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ザ・グランド・ツーリング[5]愛媛県/西条市発 [drive/touring]

■Day13

愛媛県、西条市。
ホテルのモーニング・サービスでロールパンを3つほどいただいてから、出発した。

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今日は久しぶりに朝からの晴天、豪快なR194を駆け上がり、寒風山トンネルを抜けて高知県に入る。
国道を離れて緑の中の屈曲路をぐんぐん上り、瓶ヶ森林道に出た。
時折登山客のクルマに出会うが、日曜日にもかかわらず拍子抜けするほど人が少ない。
標高1,500m級の林道は気温10℃、空も雲も太陽も近く大変気持ちがいい。
この道は何度か走っているが、緑の山腹を林道が遠くまで延びている様は類するものが他に無く、やはり感動的だ。
雄大な景色を眺めながらのんびり走っていくと大きな駐車場があるのだが、そこでは何やらイベントの準備をしている模様。
関係者らしいおばちゃんに聞いたところ、今日これから瓶ヶ森林道でウォーキング大会があり、観光バスが大挙して押し寄せ道路も通行規制が行われるとのことである。
そう言えばR194からの分岐に看板があったような気もしたが、そんなことになっているとは全く知らずに仰天した。
この先も狭い林道が続くのに、何台もの巨大なバスがスーパー・スター・デストロイヤーの艦隊の如く迫ってきたら、ランド・スピーダーのようなボクスターはひとたまりもない。
とにかくバスがやって来る前に林道を抜け出そうと、ペースを上げてボクスターを走らせた。
瓶ヶ森林道を無事に脱出し、K12/石槌スカイラインを駆け下る。
エスケイプ・ゾーンも交通量も少ないダウンヒルのワインディングを、大いに楽しんだ。
これにて瓶ヶ森-石槌ドライブは完了、続いて四国カルストへと向かう。

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R494→R33→R440と、良く整備された国道を結んで南に走る。
四国カルストへの最短コースは地芳峠に上るR440旧道だが、今回はK36で西側の大野ヶ原へとアプローチすることにした。
この県道はいわゆる「険道」である。
狭いだけならいいのだが、落石や木の枝が散乱していたり舗装に穴ボコが開いていたりと、油断も隙もありゃしない。
慎重に走って暗い森を抜けると、眼前に大野ヶ原の緑と青空が拡がった。
嗚呼、このギャップがたまらないのだ。
K383は文字通りのスカイラインで、右や左、或いはその双方に、幾重にも連なる四国の山々が展開する。
いちばん高いところを走ってる感、炸裂である。
ハイライトの姫鶴平から五段高原は、何度来てもその風景に感動する。
牛が草を食む緑の牧草地帯に白い石灰石が映え、すぐ上には5月の青い空と白い雲。
そんなところを、トップレスのボクスターで走るのだ。
いやはや、爽快にも程がある。
天空のドライブを十分に堪能してから、タイトなK48で下界へと戻っていった。

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山の次は、川だ。
清流・四万十川へ行こう。
R197を快走、途中の道の駅「日吉夢産地」で昼飯にドライカレーの弁当を喰い、R320をマイペースで南下してゆく。
JR予土線のディーゼル・カーとランデブーしながらR381を走り、R441で四万十川と並走し続けた。
岩間の沈下橋は、私がいちばん好きな沈下橋である。
夏に向かって濃くなりつつある山の緑を背景に清流を渡る欄干の無い橋は、実にいい雰囲気だ。
他にも何組かの家族連れやカップル、ライダーたちが、思い思いに写真を撮っていた。
いずれまた、この橋を渡りに来よう。

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山、川と来れば、最後は海だ。
せっかくなので最南端の足摺岬にまで行って泊まろうと考え、涼しい木陰の駐車帯でツーリングマップルを開き、「じゃらんnet」で宿を探す。
と、1台の軽自動車がやってきて、運転席のおじさんが話かけてきた。
「ずいぶん遠くから来たんだねぇ。これからどちらへ?足摺岬ですか、どうぞお気をつけて」
走り去る軽自動車のおじさん。
こんな話をするだけのために、わざわざクルマを停めて声をかけてくれたのだ。
こういうのが心から嬉しく感じられる、49歳の独り旅なのであった。
R56で中村まで出、R321/サニーロードで南へと走る。
K27で足摺岬を時計回りにぐるっと一周したが、予想に反して道から海はあまり見えず、半島南部では暗い森の中を狭い屈曲路が続いていた。
半島の付け根まで戻り、港で一息ついてから、完全2車線路のワインディング・K348で半島中央部を一気に駆け抜けた。

