SSブログ

ザ・グランド・ツーリング[6]高知県/高知市発 [drive/touring]

■Day16

高知市の朝は、素晴らしい快晴となった。

P1120552.jpg
通勤客で混雑し始めた市街地を抜け出したところでボクスターの屋根を開け、幹線道路なのに空いているR32を快調に北上する。
が、そんな快走路を捨てて、用もないのにR439へと右折した。

P1120555.jpg
P1120560.jpg
P1120558.jpg
P1120567.jpg
P1120577.jpg
酷道439号線、通称「与作」。
途切れ途切れに何度か走ったことはあるのだが、そのハイライトと目される高知/徳島県境の京柱峠はこれまで越えたことがなかった。
と言うことで突入してはみたものの、狭いだけでなく路面も荒れており、山に入る前から民家の軒先を掠めるように走らなければならない。
更に天気がめちゃくちゃいいもんだから、森林区間では明暗差が極めて激しく、路面状況がよくわからないのだ。
エラいところに来てもうた・・・とやや反省しながら上っていくが、ようやく辿り着いた京柱峠は広く眺望も抜群で、到達感が半端なかった。
一息ついて下り始めた徳島県側は、路面が更に悪い。
こんな山奥でタイヤがイッてしまったらシャレにならないため、慎重にボクスターを走らせる。
とても国道とは思えない国道を無事に脱したオッサンは、何となく誇らしげな気がするのであった(笑)。

P1120579.jpg
P1120582.jpg
P1120589.jpg

さて次はどこへ行こうとツーリングマップルを開いていると、軽トラのおにいちゃんが反対車線から「どした?道わからんの?大丈夫?」と声をかけてくれる。
独りでいると、こういうちょっとした心遣いがとても嬉しいのだ。
大丈夫、と大きく手を降りリスタート、K32→K45とボクスターを軽く走らせて、メジャーな観光地である大歩危[おおぼけ]に到着。
せっかくなので観光遊覧船におじいちゃん&おばあちゃんの集団と同乗し、川下りと洒落込んだ。
が、やっぱり屋根を開けたボクスターを走らせているほうが楽しいな(笑)。

P1120592.jpg
P1120594.jpg
P1120595.jpg
P1120598.jpg
P1120599.jpg
P1120602.jpg
腹も減ってきたので、昼飯にはさぬきうどんを喰おうと考え、R32で香川県へ突入。
まずは、「食べログ」の地図検索でいちばん近かった「山内うどん」に行ってみることにした。
こんなところに店があるのか?と思われるような山の中にある古民家のような店に到着、冷やかけうどんを喰ったがこれが滅法旨い。
あまりの旨さにもう一杯喰おうかと思ったが、他の店にも行ってみたいのでガマンガマン。
次はまんのう町の「やましょう」だ。
冷たいうどんに自分で冷たいだしをかけ、ネギや薬味をタップリ乗せていただく。
いやいや、これも旨いではないか。
最後は坂出の「山下うどん」。
ここは二度目となるが、店が大きくキレイになっていて驚いた。
名物の冷たいぶっかけを、レモンをキュッと絞っていただく。
既に2杯も喰っていたのに、これまた旨くてツルッと平らげた。
いやー、喰った喰った・・・。
さぬきうどんは本当に旨い。
しかも3軒ハシゴしてゲソ天やかき揚げまで喰ったのに、使ったカネは約1,000円。
いやはや、最高だ。

P1120612.jpg
P1120615.jpg
P1120627.jpg
と言うことで四国を出ることとし、ツーリングマップルに載っていた淡路島の宿を電話で予約。
高松の市街地を避けて東に走り、R11で瀬戸内海に出た。
四国最後のワインディングは、K183/鳴門スカイライン。
複雑な海岸線を眼下に眺めながら、ほどほどにアクセルを開けて気持ちよく走った。
鳴門北ICから神戸淡路鳴門自動車道に乗り、鳴門海峡を渡った先の淡路島南ICでアウト。
二度目となる淡路島、前回は西海岸を走ったため、今回は東海岸へと向かう。
このK76は断崖上から海岸レベルまで一気に駆け下るのだが、紀伊水道に面して人家も交差点も何もないほぼストレートの道がずっと続くのだ。
この日は波が高く、その飛沫が道にかかっている箇所もある。
いやいや、何だかすごい道だぞこりゃ。
しかし海岸線のストレートは突然終了し、その先は急激な屈曲路となる。
わけのわからないまま再び海に出、洲本の街からK46で北西に島を横断し、宿がある西海岸の五色町に到着した。

