変更点の目玉は、やはりエンジンです。
718ボクスターはボクスターの2.7リッターから2.0リッターへ、718ボクスターSはボクスターSの3.4リッターから2.5リッターへとダウン。
いずれも6気筒から4気筒へとシリンダー数も減り、自然吸気からターボ過給となりました。
もちろんパワー/トルクは大幅にアップし、燃費も改善されるとの由。
ダウン・サイジング+ターボ化は911カレラ&タルガ・シリーズで先行して実施されましたが、ボクスターは更にレス・シリンダーまで敢行したんですねぇ。
なお、既に発表されているとおり、ケイマンのエンジンも同様の変更を受けて「718ケイマン」に積まれるとのことです。
今回はいわゆるフルモデル・チェンジでは無いらしく、エンジン以外の変更は小幅なものにとどまっているようです。
当初、一部のメディアが「981から718へ!」みたいな書き方をしていましたが、そうじゃないですよね(笑)。
サスペンションやパワー・ステアリングはその設定が見直されたようで、エンジン出力の増大に見合うセッティングが施された模様。
外装はフェイス・リフトの常套として灯火類やディテイルがリデザインされましたが、写真で見る限り、全体的なイメージは現行モデルと大差無いように感じられます。
個性的なリア・ガーニッシュのデザインに惑わされて、リトラクタブル・リア・ウィングが廃止されたのかと思いましたけどね(笑)。
意外だったのがダッシュ・ボードの変更で、エア・ベントのカタチやクロノグラフ(オプション)の配置が大きく変わっています。
その他、室内ではステアリング・ホイールが新しくなったのと、普通のカーナビから最新のインフォテイメント・システムに変更されたことがトピックとなっています。
で、個人的に最も興味深く感じたのが、2.0リッター・モデルのガソリン・タンクの容量変更。
64リッターから54リッターへとビックリするほど"ダウン・サイジング"されているのですが、これは燃費改善を前提とした軽量化施策なのだろうと思います。
ガソリン10リッター減とタンクそのものの小型化で、10kgぐらいは軽くなりそうですからねぇ。
しかしわざわざそこまでしなくても・・・と思っていたところ、(日本仕様車のデータはまだわかりませんが)どうやら718ボクスターの重量はボクスターより25kgほど重くなったようです。
エンジン本体は2.7リッター6気筒から2.0リッター4気筒へと一気に小型軽量になったとは言え、ターボ化等に伴う重量増もあるってことなんでしょう。
ヨーロッパやアメリカでは64リッター・タンクがオプション設定されているのにもビックリしましたが、日本仕様車でも64リッター・タンクを選べるようになるんですかねぇ。
もうひとつ気になるのが、日本における販売戦略です。
718ボクスターは2016年2月1日から予約受注を開始するとのことですが、左ハンドル仕様車については、4月1日から30日までの一か月間しか受注しないのだそうです。
それだけ左ハンドル仕様の需要が減っているのでしょうけれど、今回の受注数が少なかったら、来年度以降の販売は右ハンドル仕様車だけになってしまうのでしょうか。
ちなみに変速機の選択肢ですが、引き続き6速マニュアル・トランスミッション仕様車も輸入するとのことで一安心。
日本では極めて優秀な7速オートマチック・トランスミッションであるPDKを択ぶ人が大多数でしょうから、今回のマイナー・チェンジを機にMT車を輸入しなくなっちゃうんじゃないか・・・と独り勝手に心配していたのです。
良かった、マジで(涙)。
車輌本体価格はやはり上昇しており、私のボクスターと比較して、718ボクスターは45万円も高くなっています。
718ボクスターSに至ってはボクスターSの62万円高、PDK仕様車だと900万円オーバーですから、ずいぶん高くなっちゃいましたねぇ。
ポルシェのアナウンスによれば、718ボクスターの価格帯は718ケイマンのそれよりも上に設定するとのこと。
兄弟車であるボクスターとケイマンは、(10psほど出力が低いとは言え)ロードスターがクーペより安く買えるという珍しいラインアップ構成だったのですが、それもどうやら是正されてしまうようですね。
引き合いに出すのはヘンかもしれませんけど、例えば911カレラの場合、カブリオレはクーペより15%、200万円も高いのです。
これらを考え合わせると、現行のボクスターはなかなかお買い得なクルマだったんじゃないかと思われます(笑)。
往年の名車であるポルシェ・718の名を引継ぎ、同じ4気筒のミドシップ・スポーツカーであることを積極的に謳う718ボクスター。
現行のボクスターに乗る私にとって、718ボクスターは購入の対象ではありません。
が、より高性能のGTSモデルやスパイダーは発売されるのか、718ケイマンはやはりエンジン・スペックや前後バンパー周りなどのデザインが718ボクスターと同じになるのか、次のモデル・チェンジでボクスター/ケイマンの名は消えてしまうのか、左ハンドルやMT仕様車はいつまで輸入してくれるのか・・・などなど、興味は尽きません。
いずれにせよ、718ボクスターがボクスターと同じように楽しいロードスターであることは間違いないだろう、と思っています(笑)。