川沿いのK3を南下するが、程なく周囲は深く濃い霧に包まれる。
そのまま混雑する豊岡の市街地を抜け、
数年前に名物の皿そばを喰ったことのある出石の街に立ち寄ってみた。
時刻はまだ8時、当然ながら蕎麦屋も土産物屋も開いていない。
静かな城下町を、登校する中学生たちがはしゃぎながら歩いていった。
R426を南に走るうちにようやく霧が晴れ、一気に青空が拡がる。
京都府に入り、
福知山城を眺めながら中丹広域農道を東へと走る。
途中、由良川の土手にボクスターを乗り上げ、手前のミニストップで仕入れたベルギーチョコクロワッサンとスイートポテトパウンドをホットコーヒーと共にいただく。
朝から甘いものを喰うと、なんだかパワーが出てくるような気がするのは思い過ごしだろうか。
改めてツーリングマップルを開き、今日これからの東進ルートを検討した。
追越禁止のR27、黒煙を吐く大型トラックのケツも見飽きたので、川を挟んで並行するK59へと逃げる。
いわゆる「対岸の法則」の通り、交通量ゼロの快速ドライブが実現した。
引き続きK12からR162に入るが、京都と若狭を結んで実に気持ち良く走ることのできるこの国道は、個人的に大好きな道のひとつである。
ショート・カットの峠道・K61の先はR477、快適な山間の2車線路はやがて一気に狭くなる。
花脊峠はかなりハードな「酷道」だと聞いてはいたが、実際はさほどキツくもなく、あっけなくパスすることができた。
ちなみに私がこれまで走った中で最凶の酷道は四国のR439、「与作酷道」の
京柱峠越えである。
いやそんなことよりも、この花脊峠をフルサイズの路線バスが走っていることに大いに驚かされたのであった。
K38で鞍馬の山を下り、渋滞や混雑に巻き込まれないよう京都の東のフチを走る。
そろそろどこかで昼飯を・・・と思っていたら、沿道にラーメン屋を発見!
裏手のパーキングにボクスターを駐め、店の前で待っている優しそうな彼氏&ショート・カットのキレイな彼女のカップルに訊いてみると、「ここは旨いですよ。スープが独特なんですわ」「わたし、京都のラーメンでここが一番好きです!」
そんな「
中華そば 東龍[とんりゅう]」で喰ったラーメンは、濃厚なスープにストレート麺が良く合ってとても旨かった。
屈曲のK30を経て、有料道路・比叡山ドライブウェイを初走行。
所々で赤く染まる紅葉や眼下の琵琶湖を眺めながら、アップ・ダウンのワインディングを走る。
延暦寺から先は奥比叡ドライブウェイと名前が変わり、そのまま走って終点の料金所に到着すると、「2,380円になります」。
この有料道路、ドライブを楽しむと言うよりは、途中の比叡山延暦寺へ行くために使う客が殆どなのであろう。
料金が高いのは、拝観料が含まれているのかもしれないな・・・と思いきや、延暦寺の拝観料はまた別に600円かかるのであった(涙)。
多数のトラックと共に、R161バイパスを北上。
ペースは悪くないものの、1車線の高速道路のような道ではやはりつまらなくなって、湖岸の県道に出た。
そのまま気持ち良く走っていると、琵琶湖で一番気に入っているポイントを発見した。
2年前、ALPINA B3での
最後のGTで訪れた場所だ。
同じところにボクスターを停め、静かな湖面を眺める。
当時を振り返りながら、B3は本当に素晴らしいクルマだったとつくづく思った。
ここから内陸へ少し入ったところのK287は、メタセコイアの並木道として知られている。
晩秋には鮮やかに紅葉するとのことだが、まだ少し早いようだ。
それでも姿形の良い大きな樹がまっすぐ並んでいる様は圧巻で、緑の天蓋をオープン・トップに流しながら、ボクスターをのんびりと往復させた。
そうこうしているうちに、琵琶湖は日没の刻を迎える。
消え行く残照と競うかのように、誰もいない湖岸道路を宿へと走った。
「
奥びわ湖を望む宿 つづらお」にチェック・イン。
素泊まり故、どこか食事ができるところはないかと眼鏡の似合うフロントのキレイな女性に尋ねてはみたが、オフシーズン故に近所のレストランも店を閉めているとのこと。
それは困ったな・・・と、雨に打たれた仔犬のような表情をしてみせると、食事が作れるかどうか厨房に確認してみますと彼女は言う。
結果、OKとなり、生ビール片手に晩飯にありつくことができたのである。