P1120630.jpg
P1120633.jpg
「Awaji Tourist Trophy House」は、いわゆるゲストハウスと呼ばれる旅人宿。
オーナーは数十台の旧いバイクの他、クラシックなシトロエンとBMW2002ターボを所有している。
個室もあるが今日の男性客は私一人なので、2,800円のドミトリーを貸し切り状態で使わせてもらった。
夜、コンビニで仕入れた飯を喰ってから、他の女性客と共にオーナーのワンボックスで海岸に向かう。
よく見ると、波打ち際に小さい青色LEDのような光がポツポツと見える。
これを地元では、「海ほたる」と呼んでいるのだそうだ。
甲殻類の仲間だと言うが、私は生まれて初めて見た。
50年近く生きてきても、まだまだ知らないことがたくさんあるんだなぁ。


■Day17

P1120638.jpg
P1120640.jpg
P1120643.jpg
P1120649.jpg
夜半からの土砂降りは朝までに上がり、淡路島は爽やかな快晴となった。
バケツを借りてボクスターを水拭きしてからコンビニで朝飯を調達し、部屋で喰ってからチェック・アウト。
静かな瀬戸内海を左手に眺めながら西海岸を気分良く北上するが、流れが悪くなってきたのでK71で内陸部へと向かい、稜線上のK157を快走した。
クルマも殆ど走っておらず、海を見下ろす景色が実に気持ちいい。
淡路ICから海を渡るために一区間だけ高速を利用、久しぶりに本州へと再上陸するが、関西の道はややこしいてワケわからんわ。
あちこち迷った挙げ句に阪神高速に乗り、混雑する池田市街を経てようやくR477で郊外への脱出ルートに乗った。
今日はこのまま下道を走り続け、日本海へ出ようと思う。

P1120652.jpg
P1120654.jpg
P1120657.jpg
P1120660.jpg
京都府を北上するに連れ、R477は田園地帯や丘陵を貫く素晴らしい快走路となる。
園部からはK19で北上、この道も2車線のカントリー・ロードで、爽快なオープン・エア・ドライブを楽しんだ。
道の駅「美山ふれあい広場」の物産コーナーで買った鯖めし弁当を喰い、食後は美山牛乳謹製のジェラートだ。
気温は20℃、清々しい青空の下で喰うと旨さ倍増だ。
日本海までは、R162での一本勝負。
この道は二度目となるが、緑の山や田畑を眺めながらひたすら走り続ける本当に素晴らしい道だ。
GTスピリット全開、いいドライブをさせてもらっている、とつくづく思う。

P1120661.jpg
P1120666.jpg
P1120669.jpg
P1120678.jpg
福井県小浜市に出ると、美しい若狭湾の風景が待っていた。
R162、沿道の青く輝く静かな海や複雑な緑の海岸線を眺めながらのんびり流していると、本当に心が洗われるようだ。
農家のおじさんに声をかけ、湾に向かう棚田にボクスターを停めさせてもらう。
実に気持ちのいい風景だ。
「もっと平らなところがあるよ」と言ってくれたのだが、「いや、このナナメな感じが棚田っぽくていいんです」と答えると、おじさんは不思議そうな顔をするばかりであった(笑)。

P1120695.jpg
P1120700.jpg
P1120720.jpg
国道を離れ、敦賀半島へとK33を走る。
美しい海と美浜原発とが、不思議なコントラストを見せていた。
陽が西に傾き始めた海岸線を、引き続き北上する。
幹線道路のR8はクルマやトラックで賑わっていたものの、海辺のR305/しおかぜラインに入ると交通量はほぼ皆無となった。
越前海岸は初めて走るのだが、この道は素晴らしい。
逆光の日本海をサングラス越しに眺めながら、ギアを上げてボクスターはひたすら走り続ける。
越前岬付近のパーキングでひとやすみ、今宵の宿を検索し、温泉旅館の安い素泊まりプランを見つけて予約した。

P1120751.jpg
P1120757.jpg
いつの間にか、太陽は日本海に沈もうとしている。
素晴らしい落日の光景を眺めていると、スズキ・ジムニーでやってきた地元の若いおにいちゃんが、夕暮れのボクスターを撮らせてほしいと話しかけてきた。
それがキッカケで、残照の日本海を眺めながらおにいちゃんと30分ほどのクルマ談義と相成る。
独りぼっちで旅をしていると、人と話をすることがとても嬉しいのだ。
先に家路へと向かうジムニーに大きく手を振ってリスタート。
すっかり暗くなった越前海岸の道をダイナミック・コーナリングライトで明るく照らしながら、宿のある芦原温泉へとボクスターを走らせた。

