K33で街を離れ、K18へと左折。
誰もいない静かな山間の道を、ボクスターはマイペースで走っていきます。
空は急速に晴れてきましたが、引き続きどこからか小雨が落ちてきており、まだトップを下ろすわけにはいきません。
それでもいいことはあるもので、大気に残る雨が山の向こうから射す朝の陽光を捉え、秋の空に大きな虹を架けてくれました。
その虹を追いかけて鶴峠を越え、急斜面のワインディングを駆け下っていきます。
いや~、素晴らしいですねぇ。
大月から上がってくるR139と合流。
この道はタフな松姫峠を越えて走る大好きな道だったのですが、2014年にその狭隘区間をバイパスする長大なトンネルが開通したとのことです。
案の定、旧道は国道の指定から外されており、その分岐にはもはや大月側へは抜けられない旨の看板が建てられていました。
バイパス・トンネルが通じたことで、特に地元・小菅村の皆さんは大月市街への行き来が格段に便利になったことでしょう。
その一方で、「酷道」区間がクローズとなってしまったことは、個人的には大変残念です。
日本の山間部では、このような「新道開通⇒旧道閉鎖」となる改良工事が今もあちこちで行われていると思います。
走りたい道は、走れるうちに走っておかなきゃいけないな・・・と、改めて強く感じた次第です。
R139を奥多摩湖方面へと走ります。
連続するタイト・コーナー群は、ボクスターの最も得意とするところ・・・のハズなのですが、路面には雨に濡れた大量の落ち葉が貼りついており、これがまた袋が縮み上がるほどよく滑る。
故にグニャチン走行が炸裂し、親切にも道を譲っていただいたスバル・XVの前を塞いで走るという、文字通り恩を仇で返すような最低のドライビングが続きました(涙)。
快晴に近い青空となった奥多摩湖畔からはノーズを西に向け、初冬の富士山を拝んでやろうと観望の名所である柳沢峠を目指します。
しかしながら秋から冬へと葉を落とす山々の間を縫って走るうちに、あろうことか空は急速に曇り始め、着いた峠は霧の中(涙)。
「残念ですねぇ」と苦笑しつつ、同じく富士山を目当てにやってきたと言うプジョー・RCZのドライバーの方と、暫し言葉を交わしました。
塩山方面から軽トラで上がってきたおじさんに訊くと、「曇ってんのはここらだけで、下は晴れてるよ」との由。
礼を申し述べ、ようやく乾いたルーフを開け放って、ボクスターを下界へと走らせます。
うーん、やはりオープンで走ると気持ち良さ倍増ですねぇ。
雲の下に拡がる甲府盆地の景色を眺めながら大きなコーナーをグーッと周り、一気に塩山まで駆け下りました。
で、せっかく山を下りてきたのに、ここからR140で再び山に向かいます(笑)。
登坂車線つきの快走路で先行車を安全にパスしながら標高を稼ぎ、ハイカーで賑わう道の駅「
みとみ」で小休止。
白飯のツブツブ感が残った五平餅はちょっと焦げたところがまた香ばしく、小腹を満たすのにもピッタリです。
有料の雁坂トンネルを抜け、埼玉県の奥秩父エリアに突入。
前走のクルマやトラックについてのんびりと下り、途中でそれらすべての車輌と別れて独りボクスターを左折させました。
この付近、R140は滝沢ダム経由のバイパスを含めて3つのルートがあり、殆どのクルマは完全2車線の快適なバイパスを走ります。
一方、のんびりドライブが身上の私は最も古い旧道を選択、山腹に刻まれた1.5車線レベルの舗装路を往きました。
古来の秩父往還道にいちばん近いと思われる街道にクルマやバイクの影はなく、ボクスターを停めてエンジンを切れば、聴こえてくるのは涼やかな風の声だけ。
うーん、最高です。
三峰口からK37を北に走り、小鹿野の街に到着します。
町営の駐車場にボクスターを放り込んで歩き、開店10分前に「安田屋」の前に並ぶ10人程の列に加わりました。
昭和の香り全開の建屋で供されるカツ丼は、俗に言う「わらじカツ」が2枚、甘辛の醤油ダレにくぐらせた状態で丼から恥ずかしげも無くハミ出ています。
卵でとじてもおらず、キャベツなども載らない潔さではありますが、この味を求めて大勢の人がやってくるんですね。
腹いっぱいで後にした店の前には更に20人ほどの列ができており、変わらぬ人気の高さが窺えました。
R299で秩父方面へと走り、街を避けてK11で定峰峠へと上っていきます。
この峠道もなかなかハードなのですが、交通量が殆ど無いのをいいことに、本日初めてボクスターをスポーツプラス・モードにセットして走りました。
ダウン・シフトで間髪入れずにエンジンがフォン!と叩きあがるオート・ブリッピングは相変わらず気持ちがいいのですが、ニンゲンである私がコレを同じ精度でやろうとしても、なかなか上手くできないんですよねぇ(汗)。
森の中の屈曲路を抜けて明るい川沿いに走り、K361へと左折し急坂路を上って秩父高原牧場でひとやすみ。
雲ひとつ無い空からは明るい秋の陽光が降り注ぎ、今朝方まで幌を架けて走っていたとはとても思えませんでした。
この先のK361は山狭路となり人も絶え、落ち葉を踏みしめながら二本木峠を越えていきます。
荒れてきた舗装路をのんびりと下り、釜伏峠に出ました。
ここは左へ行くと皆野へと戻ってしまい、直進すれば皆野寄居有料道路のICに出るのですが、今回は初めて「寄居→」の看板に従って右折してみます。
が、想定外と言うか予想通りと言うべきか、これがまた「取りあえず舗装してありますよ」レベルの1車線林道。
離合のためにバックしてくれた相手のドライバーさんに、「こ、この道は大丈夫ですか?」などと涙目で尋ねたりしながら下り続け、何とか無事に寄居の街まで出ることができました。
花園ICから渋滞前の関越自動車道で、帰宅の途に就きます。
本日の走行距離は、358km。
走行時間は6時間47分、平均速度は54km/h。
平均燃費は、11.2km/lでした。
雨のスタートとなった晩秋のドライブは、虹のサプライズを経て、山々をオープンで駆け巡る楽しい一日となりました。
天候もようやく安定してきたようですので、凍結や積雪が始まる前に、まだまだ走りたいと思います!