サロベツの朝は、風が強いが爽やかに晴れ渡っていた。
それでも頑固な雲のかかった利尻富士を左手に見ながら、ボクスターのトップを下ろして再びオロロンラインを北上する。
稚内の市街地を天北北部広域農道でパス、R238からもう一度宗谷丘陵に上がった。
手前のセイコーマートで仕入れた握り飯を頬張る、こういうところで喰うと旨さは倍増だ。
海の向こうに樺太を望みながらのんびりと丘を下り、宗谷岬に立ち寄った。
ライダーやチャリダー、カップルや家族連れが、最北端の碑の前で思い思いに写真を撮っている。
皆、到達感に溢れたいい笑顔であった。
R238でオホーツク海沿岸を南下。
気温は20度プラスでとても気持ち良く、水平線を眺めながら、時折現れる前走車を安全かつ迅速にヴッコ抜きつつ快調に走る。
猿払[さるふつ]で国道を離れ、驚異の直線道路・村道エサヌカ線に立ち寄る。。
ここに来たのは3度目となるものの、地平の彼方へと消えてゆく圧倒的なストレートには毎回、新鮮に驚かされる。
まっすぐ&まっ平らにも程があると思うのだが、それが無いのだ。
緑の大地にたった一本だけ引かれた直線道路を、雲の影を追って、ボクスターは走った。
昨日から沿岸部ばかり走っていたので、浜頓別[はまとんべつ]で内陸部へと舵を切る。
R275は適度に曲がった森の中の快速路、5速⇔6速でひたすら走り続けた。
トイレ休憩に寄った道の駅「
ピンネシリ」を始め、鹿の飛び出しに対する警告をあちこちで目にする。
激突したらシャレになんないなーと思いつつ、左右の森に注意を払いながら走る。
走り放題は音威子府[おといねっぷ]で一旦終了、昼時となったのでR40の沿道で見つけた「咲来[さっくる]」で豚丼と蕎麦のセットを喰い、腹を満たした。
食後のオッサンは名寄[なよろ]から再びオホーツク方面へと向かうべく、R239で天北峠を越えてゆく。
峠越えとは言っても北海道のそれだから、ダウン・シフトはせいぜい5速で事足りるレベルの緩やかさだ。
このままR239を行けば海に出るが、西興部[にしおこっぺ]からD137を走ってみたら、これが滅法おもしろい。
ツーリングマップルに「交通量皆無・寂しいルート」とあるが、3速まで使う峠道を含む、強烈なドライビング・ロードであった。
遠軽[えんがる]からD244でサロマ湖まで出、傾き始めた陽に輝く湖面を眺めながらR238を走る。
と、通り過ぎた右手に「
北勝水産」の看板を発見して思いっきりスピンターン!(嘘)
一度喰ってみたかったホタテバーガーは、揚げたて肉厚のホタテにタルタル・ソースが絡み、レタスやトマトの瑞々しさも相俟って抜群の旨さであった。
大満足でリスタート、いったん国道を離れて静かなD442で湖畔を走り、網走方面へと向かった。
市内で給油を済ませ、昼飯時に予約しておいた畑の中の「
いもだんご村」に到着。
1泊2,600円、いわゆる旅人宿なのに今日の宿泊者は私独り。
大部屋のロフトが貸し切りなのは嬉しいが、やはりちょっと寂しい気もする。
ここは食事を出していないので、おかみさんに聞いたスープカレーの店「
木多郎」へとボクスターを走らせて、チキン野菜カリーを喰った。
宿に戻りデッキで涼んでいると、宿猫がニャアと鳴きながら私の足に飛び乗り、スースーと寝息を立て始める。
いやはや、人懐こいにもほどがある。