「あわらグランドホテル」は、GTでは決して泊まらないようなでっかい温泉旅館。
4,000円ちょっとの6帖素泊まりビジネスプランで予約したのだが、アップグレードしてくれたという部屋は16帖ぐらいの広さでビックリ仰天だ。
晩飯はやむ無くコンビニ弁当&ビールとしたが、風呂は男女併せて6ヶ所、それぞれに複数の湯船があったりしてもう風呂だらけ。
袋がふやけるほど、存分に堪能させていただいたのであった。


■Day18

P1120762.jpg
P1120764.jpg
福井県、芦原温泉。
朝風呂に浸かり、伸び放題だった髭を剃ってからチェック・アウト、まずは断崖絶壁でおなじみの東尋坊へと向かう。
切り立った岩場は想像以上の高さがあり、その淵から下を覗き込むと実に恐ろしい。
サスペンス・ドラマで追い詰められた犯人が自白するのも、無理はない。
安全なところまで下がり、激しい断崖と深緑色の海と青い空とを眺めながら、コンビニのパンを喰った。

P1120782.jpg
P1120787.jpg
今日は能登半島を走ろうと思う。
引き続き高速道路を使わずに日本海沿いを北上すべく、R305からK20→K25と結んで走る。
が、交通量も増えてきたため、無料化されたという旧有料道路、のと里山海道に入った。
白波の立つ日本海を左手に、オープンのボクスターが風を切って走る。
実に痛快だ。
柳田ICでアウト、気多大社でひとやすみ。
ここは縁結びのご利益があるとのことで、恋愛成就系の絵馬が山ほど奉納されている。
静かな本殿に賽銭を投げ、引き続き旅の無事を祈った。
縁結びの神社なのに駐車場でケンカしているカップルがいたので、ついでにその二人が仲直りするようにとも祈った(笑)。

P1120789.jpg
P1120797.jpg
P1120801.jpg
P1120807.jpg
R249からK36へとスイッチ、空はスカッと晴れ渡り、ボクスターはマイペースで北上を続けている。
観光客丸出しで千畳敷岩門を見学してみたが、やはりこういうのは性に合わないような気がした(笑)。
走るに連れて交通量はどんどん低下し、午後の陽に輝く日本海を見ながら爽快なドライブが続く。
腹が減りまくっていたが、途中の道の駅には目ぼしい喰い物が売っていなかったため、輪島のサークルKでおにぎりを買った。
そのまま走り続けて道の駅「千枚田ポケットパーク」にボクスターを駐め、千枚田を眺めながらそのおにぎりを喰う。
が、どうせならこの道の駅で売っている棚田米のおにぎりを喰えば良かった(涙)。

P1120812.jpg
P1120814.jpg
P1120824.jpg
千枚田は多くの観光客で賑わっていたが、彼らの多くはここから輪島へと引き返してゆく。
しかしながら奥能登ドライブのハイライトは、この先にあるのだ。
青い日本海の彼方に鋭く切られた水平線を常に意識しつつ、誰もいないR249をハイペースで走り続けるボクスター。
グランド・ツーリングの醍醐味を存分に味わいながらK28に入ってしばらくすると、道は急激に高度を求め始め、森の中を行くワインディングとなった。
ギアを下げ、スポーツ・モードとスポーツ・シャシーのスイッチを入れて、次々に現れるコーナーを気持ちよくクリアしてゆく。
クルマとの一体感に身を委ねることのできる、素晴らしいルートだと思った。

P1120841.jpg
半島の先端を回り、小学校の近くを走っていると、ボクスターに気づいた数人の生徒がこちらに手を振っている。
短いクラクションと共にこちらも手を振り返すと、生徒たちの歓声が一気に大きくなった。
ボクスターは、やはり子供たちに人気があるようだ(笑)。
休憩も兼ねて、大好きな見附島に立ち寄る。
島へと続く岩の道を歩いていったが、残念ながら満ち潮と波の影響により途中で断念、撤収。
しかし、斜光を受けてコントラストを強めた軍艦島は、実に魅力的な佇まいを見せていた。

K6で内陸の柳田温泉に向かい、本日の宿「国民宿舎 能登やなぎだ荘」にチェック・イン。
例によって素泊まりの最安プランだが、12帖ほどの広い部屋で大いに寛げる。
アルカリ性の温泉に浸かって汗を流し、併設のレストランで生ビールと共にフライ定食を喰った。
「金曜日はフライデー」ということで、今日はフライ系の定食が安いのである(笑)。

