街にあって、店内は地元の方で賑わっていたのも納得である。
汗を拭きながら完食し、720円を支払って大満足の内に店を出た。
引き続きK45をトレースし、相川の町からK463/大佐渡スカイラインに入る。
その入口には佐渡鉱山の北沢地区施設群が廃墟となって残り、朽ちてなお巨大なその姿を誇っていた。
道は急勾配かつ急曲率のヒルクライムとなり、ボクスターはインリフト気味にかけ上がっていくものの、稜線に出ると完全に雲の中で視界はゼロ。
終着のレストハウス「交流センター白雲台」でご主人に訊けば、スカイラインの天気は下界のそれとはまったくリンクしないのだそうだ。
四方を海に囲まれている上に標高が1,000mもあるのだから、山頂に雲がかかるのも無理はない。
濃霧の中を引き返すのもしんどいので、スカイラインの先に繋がる防衛省管轄道路でR350へと下る。
滑り止めが施されたコンクリート・ブロック舗装のためカタガタとうるさいが、無事に麓へ到着。
まだ15時過ぎだが、今日はもう十二分に走ったので、宿へと向かうことにした。
両津の外れ、加茂湖に面した高台に建つ椎崎温泉「ホテル・ニュー桂」にチェック・イン。
汗まみれの身体をゴシゴシ洗って温泉に浸かると、いつの間にか日焼けしていた首や腕がビリビリと痛い。
この日の佐渡島の最高気温は、28℃だったとのこと。
湿度が高かったせいかもっと暑く感じたものの、東京は34℃まで上がったというから、相対的にはやはり涼しい島であると言えるだろう。
例によって最も安い宿泊プランなのに、晩飯にカニが丸一匹出てきたのは嬉しい誤算。
刺身やイカゴロ焼きなども望外に旨く、ジョッキ片手に出された料理をすべて残さず平らげた。
同じ大広間のステージでは団体さん向けに佐渡おけさが披露されており、独り静かに飯を喰う、といった感じではまったく無い。
ま、タダで佐渡おけさショウを見ることができたのだから、考えようによっては大いにラッキーである。
食後に外へ出ると、残照&涼風でたいへん気持ちがいい。
明日も晴れてくれることを祈りつつ、下駄を鳴らして部屋まで戻った。
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てな感じで、連休を利用して夏のツーリングに行ってきました。
御用とお急ぎでない方は、引き続きおつき合いいただけると幸いです。
よろしくお願いします!