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GTQ-9:Nara-Nürburgring [drive/touring]

朝起きると、フェリー「さんふらわあ・きりしま」は淡路島を左手に大阪湾へと入っていた。
紀伊半島の向こう側から、圧倒的な金色の光を放つ太陽がゆっくりと昇ってくる。

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昨晩出会った鹿児島の子供たちは、艦内で私を見つける度に「ポルシェのおじちゃん!」と駆け寄ってくるので、一緒に朝風呂に入ったり、デッキに出て海や船を眺めたり、壊れたジャージのファスナーを治してやったりした。
彼らを親元に帰してからバイキングの朝食をゆっくりと食べ、コーヒーを飲みつつ「ツーリングマップル関西」を開く。
本来、艦は8時前に大阪南港へ入る予定であったため、下船後にダッシュで走って東名のアホ渋滞が始まる前に自宅へと戻る算段であった。
ところがGT初日に船会社から電話があり、機関調整により速度を落として航行するため、着岸が2時間程度遅れるとの報告を受けていたのだ。
ということで当初の計画は不可能と判明、寄り道しながらのんびり走って夜遅くに帰ることに決定。
念のために関西版のツーリングマップルを持ってきておいて、良かった(笑)。

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フェリーは10時前に入港。
荷物をまとめて第二甲板まで降りると、目を輝かせた鹿児島の子供たちが待っていた。
彼らとは昨日の夜、「ポルシェと一緒に写真を撮ろうぜ」と約束していたのだ。
ボクスターのトップを下ろしてドアを開け、ほら、乗りなよと言うと、「乗っていいの?ホントに?やったあ!」と大喜び。
4人の子供たちを2人ずつ交代でボクスターに乗せ、お母さんにバシバシ写真を撮ってもらう。
みんな本当に嬉しそうだ。
お母さんたちからも何度もお礼を言われたが、礼を言わなければならないのは私の方だ。
ボクスターに乗っていて本当に良かったと、改めて思った。
と、下船案内に急かされるように自分たちのクルマへと戻る家族の中から、4年生の子が独り走ってこちらへ引き返してくる。
そして直立の姿勢から「どうもありがとうございました!」と深々と頭を下げて言うではないか。
小学生なのに、なんて礼儀正しいんだろう・・・と驚いたが、真剣なその表情はもはや子供のそれではなく、一人前の男の貌[かお]であった。

おじちゃん、グッと来たよ。
さようなら、元気でな。

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網の目のように入り組み、且つ至るところにアホほどオービスが設置されているワケわからへん大阪の都市高速をカーナビに指示されるまま走り、西名阪自動車道から名阪国道へ。
Ωカーブを経て針ICでアウト、K28を南下し、連休の観光客で大賑わいの室生寺を避けて、その先の龍穴神社に到着した。
誰もいない、巨木に囲まれた境内には凛とした空気が満ちており、二礼二拍一礼でここまでの無事に礼を申し述べ、併せてこれからの息災を祈る。
この神社へやって来ようと思ったのは、981型ボクスターに乗るgonさんのBlogで何度か拝見していたからだ。
更にもうひとつ、ここから北へと延びる広域農道/やまなみロードが「奈良ニュル(奈良のニュルブルクリンク)」と呼ばれており、一度走ってみたいと常々思っていたからでもある。

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奈良ニュルは、ストレート&ルーズ・コーナーが主体のハイスピード・コース。
交通量も少なく、快晴の空の下でオープン・トップのボクスターを気持ちよく走らせることができる。
ただしアスファルトが荒れている箇所も少なくはなく、それがまたニュルブルクリンクに準[なぞら]えられている所以かもしれないな、とも思った。
月ヶ瀬まで走りきったところで、K82にスイッチ。
奈良ニュルから一転、2速メインのテクニカルなショート・コーナーが続くダム湖沿いのルートは、今回のGTで最もエキサイティングなステージであった。

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ダム上を走ったその先の三叉路に、目指す「カフェセブン」はあった。
話には聞いていたのだが、実際に訪れてみると、ロケーションや雰囲気を含めて本当にクルマ好きのための素晴らしいカフェであることが実感できる。
「(ボクスターのナンバーを見て)関東から来はったんですか!」
「いや、九州からです」
「九州??」
と、地元のお客さんからも気さくに声を掛けていただき、旨いコーヒーを飲みながら楽しくクルマ談義をさせてもらった。
パーキングに並ぶクルマたちも強烈で、ケータハム・セブンやA310系のアルピーヌ、ルノー・クリオRSゴルディーニ、アバルト595コンペティツィオーネなどなど。
果ては70年代のシーサイドモーターのショウ・ルーム以外では見たことのない、ランボルギーニ・ウラッコまで現れたのだ(汗)。
奈良や三重と県境を接する京都の山の中、走り放題のワインディングに囲まれた、クルマ好きの集まるカフェがある。
関西の皆さんが本当に羨ましいと、心底思った。

