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GTQ-7:秘境の向こう [drive/touring]

露天風呂から、夜明け前の空を仰ぎ見る。
夜半までの雨は止んでいたが、一面の雲は地表まで降りて霧となり、山間の街を静かに覆っていた。

レストランで朝飯を喰っていると、TVの綺麗なお天気おねいさんが天気は昼前から回復する旨を告げている。
その綺麗なおねいさんの言葉を信じ、ルーティングの迷いを断ち切った。
天気が悪ければ避けるつもりでいたが、今日は宮崎県の秘境・椎葉村を抜けて南へ走ることとしたのだ。
九州の旅も終盤、悔いが残らないように走ろう。

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宿を出て、R218を東に走る。
ボクスターはクーペ・スタイルのままだが、ダイナミックに流れる雲間からは朝の光も射し始め、濡れた幌が徐々に乾いていくのがわかる。
馬見原でR265にスイッチし、ノーズを南へと向けてアクセルを入れる。
このルートは「ひむか[日向]神話街道」と呼ばれていることもあり、山々の風景も太陽の光も何となく神々しく思える。
長いトンネルを抜けた先はところどころ未改良区間もあるが、引き続き快走を続けて椎葉村の中心部に入った。

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12年前、私は台風の直後にALPINA B3でこのルートを走っている。
その時は椎葉から先の道が悉[ことごと]く通行止めとなり、人吉へ出るのにかなり難儀した記憶が脳裏に強くある。
そこで今回は椎葉村役場に立ち寄り、道路状況を直接確認することにした。
観光課の方にでもお話しを訊こうと役場の入口で来訪の旨を告げると、わざわざ建設課に案内してもらい、やや恐縮する(汗)。
ここから人吉方面に抜けたいのですが、とツーリングマップルを開いて建設課のおねいさんにアドバイスを求めた。
K142は通行規制中、R265はかなりの狭路で落石も多くとても時間がかかるとのことで、お勧めされたのは大河内桑木原林道経由のR388。
いやそれ12年前と同じハードなルートやん・・・と思ったものの、プロ中のプロである建設課のおねいさんが言うのだから間違いはないはずだ。
礼を申し述べて村役場を後にし、秋の陽射しにバリッと乾いたソフト・トップを下ろしてボクスターをリスタートさせた。

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国道を離れ、路面状況に注意しながら1.5車線レベルの林道を走る。
前回はうねるアスファルトにB3の下回りを擦ったりもしたが、やはり10年余のうちに補修されたのであろう、気をつけてゆっくりと走ればボクスターでも問題の無いレベルであった。
それでもどえらい山奥感は炸裂しまくりで、晴れてくれて本当によかったとツーリングの神様に改めて感謝する。
峠を越えてR388に接続、12年前はガッタガタだったこの道もずいぶん走りやすくはなった。
が、国道なのにあたかも林道の如くいくつもの雨水溝が道を遠慮なく横切っているため、不用意なスピード・アップは禁物だ。
R265との交点付近からは民家も現れ始め、秘境から無事に脱出したことに安堵する。
と思いきや、宮崎県から再び熊本県に入って以降、狭い道は急な下り坂となり、そんな道を上ってきた巨大なダンプ・カーとの離合に手を焼くこととなる。
下りきって田園地帯に出たところでひとやすみ、越えてきたばかりの山々を眺める。
汚れ放題のボクスターのドアに手をかけつつ、心から「走った感」に浸るのであった。

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秘境脱出にはやはり相応の時間を要したようで、もう昼時である。
今日もまたラーメンを喰おうと決め、あさぎり町にある「つねまつ」の暖簾をくぐる。
老夫婦が営む年季の入ったラーメン屋で、その佇まいから想像できた通り、とっても旨いラーメンを喰わせてもらった。
しかもこれで450円だというから、何とも畏れ入るではないか。
ちなみに今回のGTランチはラーメンばかり喰っているが、殆どの店はカーナビの検索機能で探し出している。
流行りのグルメサイトとは異なりカーナビ独自のオフライン情報ではあるものの、どれもこれも大当たりと言って差し支えない成果を叩き出しているのだ。
やるじゃないか、クラリオン。

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R221でまたまた宮崎県に入り、K30/霧島バードラインのタフなワインディング&ヒルクライムでボクスターの走りを存分に楽しむ。
鹿児島県に入って引き続きK1を霧島方面に向かうが、心配していた新燃岳噴火の影響は見られず、普通に走れたのは何よりであった。
霧島温泉郷エリアに入り、探していた沿道のパーキングにボクスターを駐め、タオルを持って山へと分け入る。
この付近には温泉の川が流れているため、ワイルドな野天湯を楽しむことができるというのだ。
しばらく歩き、小さな道を越えたところに良さそうな淵を見つけ、服を脱ぎ捨て素っ裸になって体を沈める。
白濁の湯はほぼ適温、川底の石でケツが痛いが、いやもうとにかく最高であった。