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二食つきで当日予約が取れたのは、「民宿 高原」。
風呂で汗を流したら、お楽しみの晩飯だ。
「足摺の民宿は魚料理が旨い」とクルマ仲間のShimaさんに聞いてはいたのだが、その期待を遥かに上回る旨さに心底驚いた。
メインはハガツオの刺身、宿のおばあちゃん曰く「タタキにするなんてもったいない」とのことで、これがめちゃくちゃに旨いのだ。
カツオのタタキも小鉢として供されてはいるのだが、ここではタタキは格下扱いなのである。
イカの煮付けもこれまでに喰ってきたものとはまったくの別物で、このアオリイカがいちばん旨いのだと言う。
いやもう、何もかもが破格の旨さなのだ。
今日の客は私だけということもあり、おばあちゃんは話し相手にもなってくれた。
ご家族のことや民宿のこと、若い頃のことなどを楽しそうに話してくれた。
で、私のことを「おにいさん」と呼ぶので、いくつに見えるか聞いてみたところ、「うーん、28歳ぐらい?」
大笑いである。


■Day14

朝7時、干物をメインとした朝食を喰ってチェック・アウト。
こういう民宿らしい民宿がいつまでも残っていてほしいと思いながら、宿を後にした。

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今日は九州で降っている雨が昼頃から四国全域にやってくるとのことだが、今のところ空は薄曇りで時折日も射してくる。
降りだす前に海沿いを走ろうと、ボクスターのソフト・トップを下ろしてR321/足摺サニーロードをトレースする。
土佐清水を出るとクルマは殆どいなくなり、青い海を左手に見ながら気持ちよく走った。
宿毛からは国道を離れ、宿毛湾沿いに入り組んだK7を走ってみる。
予想に反して海は殆ど見えないが、これでもかっつーほどの2速⇔3速ワインディング・ドライブを堪能した。

R56に合流、道の駅「みしょうMIC」でひとやすみしていると、アロハ・シャツでキメたボディ・ビルダーのようなおにいちゃんが「カッコえぇクルマですねぇ!」と声をかけてくれた。
おにいちゃんは花火師で、全国を回って巨大な花火をバンバン打ち上げているのだという。
以前はハマー・H2を所有していたこともあるクルマ好きだそうで、しまいには青いボクスターえぇなぁ、買おうかなぁなどと言っていた。
別れ際、ボクスターで国道に出ようとしていると、後ろから大声で「そのクルマならナンパできようや、ナンパ!」
いや、しないってば(汗)。

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ツーリングマップルに海がキレイな旨が書かれている高茂岬[こうもみさき]へ行ってみようと、K34を西に走る。
と、パトカーや警察官が道を塞ぎ、その周囲には大勢の小学生たちがいるではないか。
これはひょっとして・・・と思っていたら案の定、生徒の一人が「安全運転でお願いします!」と反射腕章やチラシなどの入った袋を手渡してくれた。
もちろんその模様は、キヤノンのでっかい一眼レフを構えた先生にバッチリ撮影されている。
生徒たちは「うわぁカッコいい」とか「雨が降ったらどうするの」などと、口々に騒いでいた。
どうやら私のボクスターはおじさんやおにいちゃん、そして子供たちには人気があるようだ(笑)。
しかし学校行事の一貫とは言え、私はこういうのに弱い。
事故らず壊さず捕まらず、引き続き安全運転で走ろうと決意を新たにしたのであった。

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岬へのアプローチは、森の中の1.5車線屈曲路。
地図上では海岸線を忠実にトレースしてはいるが、実際には海は殆ど見えず、ひたすらステアリングを繰ることになる。
到着した高茂岬には誰もおらず、吹き荒ぶ西風に雨が混じり始めていた。
晴れた日であれば、とてもキレイな海の景色を楽しめたことであろう。
岬からの復路で屋根を閉めたボクスターを積極的に走らせ、景色の代わりにワインディング・ランを存分に楽しんだ。

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R56で宿毛まで戻り、行き先を明確に決めぬまま、中村宿毛道路を経由して土佐湾沿いに北上を開始。
連なる先行車と共に雨のなかをタラタラ走っていると、実に眠くなる。
道の駅「なぶら土佐佐賀」で30分ほど仮眠を取り、これからのルートを考えた。
しかし四国全県どこへ行っても雨なので、今日はもう走るのは諦めて高知市内に宿を取り、直行することにする。
そうそう、溜まっている洗濯物も片付けなきゃならんのだ。