しかし、いつの間にか能登半島まで来ちまったのか・・・。
よく走ったなぁ、オレ(笑)。

(つづく)



nice!(7)  コメント(10) 

nice! 7

コメント 10

nao

素晴らしいツーリング、超大作ですね。GWに東北ツーリングから帰っても、「あの人、どこにもいかないのかねぇ」などと妻と話をしていたのですが、まさかこれだけの壮大なツーリングをされていたとは!いや、びっくりです。
どのくらいの距離になるのか楽しみですが、偶然にも当方、飛行機が取れなかった為、約1カ月後に能登半島珠洲岬まで走ることになりました。
往復で1200km以上ですが、この記事を見ると、たった1200kmで尻込みしている場合ではないと勇気づけられます(笑)
by nao (2015-06-11 00:30) 

佐伯です

四国から能登とはかなりの長走ですね。WATAさんはこれから何処へ行くのでしょうか?富山から有峰湖経由で平湯温泉なんてのも素敵ですね。でもお仕事は大丈夫なのですか?
by 佐伯です (2015-06-11 00:35) 

wata

naoさん、こんにちは。

いやいや、私は奥様との会話のネタにしていただけるほどの者ではございません(汗)。
それにしても、1ヵ月後が楽しみですねぇ!
夏の能登半島は素晴らしい景観を見せてくれるハズですので、「飛行機が取れなかった為」ではなく、是非とも「ツーリングを楽しむ為」に走っていただければと思います(笑)。

by wata (2015-06-11 20:51) 

wata

佐伯さん、こんにちは。

四国から能登と言っても3日間かけていますので、1日の走行距離は大したことないんです。
仕事は、とりあえず無事に職場復帰していますよ(笑)。

by wata (2015-06-11 20:54) 

wedg

こんにちは。“ボクスターブログ”で辿り着きました
羨まし過ぎる旅行記ですね。文章がとてもお上手でセンスのいい言葉に引き込まれちゃいました。それに何と言っても写真のレベル、只者ではありませんよね?数々の写真、素晴らしい作品ですね。どんなシステムでお撮りなんでしょうか。

私、ボクスター購入計画中でして仕様はwataさんにとてもいいアドバイスをいただきました。ありがとうございました。



by wedg (2015-06-11 23:13) 

wata

wedgさん、はじめまして。

コメントをいただき、どうもありがとうございます!
なるほど、「ボクスターブログ」で検索・・・ホントだ、出てきた(汗)。
テキストもフォトもとてもお褒めいただけるレベルではありませんが、差し支えなければ引き続きおつき合い下さると嬉しいです。
ちなみにカメラはパナソニックのDMC-G6、マイクロフォーサーズ・システムを使っています。
ボクスターはまだ9ヶ月間ほどしか乗っていませんが、とても楽しいクルマだと思いますよ。
wedgさんの購入計画が実現することを、心から願っています!

by wata (2015-06-12 00:25) 

kenzou

私もつい最近能登半島を走りましたが良いところでした。
それにしても相変わらずですが、さらに写真が印象的です。
(おそらく)高速で移動中に、車をバックにした構図を予想して停車させるんですよね。これがなかなかできない。特に脇道探索写真は神業だと思いますよ。
by kenzou (2015-06-12 06:54) 

wata

kenzouさん、こんにちは。

能登半島、いいですよね。
東北や九州よりも近いのに一度しか走ったことがなかったので、久しぶりにぐるっと回ってみました。
写真はですね、景色のいいところがあったらクルマを停めて撮っているだけですよ。
脇道にも入っていきますが、どえらい悪路に後悔することもしばしばです(涙)。

by wata (2015-06-12 21:59) 

yone0531

wataさん こんばんは。

いつの間にか、石川県じゃないですか!今回のGTは凄い距離ですね。
もう、GTではなく放浪記レベルではないですか(笑)
なんか、地元のところがwataさんに紹介されると嬉しくなりますね。
いや、でもこれだけ会社を休むと人間ダメになりそうですが無事に
復帰されているとは、尊敬します!
それにしても、素敵な写真ばかりですね。ホント凄いです。
ところで、結構日焼けされました?なんとなくひとつ前のブログの写真で
いい色になってるように見えたので(笑)
by yone0531 (2015-06-13 00:01) 

wata

yone0531さん、こんにちは。

はい、私もなんとなく「旅」ではなく「放浪」のような気がしていました。
さらにいえば、各地を転々としながら「生活」しているのだ、と考えるほうが自然に思えてきたのもちょうどこのころでした(汗)。
写真は色味によって異なりますが、実際は結構日焼けしましたよ。
それでも苦手な日焼け止めを塗っていなかったら、もっと酷いことになっていたことでしょう(震)。
by wata (2015-06-13 21:32) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。