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さて、霧島までやって来たからには霧島神宮に参拝しない訳にはいかない。
西日と重なる大鳥居を背に拝殿まで歩き、旅の無事を祈った。
ちなみに、引いたおみくじは嬉しい大吉!
ただし、一番気になる旅行[たびだち]の項には「計画を十分にたてよ」とある。
いや、行き当たりばったりの旅もいいもんですよ、神様(笑)。

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今夜の宿は、霧島温泉郷のいちばん奥にある野々湯温泉「旅の湯」だ。
3年前の23泊ツーリングでも泊まった、なかなかラフ&シュールな感じの一軒宿である。
いちばん安い湯治部屋に荷物を放り込み、浴衣に着替えて内湯&露天風呂へGO。
湯の花が舞う温泉は、広々として実に気持ちがいい。
先客のおにいさんは彼女と二人で羽田から鹿児島まで飛んできて、レンタカーで南九州を周っているのだという。
しかも社会人となって間もないとの彼は、自分でクルマを買ったというのだから素晴らしい。
晩飯は温泉旅館でよくある会席料理だが、牛肉や鶏肉はもとより、山の中なのに刺身も旨く、白飯も抜群である。
ここ最近で最高の晩飯であり、その旨を伝えると、宿のスタッフさんも大いに喜んでくれた。

11月も後半、南国・鹿児島とはいえ、山中の温泉宿はグッと冷え込んできた。
部屋のコタツで旅の日記を書き終えたらもう一度温泉に浸かり、湯冷めしないうちに布団へ潜り込もう。


本日の走行距離は、233km。
走行時間は4時間57分、平均速度は49km/h。
平均燃費は、10.9km/lであった。

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ていしあ

こんばんは。

2015年に椎葉村から小林市までR265をトレースしたのを思い出しました。今回は是非とも、そこをwataさんに走ってもら・・・いや、かなり苦労したのでお勧めはできません。が、R388もかなりの酷道のようですね。

まだまだ九州の酷道は健在のようですので、次回の課題にします。
by ていしあ (2018-12-13 22:46) 

忠

こんにちは。

TVの綺麗なお天気おねいさん
建設課のおねいさん

女性のことを「おねいさん」と書くのを見たのは初めてかもしれません。しかし今回のGTの後半には女性がよく出てきますね。ポルシェの人と呼ぶご婦人等々
また最後の夕ご飯は豪勢ですね。海の幸に山の幸、旅の楽しみです。

ところでルートは、まず東側を北から南に縦断し、その後は西側を北上し、さらにど真ん中を南下する・・・・僕だったら東に行ったり西に行ったりしてしまいそうです。参考になりました。



by 忠 (2018-12-14 19:02) 

wata

ていしあさん、こんにちは。

いや、そんな道走らないですよ、普通(汗)。
私はいわゆる酷道マニアではありませんが、狭かったり曲がりくねったりしているのは別にいいんです。
が、路面が悪いのはカンベンしてもらいたいんですよねぇ。
ケータイだって繋がりゃしませんから、万が一バーストしたらシャレになりませんものね。
ていしあさんも、どうぞお気をつけて(汗)。

by wata (2018-12-15 16:51) 

wata

忠さん、こんにちは。

独り旅は気ままで楽しいのですが、当然ながらずーっと独りです。
それだけに、旅先で誰かと話しをするのがとても嬉しいんですよ。
ま、お天気おねいさんとは、話をしたわけではありませんけどね(汗)。
ルートは今回も行き当たりばったりで、初めての道もたくさん走りましたが、まだまだ走りたい道は九州にたくさんあります。
できれば1ヶ月ぐらいは欲しいですね(笑)。

by wata (2018-12-15 17:11) 

ラビー

うわっ、狭っ 枯れ葉で滑るヤツも!(笑
うちのドライバーさんが好きそうな道だ~
荒れた路面、落石、洗い越し等々は嫌いです、同じですね(笑
鳥居の写真、きれいです~。
その温泉、なんですか?外ですよね、普通に外。
なんかすごい、さすが九州なのかなぁ。
色白のうさぎさんが!!気になります。
お天気も、雨に雪にと盛りだくさんですね~。
九州は、・・・楽しそうだけど、遠いなぁ。
by ラビー (2018-12-15 21:14) 

wata

ラビーさん、こんにちは。

九州は確かに遠くて気軽に行ける距離ではありませんが、やっぱり行く価値はあるんですよねぇ。
海沿いの広い道も山中の狭い道も楽しいですし、温泉もイイです。
ちなみに写真の温泉は、どこかの露天風呂とかじゃなくて、単なる川なんです。
すぐ右側に道路があるので、誰か通ったら丸見えですが、お湯が白く濁っているので大丈夫ですよ(←大丈夫なのか?)。

by wata (2018-12-15 21:46) 

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