と言うことで、高知自動車道の無料区間を使って高知市内へと向かう。
時折ワイパーが役に立たないほどの強い雨にも見舞われながら、「ホテル土佐路たかす」に到着した。
晩飯は何を喰おうかと考えたが、強まる風雨の中を歩くのも難儀なので、ホテルの目の前にある吉野家へ。
久しぶりに喰った牛丼は、とても旨かった。
近くのコンビニでビールとポテトチップスを調達し、ホテルへと戻る。
部屋で飲み終えたちょうどその頃、ランドリーでは洗濯物の乾燥が終わっていた。


■Day15

高知市内。
土砂降りの雨は夜明けまでに止み、雲に覆われた朝の空は明るさを増している。
今日の四国は午後から晴れ間が戻るとのことで、オッサンのテンションは朝っぱらから上がり気味だ。
無料サービスの朝食はごはんに味噌汁、サラダに卵に納豆に佃煮やその他もろもろ、これで一泊3,280円とは実にありがたい。
たらふく喰ってチェック・アウト、雨に濡れたボクスターをプラセームで拭き上げると、汚れ放題だったサファイア・ブルーのボディはそれなりにキレイになった。

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宿を出て東に向かい、R195に乗る。
この道は高知から徳島までひたすら走り続けることのできる超快走路で、「走るべき道」のひとつにカウントしている素晴らしいカントリー&ワインディング・ロードだ。
がむしゃらに飛ばすのではなく、清流・物部川と雨上がりに映える深い山の緑とを愛でながら、ルーフを開け放ったボクスターで駆け抜けるのである。
気持ち良いドライビングのまま、県境の四ツ足峠トンネルを出て徳島県に突入。
R195はまだまだ続くのだが、これから先のルートはまったく決めておらず、路肩にボクスターを停めてツーリングマップルを開く。
・・・おや、前回の四国GTで通行止めを喰らった南阿波サンラインが比較的近くにあるではないか。

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と言うことで行き先決定、これまた快走路のK19でR55に出て、道の駅「日和佐」に立ち寄る。
物産品コーナーで買った旨いパンと徳島珈琲で昼飯とし、無料の足湯に浸かってリラックスしたら再出発だ。
念願叶って走るK147/南阿波サンラインは、太平洋を眼下に望む素晴らしいワインディング・ロードだった。
2速⇔3速でステアリングを切りつけるような走りも楽しいが、3速⇔4速でのんびり流すのもまた気持ちがいい。
前回の雪辱を果たしたオッサンは、一往復半でようやく溜飲を下げたのであった。

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この勢いで、室戸岬まで走ることにする。
徳島まで来ておきながら再び高知へと戻るような気がしないでもないが、まぁいいだろう。
いくつかの町を抜けると、R55は波が打ちつける長大な海岸線に沿ってひたすら豪快に走り続ける道となる。
ボクスターのアクセルを開けながら、すごい道だと改めて思った。
室戸岬には夏のような太陽が照りつけ、さらに海からは波しぶきを含んだ湿った風が吹きつける。
岩礁の先端に立つと、荒々しい波が次から次へと打ち寄せていた。

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ここからは半島の西側を北上するのだが、行き先は全然決まっていない。
東側と違って町もクルマも多く、普通に時間がかかるのだ。
これから別の場所へ走りにいくのもどうかと考え、結局、再び高知市内で泊まることに決定。
R55をひたすら走り、大浴場があって安いという条件で選んだ「サウスブリーズホテル」にチェック・インした。
晩飯を喰うべく外に出るが、ピンとくる店がなく、ぐるぐる歩いて結局は弁当を買って帰る。
それだけではあまりに味気ないので、今日のツーリング記を書き終えたら、足摺岬の民宿でおばあちゃんにもらった土佐小夏でもいただくことにしよう。

(つづく)



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Shima

カツオまた食べたいなぁ。。。。
by Shima (2015-06-09 21:01) 

wata

Shimaさん、こんにちは。

足摺岬のカツオは、49年間の人生の中でいちばん旨かったと思っています。
「タタキにするなんてもったいない」と言う民宿のおばあちゃんの言葉は、衝撃的ですらありました(笑)。

by wata (2015-06-09 22:23) 