さて、そろそろ帰路に就こう。
白樫ICから再び名阪国道に乗り、伊賀SAで遅い昼飯に伊賀牛ハンバーガーを齧りながら、道路状況をチェックする。
懸念していた東名阪自動車道の鈴鹿-四日市IC間に渋滞の気配は無かったため、下道には降りずにそのまま走り続けることとした。
伊勢湾岸自動車道、東名高速道路と順調に走るうちに、神奈川県内で始まった東名アホ渋滞の情報をキャッチする。
ところがその渋滞は事故に由来するものらしく、静岡県の小笠PAに立ち寄って詳細を確認したところ、その長さは40kmに及び、通過に3時間以上かかることが判明!
ということで今日中に帰るのは諦めて、直ちに近くの宿を検索&予約する。
予めGTQの日程を1日少なくし、休暇の最終日を予備日としておいたことが奏功したのだ。
吉田ICで東名を降り、「すき家」で牛丼の定食を平らげてから、「カンデオホテルズ静岡島田」にチェック・イン。
昇る月を仰ぎ見つつ、大渋滞の地獄絵図を思い浮かべ独りほくそ笑みを催しながら、最上階の広い露天風呂にのんびりと浸かった。
もしも予備日を取っていなかったら、阿鼻叫喚の40km渋滞へと自ら突入し、3時間以上に及ぶ拷問に耐えきれただろうか・・・。

いや、無理(即答)。


本日の走行距離は、412km。
走行時間は5時間33分、平均速度は76km/h。
平均燃費は、12.5km/lであった。

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gon

こんにちは
訪問者激増の謎が解けました
リンク、ありがとうございます。
上旬にQTをキャンセルしましたので
九州ラーメンツーリング羨ましく拝見しています。
味のある店と宿、次回の参考にします、
と言っても同じ店と宿そして同じ道を走るんですけどね。
Qなので9話で最終かな、動画も楽しみにしております。

ボクスターには威圧感がないのかオッサンと子供に大人気です。
子供に幌開閉サービスすると大喜び、
ボクスターでほんとに良かったと思いますね。
因みにピンクのアルピナカブは若い女性に大人気でした(笑)
by gon (2018-12-20 15:59) 

wata

gonさん、こんにちは。

龍穴神社はgonさんのBlogを見て一度行きたいと思っていましたが、まさか九州の帰りに寄ることになるとは、我ながらビックリです。
良いスポットを教えていただき、どうもありがとうございました。
gonさんも、また九州へ走りに行かれるんですね。
私のGT記、Qと9とは無関係ですが(笑)、後は帰るだけなので本編はこれにて終了です。
ちなみに鹿児島の子供たちも、「電動開閉ショウ」を見せたらビックリしていましたよ(笑)。


by wata (2018-12-20 19:10) 

銀蔵iD

wataさん こんにちは

wataさんと子供達との交流素晴らしいですね。
wataさんならではだと思います。
私もグッと来ましたよ(^。^)

いつの日か成長した子供達と九州の山の中で会えたら最高ですね!!!
夢が広がります(^-^)/
by 銀蔵iD (2018-12-20 21:42) 

wata

銀蔵iDさん、こんにちは。

確かに子供たちはボクスターに大喜びでしたが、直後のユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの素晴らしい体験で、完全に上書きされていると思うんですよね。
それでも個人的には、ボクスターとの出会いが彼らの中にほんの少しでも残っていて、将来クルマ好きになってくれればいいなぁと思っている次第です。
結局、今回の小さなコミュニケーションで、いちばん喜んでいたのは私かもしれませんね(笑)。

by wata (2018-12-21 19:54) 

gt7

素晴らしいブログありがとうございます。
最近981を購入したので、ドライブの参考に活用させていただいております。可能であれば、カテゴリーを地域別にまとめてくださると更に素晴らしくなると思います。ご検討いただければ、うれしいです。
by gt7 (2018-12-22 21:49) 

wata

gt7さん、はじめまして。

コメントをいただき、どうもありがとうございます!
私は981型ボクスターに乗り始めて4年ですが、乗るたびに新鮮で素晴らしいドライビングを堪能させてもらっています。
なお、このBlogは自分のための備忘録として書いており、カテゴライズも自分に必要な分け方でやらせてもらっております。
地域分けの必要性を感じるには、日本のあちこちをもっと走り回らなくちゃならん、と思っている次第です(伏)。

by wata (2018-12-23 23:18) 

