オートマ車とマニュアル車。
我々が若い頃は、スポーツカーに限らずどんなクルマでもマニュアルが標準でオートマがオプション、かつ加速性能も燃費性能もマニュアル車がオートマ車を上回っていました。
ところがどっこい、現在ではオートマ車の方が加速も燃費もマニュアル車を凌駕しているのが当たり前。
おかげでマニュアル・トランスミッション搭載車は今や絶滅状態、マニュアル車に乗っているというだけで、ややもすれば若干の変態扱いを免れないところまで来ています(汗)。
スリー・ペダルのクルマがなくなっていく中で、ポルシェは今もスポーツカー・ラインナップ(911シリーズおよび718シリーズ)の多くのモデルにマニュアル・トランスミッション仕様車を用意してくれています。
また、日本におけるマニュアル車のセールスは極めて少ないはずなのに、そのオーダーを普通に受けてくれるインポーターのポリシーもとても素晴らしいと思います。
ちなみに私は、1983年に初めて
KP61(トヨタ・スターレット)を買って以来、
三菱・ギャラン、
メルセデス・ベンツ190E2.3-16、
BMW M3Bセダン、同
M3Cセダン、
BMW ALPINA B3、ポルシェ・ボクスターと、いずれもすべてマニュアル・トランスミッションのクルマを選んでいます。
超余談ですが、今も父親が乗っているトヨタ・カローラ・フィールダーや弟のホンダ・フィットもマニュアル車で、過去に遡ってもオートマ車を所有していたことは一度もありません。
片や釣行の足グルマ、片や車中泊仕様の旅グルマ、私は走ることそのものを楽しむためのクルマと、3人ともそれぞれクルマに求めるモノは違うのですが・・・ま、「血」ですかね(笑)。
一方、私がクルマに乗り始めた頃は、輸入車と言えばまだ左ハンドルが当たり前でした。
マスター・シリンダーが左のままで無理矢理右ハンドル化した輸入車もあったりして、もともと左ハンドルの国のクルマなんだから左がいいに決まってる!と言われたもんですが、それも昔の話。
今はもう多くの輸入車が右ハンドルを主力としており、左ハンドル仕様車は正規輸入のカタログからどんどん消えていってる状況です。
輸入車におけるハンドル位置はいろいろと事情があるらしく、左ハンドル車の受注を1年のうち1ヶ月だけに限定するなど、ポルシェ・ジャパンも右ハンドル車をデファクト・スタンダードとしつつあるようです。
インポーターやディーラーの管理上の問題があるのかもしれませんが、それ以前に実用上の差異があり、左側通行の日本においては、やはり「左ハンドル車は不便」的なコンセンサスとなっているような感じです。
曰く、右折時に対向車が見にくいとか、追越しする際に前方を確認しづらいとか、駐車場等の無人発券機でチケットが取れないとか。
ええ、私もまったくその通りだと思います。
「左ハンドルは激狭山道でのすれ違い時に路肩ギリギリまで寄せられるからいいんだよ~」と説明しても、頷いてくれる人はごく一部のおかしなマニアの方だけでしょう(汗)。
それでも私はボクスターを発注するにあたり、利便性や納期の違いなどお構いなしに、迷わず左ハンドル仕様を選びました。
理由は単純、トランスミッションをマニュアルとしたからです。
人は歩くとき、右足と左手を、左足と右手を同時に前へ出します。
これは左右のバランスを取るための自然な動作だと思われますが、左ハンドル車のマニュアル・シフトも、「左足でクラッチ・ペダルを踏み、右手でシフト・レバーを操作する」ことがとても自然に感じられて、実に気持ちいいんです。
なので私は、前述のように多少不便な点があっても、マニュアル車に乗るなら左ハンドルの方が断然いいと思ってますし、逆にオートマ車だったら、利便性だけを考えればいいので右ハンドル仕様を選ぶと思います。
とは言え私、少なくともクルマを趣味としている間は、マニュアル車しか買わないと思いますけどね(笑)。
1992年、その4年前に新車で買った三菱・ギャランVX-Sから、程度の悪い6年落ちのメルセデス・ベンツ190E2.3-16に乗り換えた27歳の私は、クルマを走らせることに本格的に目覚めてしまいました。
それは、190E2.3-16というクルマそのものが持つ荒々しい魅力に加え、初めての「左足クラッチ+右手シフト」が楽しくて仕方なかったからでもあります。
また、もしも
BMW M235iクーペのLHD+MT仕様車が正規輸入されていたら、ボクスターには乗っていなかったかもしれません。
たかがハンドル位置と変速機種別だけで購入を判断するのもどうかと思いますが、これはもうある種の性癖みたいなもんですので、何卒ご容赦ください(伏)。
今後、左ハンドルもマニュアル・トランスミッションも減っていく一方だと思われます。
現時点でボクスターの「次」についてはまったく何も考えていませんが、「次」が見つからない可能性も考慮の上(汗)、引き続き、左足でクラッチ・ペダルを蹴り右手でギア・スティックを叩き込む楽しさを、存分に堪能していきたいと思っています。