今回、ほぼ初めて実物を見たのですが、DS3はとにかくカッコいい!
個人的には、強豪ひしめくA/B/Cセグメント・ハッチバックの中で最もスタイリッシュなクルマだと思っています。
アイコーニックなオリジナル・デザインを現代流に解釈しているBMWミニやフィアット500、或いは揺るぎないスタンダード・デザインをリファインさせ続けているVWゴルフなどと違って、このクルマには活用できるデザイン資産が殆どありません。
それは確かに不利なことかもしれませんが、反面、デザイン上の縛りは少ないんじゃないかと思われます。
更に
シトロエンC3という「比較的マジメな兄」がいることで、DS3のデザインは好き勝手にやってよし!ということになったんじゃないでしょうか(笑)。
例えば、全ピラーのブラック・アウト化で屋根をボディから切り離すフローティング・ルーフ・デザインは他にもありますけど、ブッタ切られて前進翼のようになったBピラーが突き刺さっているウィンドウ・グラフィックなんて、そこまでやるか!って感じでもうめちゃくちゃカッコいいと思います。
DS3カブリオは、このデザインを守るためにフル・オープンではなくキャンバス・トップ・タイプを選んだのでしょう。
そのソフト・トップにも一面に「DS」モノグラムをプリントするなど、デザインへのこだわりっぷりは尋常ではありません。
実に魅力的なアピアランスで、存在感抜群のクルマだと思います。
デザインの素晴らしさは、インテリアにも及んでいます。
特にシートは座り心地の良さもさることながら、「座りたい!」という気にさせるカッコいいデザインなんですよね(笑)。
恐らくアルミ製のスリー・ペダルはヤル気をそそりますし、フラット・ボトム・デザインのステアリング・ホイールやクリア・ニードルのメーター・パネルも実にいい感じです。
余談ですが、メーター右側のシフト・インジケータが実際に選んでいるギアよりも上のギアを表示するので、おかしいな・・・と思っていたら、これは変速を促すシフト・アップ・インジケータでした。
3速で山道をダーッと走っているときに「4」と表示されたりするもんですから、シフト・ミスをしたのかと思いましたよ(汗)。
カッコいいデザインやフォルムはそのままに、「オープン」という抜群のバリューが加わったDS3カブリオ。
サイド・ウィンドウ・フレームが残るキャンバス・トップ・スタイルながら、それでも屋根を開けて走る爽快感は格別です。
フル・オープンのクルマと違い、100km/hでの走行中でもルーフを開閉できるシステムですから、そのユーティリティはサンルーフと何ら変わりありません。
テスト・ドライブの二日間は真夏の凶悪な陽射しが照りつけていましたが、やはりオープン・エア・ドライビングの誘惑には勝てず、エアコンも屋根も全開にして走ってしまいました。
このキャンバス・トップは、後端まで全部開けてから再びスイッチを押すと、更にリア・ウィンドウ周辺まで開くようになっています。
後席に座っている人は開放感が多少アップするかもしれませんけど、折り畳まれたトップでルーム・ミラーによる後方視界はほぼゼロになり、スタイリングも何だかカッコ悪くなってしまいます。
なので、一度試しただけでやめました(笑)。
今回お借りしたDS3カブリオは「スポーツ・シック」というモデルで、1.6Lのターボ・エンジンに6速マニュアル・トランスミッションがセットされています。
エンジンはかなりパワフル&トルクフルで、低回転域からでも十分な力を発揮してくれます。
故に街中では早めのシフト・アップで流すこともできますが、山坂道ではやっぱり積極的にギアを操作して走りたくなるクルマなんですよね(笑)。
クラッチ・ペダルは軽く、ストロークは長めながら確実に決まるシフトを駆使してアクセルを踏みこめば、DS3は元気よく加速してくれます。
ストレスなく高回転域まで回るエンジン音と、思いのほか低く轟く排気音が頭上から降り注ぎ、ドライビング・ファンを倍加させてくれるんですねぇ。
ハンドリングは、フランス車であることから想起されるイメージよりもシャープで、グイグイと曲がっていく感じが印象的。
ブリヂストンのポテンザRE050Aなんてタイヤを履かせていることもまた、このクルマのドライビング・ダイナミクスを支えているひとつの要素なのだと思います。
それでいてどんなシーンでもハーシュネスのキツさを感じることが無いのは、さすがフランス車。
「硬軟比45:55」といったイメージでしょうか、タウン・ライドもハイウェイ・クルージングも快適にこなすことができました。
際立つカッコ良さのシトロエンDS3カブリオは、オープン+マニュアル+スポーティという大好物のコンセプトで(笑)、その走りもまた期待通りの楽しいものでした。
このクラスのクルマを物色中で、かつMTがイケる人には是非一度乗っていただきたい一台です。
屋根が開かなくていいのであれば、クーペ・バージョンのDS3で2ペダルの5速ETGモデルを選ぶのもアリですかね。
いずれにせよ、DS3のようなスタイリッシュで楽しいクルマに乗る人がもっと増えてくれればいいなぁ、と思っている次第です。