佐伯恒司

佐伯と申します。めてメールします。
B3の頃から楽しく読ませていただいております。というより偶然同じ方のブログでした。私も過去に46B3のグリーンに乗っていて、色々参考にさせていただきました。今回ボクスターに乗る事になり、再びWATAさんのブログに巡りあいました。今後とも宜しくお願いいたします。
九州~四国のGTはとてもハードで読みごたえがありますね。私もよい時期に行ってみるつもりです。
by 佐伯恒司 (2015-06-10 07:16) 

ぶっき~

おおっ!
高知に来られてたのですね~
ボクスターを拝見したかったです。
また、お泊りが「ホテル土佐路たかす」とは。。。
私の仕事場から1kmも無いホテルです!
また、高知にお越しくださいませ~
by ぶっき~ (2015-06-10 15:06) 

wata

佐伯さん、はじめまして。

コメントをいただき、ありがとうございます。
B3のBlogも読んでいただいていたとは、感謝も倍増です!
お互いに、ボクスターで安全に楽しく走って行きましょう。
九州や四国は山も海も素晴らしく、市街地や幹線道路以外は走り放題でした。
佐伯さんも是非、ボクスターで走ってみて下さい!

by wata (2015-06-10 20:32) 

wata

ぶっき~さん、こんにちは。

そうですか、地元にお邪魔していたんですね(笑)。
「ホテル土佐路たかす」、設備は古いのですが、朝飯つきで3,280円のコスト・パフォーマンスは抜群だと思います。
記事の通り、高知でもいいドライブをさせてもらいました。
えぇ、いずれまた走りに行きますよ!

by wata (2015-06-10 20:51) 

zdm1929

こんにちは
うーむ、タタキにしてしまうのはもったいない鰹、モノスゴ~ク食べてみたいです!ワタシの知らないアオリイカの煮つけもまた魅力的です(^^)
この2つを食うためだけでもここに行く価値がありそうですね。
by zdm1929 (2015-06-11 17:27) 

wata

zdm1929さん、こんにちは。

「タタキにするのがもったいない」って、そんな考え方があることにまずビックリ仰天しましたよ(汗)。
イカについても、我々が普段口にしている種類のイカは「とてもお客さんには出せない」って言ってましたからねぇ・・・。
いやほんと、はるばる行くだけの価値は十分あると思いますよ!

by wata (2015-06-11 21:10) 

yoshi1208

はじめまして、OLL交換の検索でたどり着きました。

当方、赤の981ボクスターで6/5-7日西条~新居浜へ居て、松山経由R33から石鎚スカイライン~林道~旧)寒風山随道抜け西条へ抜けました。林道付近でお会いできたら笑ったでしょうね~
by yoshi1208 (2015-06-14 11:01) 

wata

yoshi1208さん、はじめまして。

コメントをいただき、ありがとうございます。
赤い981ボクスター、カッコ良さそうですねぇ!
あんな道をこんなクルマで走る人はあまりいないだろうと思っていたのですが、いやはや、ご同慶の至りで嬉しいです(笑)。
引き続き、お互いに安全に楽しくボクスターを走らせていきましょう。
今後ともよろしくお願いします!

by wata (2015-06-14 21:03) 

saja

wataさん、こんにちは。
初めてコメントさせていただきます。本当に素晴らしく旅情溢れる写真達ですね。Alpina編も含めてこの2週間ほどで全編いっきに拝見させていただきました。機会がありましたらぜひご一緒させてください。 都内で古いマセラティに乗っています。 それにしてもグランドツーリング!何ともロマンを掻き立てるいい響きです。私も遠くへ出掛けたくなりました。ありがとうございます!
by saja (2015-11-18 22:14) 

wata

sajaさん、はじめまして。

コメントをいただき、どうもありがとうございます!
それにしても、過去のBlogを含めると1,000近くの記事があるのに、一気にご覧戴いたとは恐縮です(汗)。
よろしければ、今後とも引き続きおつき合い下さい。
ちなみに「グランド・ツーリング」とは私が勝手にそう呼んでいるだけなのですが、走り放題のクルマ旅は本当に楽しいんですよ。
sajaさんも機会を作って是非お出かけ下さい。
マセラティを駆ってグランド・ツーリングに出るなんて、もうめちゃくちゃカッコいいと思いますよ!

by wata (2015-11-18 23:19) 

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