Mina

wataさんこんにちは!
wataさんに関西をこんな風に紹介して頂けて、なんだかとても嬉しくなりました!「なんや、関西ってめっちゃええところやん!!」と思いました(無いものねだりで、関東が羨ましくてしゃーなかったので…笑)

大阪市内の高速道路のオービスの数は、とんでもないですよね…覆面もしょっちゅう走っているので、走る度に結構神経を使います。

私もカフェセブンや奈良ニュルにまた行きたくなりました。もう今からだとだいぶ寒いんですかね…

いつも素敵な記事、有難うございます!
これからも楽しみにしております^^

by Mina (2018-12-24 10:03) 

忠

これがGTQの最後(動画を除く)なんですね。最後は男の子とおじさんのストーリーに僕もグッと来ました!

ところで僕もGTQというのがどういう意味なのか気になっていましたが、「私のGT記、Qと9とは無関係です」・・・Qというのはツーリング好きの方々の隠語のようなものと思っていましたが、ひょっとしてグランドツーリングin「九州」のQなのか・・・・9ではなく九・・・・やっぱり違うか?笑)

by 忠 (2018-12-24 10:50) 

wata

Minaさん、こんにちは。

「オラどかんかい!ジャマやコラ!」
・・・とドツかれるのが怖くて市街地には入りませんが(汗)、関西もまた魅力的なドライビング・エリアだと思っています。
カフェセブンや奈良ニュルは、地元では有名なんですよね。
この近辺は何度か走っているのですが、走るべき道や立ち寄るべきスポットがまだたくさんあることを痛感させられました。
今回は九州GTの帰りにちょろっと寄っただけですので、いずれまた関西をターゲットに走りに行きますよ!

by wata (2018-12-24 11:11) 

wata

忠さん、こんにちは。

4年生の彼は、一家を代表して最後にキッチリと礼を言いに来たのだと思います。
本人の礼儀正しさはもちろん、ご家族の教育もとても素晴らしいと感じました。
ちなみに「GTQ」に大した意味はありません。
「グランド・ツーリング九州」を省略しただけなんですが・・・こうしてわざわざ説明すると、いかにも陳腐ですよね(汗)。

by wata (2018-12-24 11:22) 

ラビー

フェリーでの少年たちとの交流、いいですね~
おばちゃんもグッときました(笑
常識あるご家族でよかったです。

九州から、関西も!贅沢ですね~さすが、グランドツーリング!
関西版ツーリングマップルの登場に、関西も実は予定していた?(笑
遠方の普段は見ることができない景色と走ることができない道を、
じっくり味わっちゃうって、気持ちよさそうで、見てるだけでクラクラします。
渋滞と取り締まりがなくて、気持ちのいい道がいいな~(爆
by ラビー (2018-12-24 18:20) 

wata

ラビーさん、こんにちは。

子供たちが見知らぬオッサンと仲良くしているのを、お母さんはどんな気持ちで眺めているんだろう・・・と少々不安になったりもしました。
しかしながら、目の届くフェリー艦内でのことだったためもあるのでしょう、最後まで温かい目で見ていただいたような気がしています。
記事に書いた通り、フェリーが予定通り運航されていれば、ツーリングマップル関西版の出番はありませんでした。
でも結果的に、フェリーが遅れて良かったと思っています(笑)。

by wata (2018-12-24 21:03) 

Mina

真っ青なオープンカーのポルシェボクスターを煽れるほど根性ある輩は、さすがに関西にもそんなにいないはず...笑

わー!wataさんが関西に来られたら、どんなルートを走られるのか、今からとても楽しみです^_^!!

是非、関西へのお立ち寄り、楽しみにお待ちしております^_^!!
by Mina (2018-12-25 23:16) 

wata

Minaさん

私の中では関西と言えば紀伊半島なのですが、他にも楽しそうな道がたくさんあるよな~と、「ツーリングマップル」関西版を眺めて独りほくそ笑んでおります。
いずれにせよ、関西の皆さんに「なんや、この東京もんが!六甲おろしや!通天閣や!二度づけ禁止や!!」とドツかれないよう、おとなしく走る所存です(汗)。

by wata (2018-12-26 21:34) 

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